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私のウェルネスを探して/古賀及子さんインタビュー前編

日記を書き続けて8年。エッセイスト古賀及子さんが伝授する「日記を書くためのステップ」「続けられない人へのアドバイス」

  • LEE編集部

2026.09.26

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古賀及子さん

今回のゲストは、エッセイストの古賀及子さんです。古賀さんは2018年からブログで日記を書き始め、自主製作で日記本を制作。2023年には初の日記本『ちょっと踊ったりすぐにかけだす』(素粒社)を出版します。その後は立て続けに日記本やエッセイ集を出版し、2025年には日記の書き方とコツ、そして日記例を収録した『私は私に私が日記をつけていることを秘密にしている』(晶文社)を出版しました。

前半では古賀さんが日記を書き始めたきっかけや『私は私に私が日記をつけていることを秘密にしている』執筆の裏側、日記を書くことで見つけた自分にしかできない表現について話を聞きます。(この記事は全2回の第1回目です)

日記は昨日起こったことを書くだけなので難しくないし、続ければ続けるほど楽しい

古賀さんが日記を書き始めたのは2018年。幼少期から日記を書くのが好きだったり続けていたわけでなく、もともと運営していたブログで書き始めたのがきっかけでした。

「ブログは書いていましたが全然続けられなくて。書いても月に1度程度でした。書ける場所はあるのに何も書いていないことに未達成感を感じている中、仲間が日記を書いていたり、“昔mixiで日記を書いていたよね”と話題になったりしたのを機に“日記を書くのはありかもしれない”と書き始めたんです。すると悩むことなくすらすら書けて驚きました」

古賀及子さん

「書くことが楽しい」「昨日起こったことを書くだけなので難しくない」。苦労することなく続けられることが嬉しかったと言います。

「続ければ続けるほど楽しいし、本当は作文が好きなんだなあと実感しました。子どものころから特に得意なものがなく勉強、スポーツ、音楽と何もうまくできなかったんです。できることがあったと気づいたことが嬉しかったし驚きました。今となっては日記が書けることを“誰にも渡したくない”“絶対に自分の手から離さない”と決意もしつつ、“日記を失ったらどうなるんだろう”という不安や執着も本音としてはあります。そう感じながらも毎日楽しく続けています」

日記の中で具体的な地名や駅名がほとんど出てこない理由

古賀さんの日記の中に書かれている世界。それはごく普通の生活の一部を描いているようで不思議と生々しさやリアルさがなく、どこか別世界のような空気感で書かれているのが印象的です。登場人物は古賀さんと古賀さんのお子さん2人、仕事まわりの人々や友人たち。その中で生まれた会話や情景、やり取りが古賀さんの視点からユーモラスに書かれています。

「日記の中では具体的な地名や駅名はほとんど出てきません。以前知り合いの編集者さんに『日記で大切なのは地名。地名が出てくるとそこに住んでいる人が本を買いますから』とも言われましたが、私はあまり地名に興味がなくて。できれば日記を寓話(ぐうわ)のようにしたかったんです、イソップ物語みたいな話。場所も隣町とか駅前、山、川、海とか、漠然とした場所や地名が好きなんです。どこか架空っぽい感じが面白いなと思っています」

古賀及子さん

日記を書く時は、書きたい内容がいくつかあったとしても“自分が書きたい内容か”をきちんと精査します。『私は私に私が日記をつけていることを秘密にしている』の第一章には、そんな日記の書き方のポイントや心持ちが丁寧に書かれています。初めて日記を書く人、日記を始めたいけれど何を書けばいいのか分からないという人におすすめの本です。

「この本のもとになっている自主製作の日記本があるのですが、それを読んだ文筆家の鳥羽和久さんが“書籍化したほうがいいんじゃないか”と声をあげてくださり、それから声をかけてくれたのがこの本の編集担当者でした。本を出すときに“何かエッセイを追加できないか”と編集担当さんがアイデアを出してくれて、書いたのが自分なりの日記の書き方です。日記ってすごくユニークで、手法を同じにしても別の人が書くと別物になるんです」

