映画『さとこはいつも』公開記念! 有村架純さん×石田ひかりさん対談
【有村架純さん × 石田ひかりさん】「不倫相手の妻に刺されるシーン、最高よね!」「あの時のセリフの言い方も、いろいろと考えました(笑)」【映画『さとこはいつも』】
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折田千鶴子
2026.09.20

『南極料理人』『さかなのこ』の沖田修一監督最新作!
人生にお悩み中の15歳、35歳、55歳の、同じ「さとこ」という名前を持つ3人の女性の奮闘を活写した映画『さとこはいつも』。思わずプッと吹き出したり、「あるある~!」と自分のことのように胸がイタタタタ……となったり。そんな“私たちを映した映画”の現場とは――。主演の有村架純さん、石田ひかりさんにお話をうかがいました。
監督は、『モリのいる場所』(18)で、ご登場いただいた沖田修一監督です。
果たして「さとこはいつも……」という言葉の後に続くのは、「ダメだなぁ」なのか、「可愛いなぁ」なのか、はたまた「どうして、そうなっちゃうの!?」なのか。それとも「さとこはいつも、素敵だな」か!? お2人から、どんな話が飛び出すでしょうか。

年齢性別を問わず愛される、脂の乗った国民的女優
有村架純
Kasumi Arimura
1993年2月13日生まれ、兵庫県出身。朝ドラ 「あまちゃん」(13)で注目され、「ひよっこ」(17)でヒロインに抜擢される。主な出演作に、『映画 ビリギャル』(15)、『花束みたいな恋をした』(21)、『るろうに剣心 最終章The Final/The Beginning』(21)、『前科者』(22)。ドラマに、「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(16)、「コントがはじまる」(21)、大河ドラマ「どうする家康」(23)。近作に、映画『花まんま』(25)、『マジカル・シークレット・ツアー』(26)、ドラマ「GIFT」(26)など。

今も昔も変わらずキュート。さらに役幅を広げて更新中!
石田ひかり
Hikari Ishida
東京都出身。映画『ふたり』(91)で映画初出演にして初主演。朝ドラ『ひらり』(92)でヒロインに抜擢される。近年のドラマ出演作に、「猫村さん」(20)、「続・続・最後から二番目の恋」(25)、「鬼女の棲む家」(26)、映画に『HOMESTAY(ホームステイ)』(22) 、『ブルーピリオド』(24)、『リライト』(25)、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出された『ルノワール』(25)など。
長いキャリアをお持ちですが、なんと本作が初共演だそうですね。
有村「今回が『初めまして』でしたが、石田さんが気さくに話し掛けてくださったお陰で、現場で心がほぐれまくり、本当に癒されました(笑)。しかも掛けてくださる言葉が、ポジティブなものばかり。きっとどんな現場でも、石田さんとご一緒された方々は癒されているのだろうな、と思いました」
石田「私が言うのも何ですが、いつの間に、こんなに素敵なお姉さんになられていたの(笑)!と。その間ずっと架純ちゃんの出演作を拝見してきて、とても良い作品に沢山出演されている、いい俳優さんだなと思っていました。だからお会いした際に、“今も昔も素晴らしい作品に恵まれて、羨ましい”と伝えたんです。いろんな脚本家さんが書かれた素敵なセリフを、たくさん言ってきたことが本当に羨ましいと、現場でも話しましたね」
有村「もう滅相もないことで……」
石田「もちろん私もありがたいことに、沢山の素晴らしい作品に恵まれて来ましたが(笑)、架純ちゃんは本当に素晴らしいわ、と」
『さとこはいつも』ってこんな映画
同級生への初恋を持て余し、妄想爆発中の15歳の聡子(姫野花春)。不倫も仕事もスランプ気味、映画配給会社に勤める35歳の沙都子(有村架純)。末っ子が高校を卒業し、遂に20年にわたるお弁当作りを終え、自分の時間を取り戻した55歳の里子(石田ひかり)。世代が異なる3人の「さとこ」が、 “胸に秘めた思いを書くこと”に目覚め、ひょんなことから出会い、人生が交差していく――。
今回の役に入る前に、考えたことを教えてください。有村さんが演じた沙都子に対して沖田監督は、「成仏とハッピーエンディングの不倫」というお題を与えたそうですね。

