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映画ライター折田千鶴子のカルチャーナビアネックス

映画『藁にもすがる獣たち』鈴鹿央士さん×成宮寛貴さん対談

【鈴鹿央士さん×成宮寛貴さん】「目の前に1億円あったら、どうする⁉」「やっぱ、とりあえずは…」爆笑対談、開幕!【映画『藁にもすがる獣たち』】

  • 折田千鶴子

2026.09.24

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成宮寛貴さん 鈴鹿央士さん

予測不能なマネーサバイバル映画で、1億円を巡り激突!

ただいま注目の2人――主演作が目白押しの鈴鹿央士さんと、益々輝きを放ちながら復帰した成宮寛貴さんが、映画『藁にもすがる獣たち』で共演しました。2020年には韓国で映画化された曽根圭介さんの同名小説(2011年初版)を、今の日本にアジャストするよう絶妙なアレンジを利かせて観る者の心をガッチリ掴みます。

「もし自分が1億円を拾ったらどうする⁉」と想像せずにいられないだけに、終始、目が離せなくなってしまう命がけの“1億円争奪サバイバル・エンターテインメント”。撮影秘話や裏話を、2人に色々とお聞きしました。

鈴鹿央士さん

オファー殺到中! まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの

鈴鹿央士

Ouji Suzuka

2000年1月11日生まれ、岡山県出身。2018年に「MEN’S NON-NO」専属モデルオーディションでグランプリを受賞。映画『蜜蜂と遠雷』(19)が高く評価され、ドラマ「silent」(22)でさらに注目を集める。25年には舞台『リア王』で舞台に挑戦。主演のNetflixシリーズ「喧嘩独学」が6月より配信中。他の主な出演作に、ドラマ「嘘解きレトリック」(24)、映画『花まんま』(25)、ドラマ「リーガルビート -逆転の法廷-」(26)など。映画『ファーストボイス』が10月2日公開予定。

成宮寛貴さん

益々色気を増して男盛り! 脂の乗った

成宮寛貴

Hiroki Narimiya

1982年9月14日生まれ、東京都出身。00年、舞台『滅びかけた人類、その愛の本質とは…』で俳優デビュー。主な出演作に、ドラマ「オレンジデイズ」(04)、大河ドラマ「功名が辻」(06)、ドラマ「ハチミツとクローバー」(08)、「相棒」シリーズ(12~13)、映画『逆転裁判』(12)、『映画 暗殺教室~卒業編』(16)など。16年に活動休止。ABEMAドラマ「死ぬほど愛して」(25)で俳優に復帰。舞台『サド伯爵夫人』(26)では主演を務めた。

本作のどんなところに魅力を感じ、オファーを受けましたか?

鈴鹿「韓国版の映画も、原作も、どちらもとても面白かったので、オファーをいただいた時は、素直に『やった~!!』と思いました。主人公の年齢を自分の方に寄せてきたとは思っていなかったので驚きましたが、すぐに『是非』とお返事しました」

成宮「僕は脚本を読んで、『これは、遊べるな』と思ったんですよ。40代の今の自分の年齢として、“遊べる”ようなお芝居やキャラクターって、なかなか出会えるものではない。固めていくお芝居が多くなっている中、こんな風に、やんちゃな感じのキャラクターを演じさせていただけるなんて、とても嬉しかったですね。それを楽しみたい、という思いでオファーを受けました」



『藁にもすがる獣たち』ってこんな映画

チャンネル登録者数2ケタの弱小大学生YouTuber・佐藤寛治(鈴鹿央士)は、バイト先のネットカフェで忘れ物のボストンバッグ――中に1億円が詰め込まれた――を発見する。ボケ始めた祖母・佐藤富子(風吹ジュン)と2人暮らしで生活が苦しい寛治は、思わず家に持ち帰る。そこに、ヤクザから多額の借金して窮地に立つ不良警官・江波戸良介(成宮寛貴)、妙に裏社会の事情や金儲けに詳しい若い女“し~な”(森七菜)が絡み、命がけの“1億円”争奪戦が始まる。監督は、『悪い夏』などの城定秀夫。脚本は、「岸辺露伴は動かない」シリーズの小林靖子。

お2人は初共演ということですが、互いの第一印象は?

鈴鹿「“わ、分厚っ!”って思いました」

成宮「僕は“デカっ!”って思った(笑)。この雰囲気だから、もう少しコンパクトな印象を持っていたんです。そうしたら意外と身長が大きいんだなって」

鈴鹿「よく言われます。成宮さんの分厚さは、すごい体を鍛えているのかと思いました」

成宮「うん。でも、鈴鹿君も鍛えているでしょ?」

鈴鹿「今は、なかなか(鍛えに)行けてないんです」

成宮「加えて僕は、“なんだこれ、笑顔が可愛いな~”って思いました」

今回ガッツリではないものの、お芝居を交わされて、どんなことを感じましたか?