「自分もそう思った」と思っただけでは手柄にならない、思って書いてからが手柄

古賀及子さん

面白いのが、日記のネタのメモの方法です。スマホのメモを使うこともありますが、家にいる時は紙の切れ端をちぎってネタをメモし、それをPCに挟んでおくそう。1日に何枚もメモがある時もあるし、1枚だけの日もある。その中から一番面白いと思えるもの、書きたいと思える内容を選んで書きます。    

「メモはふと感じたことをつかんでおくためものです。SNSで書かれていることを“自分もそう思った”と思うことってよくあるじゃないですか。でも思っただけでは手柄にならない、思って書いてからが手柄なんですよね。メモが大量にある時は選べるので日記が書きやすいです。メモに残したけれど翌日になると面白くもなんともないネタもあるんですよ。書かなかったネタ(メモ)を翌日に残すことはしません」

古賀さん流、日記の書くためのステップ

前日まで

  • 日記を書くためのメモをとる。
古賀及子さん

書き方のコツ

  1. メモしたものを見返しながら、書きたいと思えるネタについて書く。
  2. 見たこと・聞いたこと・思い出したこと・起こった出来事だけを書く。(感想を書かない)
  3. 書きながら、それがおのずと悲しいか、つらいのか、楽しいのか語り出すのを見る。
  4. タイトルは本文の中で印象的な一文から書き抜く。(タイトルを決めるのは最後。古賀さんにとってはご褒美のような瞬間だそう)


「日記を続けられない」という人へのアドバイス

現在も毎朝日記を書いている古賀さん。古賀さんにとって日記はネタ帳のようなもので、新しい本を出す時やエッセイのネタを探す時などにデータベース的に見返すことが多いそう。来年日記本を出す予定で、そのために日々書き続けています。

古賀及子さん

「日記を続けられない」という人へのアドバイスは「どんな日記を書きたいかを想像してみてください」と教えてくれました。

「基本的には、書きたいという気持ちがあったら、もう書くしかないのかなと思っています。日記というのは書いても書かなくても誰も困らないものなので、続けたいと思うだけでもうちょっとすごいことですよね。続かない方は、何を書きたいのかがまだ見えていないのではないかと思うんですよ。そこを明らかにすると書き始められるのではないかと思います。あとは根性です」

みんなが日記を書けば平和になるような予感が。日記を書く人、文化がもっと広がればいい

古賀さんが好きな日記本は『富士日記』(武田百合子著/中公文庫)。「神としてあがめるほど大事にしている本」で、他の日記本を繰り返し読む習慣はあまりないそうですが、この本だけは何度も読んでいます」。

現在連載を6つ抱えながら、今年から来年に出す本の執筆や準備に忙しい古賀さん。今後やりたいことを聞くと「どんなものでも書いていきたい」と書くことにまっしぐらです。

「毎日日記を書いて、原稿を書いて、推敲して、ゲラを戻してという作業の繰り返しです。ひたすら書いています(笑)。 “日記を書いてみたい”という感想をもらうと、とても嬉しくなります。みんなが日記を書けば平和になるような予感がします。日記を書く人、文化がもっと広がればいいなと思います」

(後編につづく)

My wellness journey

私のウェルネスを探して

古賀及子さんの年表

1979

東京都生まれ。神奈川、埼玉で育つ

1999

短期大学を卒業

2005

『デイリーポータルZ』編集部に所属

2023

『デイリーポータルZ』を離れる。初著書『ちょっと踊ったりすぐにかけだす』(素粒社)を出版

2025

『私は私に私が日記をつけていることを秘密にしている』(晶文社)を出版

2026

『5秒日記』(ホーム社)ほか出版

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LEE編集部 LEE Editors

1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
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