出産という大舞台を語る際に、まずフォーカスされるものといえば、強烈な陣痛、産みの痛み、帝王切開の術後の痛み、会陰切開の術後の痛みという、4大“痛み”。
それらのインパクトと比較すると影が薄く、些細なものと扱われがちだけれども、入院中を振り返って「実は結構つらかった……」という事柄について調査。
特にエピソードが多かった3つをご紹介します。
第一位:初の授乳がスムーズにいかない
まず挙がったのが授乳の問題について。
・「もちろん妊娠中から授乳には関心があり、母乳の出をスムーズにしてくれるというハーブティーを購入したり、マッサージしてくれるところを探したりと準備は万全……のつもりでした。
ですが、初の授乳がとにかく痛くて! 自然分娩で最高の痛みを味わい、もう痛みに免疫ができているかと思ったのですが、授乳が痛くて痛くて思わず毎回涙目に。てか、こんな痛いなんて、聞いてなかった!!」
・「分娩については色々調べていたのですが、授乳については『産んだらすぐに初乳が出てくる』『出産したら腹が凹んで、代わりに胸が巨大化してカッチカチに』くらいにしか思っていなかった。実際は、最初は母乳が全然出ず、胸も張らず……。お腹は妊娠7ヶ月くらいの大きさをキープしたまま。予想外でうろたえました」
・「妊娠中は、我が子に初乳をあげるシーンを想像しては、どんなに感動することだろう、と楽しみにしていた。実際あげてみたら……おいおい、赤ちゃんよ、あなた実は歯が生えていて、乳首を噛んでいませんか? という激痛が走り、戸惑った。血豆もでき、産院で買った油を塗るもなかなかよくならず……楽しいはずの授乳タイムが苦痛でしかなかった」
・「なかなか母乳が出ず、最初はミルクとの混合からスタート。完母にこだわる産院に通っていたため、イライラして自分を責めていた。数ヶ月後、完母のため子供が哺乳瓶を受け付けず、仕事復帰で泣くことになるなんて、当時は想像もつきませんでした(笑)」
・「緊急帝王切開&子供の軽いチアノーゼで最初の3日間は授乳できなかったのもいけなかったのか、入院中は乳腺が開通せずトラブル続き。乳腺炎にも泣きました。退院後、別の助産院の乳房マッサージに通ってなんとか安定して授乳できるように。気がつけばマッサージを受けると天井に母乳が飛ぶほどなみなみと出るようになっていたのですが、あまりの息子の食欲(乳欲?)に乳首が切れて血染めの母乳になることもしばしば。完母だったから耐えに耐えました(泣)」
第二位:入院中、気持ちが不安定になった
妊娠中の不安や、産後の育児生活におけるイライラについてはよく聞くものの、産後の入院中の短い期間にも気持ちに大きな波が。
・「いきなり産院に義両親が来た。片道2時間半かかるのに、何の連絡もなしに。個室で授乳後の消毒をしている時に突然義両親が入ってきて、全部見られた。どちらかといえば温厚な私ですが、許せない気持ちでいっぱいになり、夫に泣いて当たりまくりました」
・「退院後、近くに親がおらず夫は仕事が多忙なので、自分ひとりで全て育児をやらねばいけない、と思ったら不安でたまらなくなって泣けてきてしまった。特に沐浴ができる自信がなく、ベテラン助産師さんに教わりながら号泣。今となってはなぜあんなに泣いたのか不思議でしかないんですが……」
・「子供がなかなか出てこなかったので、吸引での分娩に。そのせいか、頭の形が尖っているのが気になって、入院中はとにかく泣き続けていた」
・「入院の荷物をきっちり準備して、整理してバッグに入れ、どの袋に何が入っているのかも一目で分かるようにメモに書いた。帝王切開の手術後に目を覚ますと、夫と姑がそのメモを無視して、『パジャマとタオルがなくて』と妙なセンスのものを買ってきたりしていた。メモを見なくても、バッグを見ればわかるでしょ!? とブチ切れてしまった」
第三位:脚が人生史上最高にむくんだ
・「姉が帝王切開後に脚がむくんだのを見ていて、辛そうとは思っていたけれど、自分は自然分娩だったので関係ないだろうと思っていた。が、いつもの2.5倍くらいのふくらはぎに!! 妊娠中は塩分を控えたり頑張ってきたのに、これかよ!? とびっくりした」
・「帝王切開後、脚がむくみました。むくみ防止のレッグウォーマーのようなものを手術前に着用したので『むくむのかぁ』程度に認識はしていたけれど、足首はないし甲も野球のグローブ並で歩けないほどに。もう、尋常でない様子に恐怖を覚えました! 産後1ヶ月ほどで元に戻りましたが、本気で戻らないんじゃ? と不安になりましたね。帝王切開を予定している妊婦さんに会うと、術後の痛みとともに衝撃体験として力説してしまいます」
・「ぶっちゃけ取り柄は美脚くらいだった私。産後のむくんだ脚を見た時、もう一生スカートは履けない、と絶望。人ってこんなにむくめるんだ、というギャグのようなむくみ方。完全に巨大な丸太だった」
4大“痛み”の辛さは、先輩ママからの伝聞などで心構えができているものですが、今回の3つについては「青天の霹靂!」であったことも、印象に残った原因のひとつといえそうです。
(しかも、産後は次々と乗り越えなければならないミッションが降りかかり、“予想外につらかったこと”は忘却の彼方へ……というケースも多々……)
これから出産を迎える人は、入院中に、些細かもしれないけれど予想外なことが起こるかも、と予備知識として知っておくだけでだいぶ気分が楽かもしれません。
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高見澤恵美 Emi Takamizawa
LEEwebエディター・ライター
1978年、埼玉県生まれ。女性誌を中心に女性の性質や人間関係の悩みに迫り、有名無名千人超を取材。関心あるキーワードは「育児」「健康」「DIY」「観劇」など。家族は夫と4歳の息子。