成宮寛貴さん 鈴鹿央士さん

成宮「『鈴鹿君は、こういうお芝居をするだろう』という想像とは違いました。実際に完成した映画を観て、『なるほど、こういうお芝居にしたのか』と答え合わせが出来た感じがして、とても新鮮でした」

鈴鹿「なんか恥ずかしいな……」

成宮「例えば、『もう少し大人しめのお芝居をするだろう』とイメージしていたシーンで、大胆に叫んでいたり。想像よりずっと鈴鹿君のエネルギーが強くて驚きました。それが意外でありつつ、『すごくいいな』と感じて。本作は登場人物それぞれの目線で物語が進んでいくので、皆さんのお芝居がとても多種多様で、観た後で『こっちの目線からすると、こういう風に見えていたのか!』という感覚を味わって、僕自身も観客目線で作品を観られて、とても面白かったです」

鈴鹿「成宮さんが演じた良介は、警官としての“仕事出来ます感”に加えて、とても色気を感じました。台本を読んでいる時は雰囲気や仕草を想像できなかったのですが、車に乗っている姿1つとっても『カッコいいな』と惹きつけられて。警官として正義を貫こうとする善の面と、ヤクザと繋がりのある悪の面、双方を持っている男のカッコ良さの、どっちも持っている人なんて、あんまりいないよな、僕には(演じるのは)無理だなって思いました」

成宮「それを言うなら鈴鹿君が演じた寛治みたいな、お祖母ちゃんが大好きな可愛らしい男の子の、『こんな人が家に居たら、絶対にいい家族になっちゃうでしょ』って感じは、僕には出せない。鈴鹿君の空気を持った人、家に欲しいなって思いましたよ」

鈴鹿「一家に一台的な(笑)?」

成宮「そう。寛治は青年から大人になる過程にあるけれど、家族の事情に縛られて大人になれない感じ、家族のそばにずっと居てあげなければならない“枷(かせ)”がある表現が、とても魅力的でした」

お祖母ちゃんっ子・寛治は“受け”のお芝居

寛治とお祖母ちゃんのシーンはユーモラスでありつつ、リアルな事情が差し込まれているので切なくもあり、という味わい深いシーンが多いですね。

『藁にもすがる獣たち』
©2026「藁にもすがる獣たち」製作委員会

鈴鹿「僕は、お祖母ちゃんを演じる風吹さんとの家でのシーンが多かったのですが、寛治が『お祖母ちゃんがボケ始めちゃった……』と気づくシーンで、風吹さんがいきなり寛治を木魚(のバチ)で叩いたりしますよね(笑)」

成宮「(爆笑)面白かった! なんで木魚なのって(笑)」

鈴鹿「現場で『何で叩くと面白いかな』という話を監督とされていました。その時に風吹さんが手に持っていたものが“木魚のバチ”で、それで叩き始めて(笑)」

成宮「最高だね(笑)!」

鈴鹿「別のシーンでも、お祖母ちゃんが仏壇の死んだお祖父ちゃんに話しかけるときも、急にチーンっておりんを鳴らし始めたり。風吹さんが色んなアドリブをして下さったので面白かったのと同時に、寛治としては(おかしな挙動を見て)少し寂しくなる気持ちがあって……。もちろん俳優としては、『そんなアイディアがあるのか!』と思わされました。風吹さんとご一緒した時間が、本当に楽しかったです」

鈴鹿央士さん

成宮「確かに寛治は“受け”の芝居が多かったよね」

鈴鹿「ほぼほぼ“受け”の芝居でした」

成宮「でもよく考えたら寛治は両親もない環境で、自分で色んなことを決めなければならない。さらに、唯一の家族であるお祖母ちゃんがボケてしまうって、まだ大学生なのに狂気的な環境だよね」

鈴鹿「はい。本当に追い詰められていました」

成宮「ギリギリでキレそうになっている寛治を観ながら、“この子、本当に大丈夫なのか?”って心配になっちゃって……」

鈴鹿「城定監督から、『お祖母ちゃんがボケて、寛治が追い詰められていく時も、あまり重くなりすぎないで。湿っぽくなり過ぎないで』と言われていたんです。寛治は大学の授業料を払わなきゃいけないのにお金はないし、バイトでは大金稼げないし、でもお祖母ちゃんは(ボケて)高いお寿司を食べちゃうし……。追い詰められて『どうしたらいいんだ?』とキレそうになっている時に、1億円を見つけちゃうんです。だから寛治にとっては、「最後の一手がある!」という拠り所になっていたんです」

良介で思い切り“遊んだ”!

一方で不良警官・江波戸良介は、やんちゃし放題。最初におっしゃった“遊べる” 楽しさを、特にどのあたりで感じましたか?

『藁にもすがる獣たち』
©2026「藁にもすがる獣たち」製作委員会

成宮「やっぱり、(ヤクザの用心棒エリンギ役)青木マッチョさんには勝てないシーンですね(笑)。2人が殴り合うシーンでは、良介の性格や状況を考えて、監督に『もう少しズルい戦い方の方がいいのではないか?』と提案したりしました。殴り方1つにしても、敢えて“ちょっと小狡い感じ”に変えさせてもらったり。彼に力ではかなわないから、良介の小狡さを出したいなと思って。既に口が血だらけだったので、それを使って唾を吐くシーンを足してもらったりもして、色々と小細工を加えていきました」

鈴鹿「あのアクションシーンは、普段なら出来ないことをたくさんしていますよね」

成宮「撮影後まもなく閉館になった丸の内TOEIという映画館を使って、普段は出来ないことを一杯やっちゃいました(笑)。映画館の椅子を剥がして投げたり。僕は最初、『このシーンはスタントさんがやるだろうな』と思っていたんです。そうしたら監督が、『ワンカットで撮っていきます』と言って、『え、自分がやらなきゃいけないの!?』みたいな(笑)」

鈴鹿「あの撮影は本当に見に行きたかったです。『丸の内TOEIに車で突っ込みます』なんて言葉が耳に入って来て、『どういうこと?』って(笑)。しかも映画を観たら、実際に(スクリーンに)昔の任侠映画が流れていて。撮影現場で、本当に映画が掛かっていたんですよね?」

成宮「後ろでずっと映画が流れている中、こっちも長尺で(カメラを)回しているからタイムスリップしたような感覚もあって。『ものすごい作品とコラボしているな』と思いながら撮っていました」

鈴鹿「しかも昔の映画とセリフを合わせながら撮っていますよね!?」

成宮「そう。ピシャーって流血するのもね(笑)。こっちからも血が飛んでスクリーンが血だらけになっちゃって。でも僕の両足は真っ青になってしまったよ。(映画館の)1列目から3列目まで青木マッチョさんに吹っ飛ばされて、ガチでボコボコですよ(笑)。東映制作だからこそ、撮り得た映画ですね」

成宮寛貴さん

その場で生まれたものが多々詰まっているのですね。

成宮「各所で生まれたアイディアを、いろいろと足しました。ラストのシーンで良介が“あるもの” を拾うシーンも、追加で作ったシーンです。良介として、最後に何かないかずっと探していて。本作はお金に翻弄された人たちのお話なので、振り返ってそれを笑ってしまうような“何か”が欲しかったんです。それで監督に相談し、オリジナルのあのシーンが生まれました。とても遣り甲斐のあるシーンになりました」

あっという間の95分!

ズバリ、本作の魅力を聞かれたら?

成宮「とにかくスピード感が良い! 台本で読んだ時より、さらにスピード感を感じました。瞬きする間もなく、途中でダレることも一切なく、アッという間でしたね」

鈴鹿「僕も95分と知って観ましたが、いろんなものが詰まっているのに、それより断然短く感じるくらいアッという間でした。色んな人物が登場し、各所で起きていたことが終盤でつながった時、とってもスッキリして。こんな面白い作品に出られたことが嬉しかったです。だから皆さんにも、何も考えずに肩の力抜いて、楽しんで帰ってもらえる自信があります」

成宮「本当にそうだね。自分の力では上に這い上がれない人たちが、『お金さえあれば……』という思いを抱いて大金を巡って醜い争いをするわけですが、その大金の行方も楽しみに観て欲しいですね。誰しも彼らのように魔がささないとは限らない。劇中の誰かのような状況になってしまうかもしれない。あり得ないような話でいて、実はとてもリアリティもある。ドキドキしながら観ていると、入り込める人物が見つかるハズ。その人の目線で観てもらえると、さらに楽しいかもしれないです」

もし1億円が目の前にあったら――

観ながら誰もが“もし自分なら?”と考えずにいられないと思います。もしも1億円を見つけて、あわよくば誰にも気づかれずに自分のものにできる状況だったら、どうします?

『藁にもすがる獣たち』
©2026「藁にもすがる獣たち」製作委員会

成宮「どうしよう」

鈴鹿「それは警察に連絡します。でも、本気で誰にも見られてないってなったら……」

成宮「よぎるよね(笑)」

鈴鹿「よぎりますね(笑)」

成宮「一度、僕がお預かりしておこうかな、とか」

鈴鹿「このままにしておいたら、悪い奴が来て取るだろう。悪い人に取られるよりは、自分が一旦、預かっておいた方が安全だなと思います」

成宮「そうだね、一旦ね(笑)。でもやっぱり、すんごい怖いお金かもしれないから、やっぱり警察に届けますよ」

鈴鹿「ですね、結局は(笑)」

本作は、そう(警察に届けることが)できずに大金に翻弄されて“獣”になっちゃう人たちの物語です。演じながら彼らの“獣性”を感じた瞬間はありましたか?

鈴鹿「拾った大金をお祖母ちゃんに見つかってしまうシーンで、お祖母ちゃんが『これは、私がお祖父ちゃんと貯めたお金だから』みたいなことを言うシーンがあるのですが、その瞬間、お祖母ちゃんがボケていたおかげで持って帰ってきたことがバレずに済んだことに、寛治は『良かった~!!』と思ってしまう。もちろんボケたことへの悲しみややるせなさもありますが、『良かった』という気持ちの方が勝ってしまうのは、お芝居をしていても不思議でした。そう思ってしまう寛治を、最低だなと思って。そこに寛治の獣的な感性というか、お金の方に寄っている心を感じましたね」

成宮「対して良介はずっと獣感がありますからね(笑)。多分、彼は勘がとても優れているのだと思います。自分の身が危ないとか、好きな女性が嘘をついている、とか。馬鹿な部分もあるけれど、勘が鋭い。と思いきや、全く獣の勘が利かない瞬間があるのも、すごく愛すべきキャラクターだと演じながら思っていました」

成宮寛貴さん 鈴鹿央士さん

同時に俳優としては“獣性”――本能や動物性が、とても必要なスキルな気がするのですが、それは感じたことはありますか?

鈴鹿「体力的に“動物のような強さ”は必要だと感じます。撮影は大変だし、実際に体を動かさなくても、心や頭などいろんなものを動かさないとならない。それも、かなりカロリーを使うものですから。体力やバイタリティは、それこそ動物的な強さがないと出来ないというか。今は昔に比べると、無理し過ぎないように寄り添ってくれる現場になってきたと聞きますが」

成宮「僕は“理由なき感覚”を、やっぱり信じていますし、大事にしています。うまく理由を説明できないけれど、『違う。こうだ!』と感じることって誰しもあると思うんですよ。正しいか間違っているかはさておき、ピュンっと自分の中から出てくる感覚、瞬時に自分が動物的に感じ取る答えは、僕はこれまでも大事にしてきましたし、今後も大事にしていく気がします」

映画『藁にもすがる獣たち』

9月25日(金)より全国ロードショー

『藁にもすがる獣たち』

2026年/日本/95分/配給:東映/©2026「藁にもすがる獣たち」製作委員会
監督:城定秀夫
脚本:小林靖子・城定秀夫
出演:鈴鹿央士 成宮寛貴 森七菜/MEGUMI、前田旺志郎、二ノ宮隆太郎、青木マッチョ、岩松了、小手伸也/風吹ジュン


Staff Credit

撮影/山崎ユミ ヘアメイク/永瀬多壱(VANITÉS)(鈴鹿央士さん分)、INOMATA(&’s management)(成宮寛貴さん分) スタイリスト/椎名倉平(ONWA)(鈴鹿央士さん分)、杉長 知美(成宮寛貴さん分)

【鈴鹿央士さん着用分】
シャツ ¥29,700 KANEMASA PHIL.(カネマサフィル) 問合せ:KANEMASA PHIL.(カネマサフィル) 03-5784-1602
ブルゾン ¥90,200 トラウザーズ ¥52,800 : mando(マンド) 問合せ:mando (マンド)m-takasu@mando.co.jp
シューズ ¥25,300  REPRODUCTION OF FOUND(リプロダクション オブ ファウンド) 問合せ:EYEFOUND(アイファウンド)03-6434-7418

【成宮寛貴さん着用分】
ネックレス ¥209,000 MARIHA(マリハ) 
右手薬指リング ¥60,500 MARIHA(マリハ)
問合せ:MARIHA(マリハ)  03-6459-2572

折田千鶴子 Chizuko Orita

映画ライター/映画評論家

LEE本誌でCULTURE NAVIの映画コーナー、人物インタビューを担当。Webでは「カルチャーナビアネックス」としてディープな映画人へのインタビューや対談、おススメ偏愛映画を発信中。他に雑誌、週刊誌、新聞、映画パンフレット、映画サイトなどで、作品レビューやインタビュー記事も執筆。夫、能天気な双子の息子たち(’08年生まれ)、2匹の黒猫(兄妹)と暮らす。

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