有村「都会で働く女性として、日々頑張って来た35歳の沙都子は、既に新人ではなくベテランに足を入れかけている、というキャリアを意識しました。新人でも完全なるベテランでもない中間層は、まだ“どっちつかず”という感じもあるんじゃないかな、と。そういう変換期ともいえるグラデーションの中で、戸惑いや不安を持っている印象をもって臨みました」
宣伝会議のシーンは、きっと多くの働く女性が身に覚えがあると思います。ピリついたシーンでもありますが、実際の撮影現場はどんな感じでしたか?
有村「あのシーンも、働く女性として出来過ぎていない感じの、ちょっと“危うさ”が感じられる方がいいな、と思っていました。もちろん沙都子は真面目にやるべき仕事をこなしているし、それに対するプライドもある。でも心の奥底には不安があるのではないか、と。いかにも“バリバリ仕事をこなすカッコいい女性像”ではなく、その“プライドと不安の微妙な接点”を意識しました」

対して石田さんが演じた飯島里子には、監督は「夢の続き」という課題を与えたそうですね。
石田「里子は子育てが終わり、『物書きになりたかった』という、忘れていた昔の夢を思い出して、『もう一度やってみよう』と思い立つ。夢の続きを夢見る“おばさん”を演じようと思いました。実際に私の周りでも子育てが一段落し、“さて、どうしようかな”と言っている人が少なくない、そんな世代ですよね。
パートに出始める友人もいれば、1日中Netflixを見ている友達もいるし、毎週ゴルフに行く元気な友達もいたりする。本当に人それぞれですが、人生のある種の転換期であることは間違いない。何をするかは、それぞれで違いますが、人生の第2、第3の章を新しく始めることに対しては、やっぱりワクワクするし、希望しかないと思いました。きっと里子も、そういう気持ちなんじゃないか、それを忘れずにいようと撮影に臨みました」

その里子は、20年も息子たちにお弁当を作り続けて来ましたが、最終日に家族の誰も気づかない。なんだか、もう虚しくて……。
石田「本当にそうですよ! 特に里子の場合は、3人とも男の子だったというのがミソなんですよね。1人でも女の子がいれば、気づいてくれたかもしれない。男の子3兄弟の子育てはさぞかし大変だったでしょうが、誰も気づかないなんて、そりゃ虚しくもなりますよ。でも虚しさというより、やっぱり寂しかったんじゃないかな。だから、お花屋さんに行ってね……」
有村「自分のためにお花を奮発して買うシーン、大好きでした! ただ、私は監督が里子さんに与えた『夢の続き』というテーマに、とても希望を感じたんです。里子さんは20代で子どもができて結婚し、ご家庭に入られた。時代もあるとは思いますが、子育てや家族に人生の重点が移ってしまい、ハッと振り返ったら何十年も経っていた……というのは、そう珍しいことではないんだろうな、と。
でも里子さんを見て、自分がやりたいことを再び始めるのは、人それぞれのタイミングがあり、別にいつでもいい。自分の人生を立て直す扉は、すぐそこにあると教えられた気がして。私がこれから先の人生を生きていく上での、希望をもらったように感じました」

逆に石田さんは、有村さんが演じた35歳の沙都子の奮闘を、どんな風に感じましたか。
石田「沙都子さんの人生って、なんてドラマチックなのって。人生をとても楽しんでいるし、それこそ不倫相手の妻に刺されるなんて、どこまで劇的なんだ、と(笑)。しかも刺されたときに『痛~ッ!』って叫ぶ、あのシーンが大好きでした」
有村「台本にも、『痛~ッ』の後にビックリマークがたくさん書かれていました」
石田「確かに、台本通りよね。でも、本当に最高でした!」
有村「最初はどう言おうか、かなり迷いました。『痛い~!!』にしようか、『イッ!!』と声にならない方がいいか、とか。でも、台本通りに『イッタ~!!』と言うことに意味があるのだろうし、その方がやっぱり面白いだろう、と思って(笑)」
石田「そりゃ(刺されたら)痛いでしょうけれど、『え、そこ?』と思わせるような面白さがあるのよね(笑)。よくある『キャー!!』でもなく、『とても痛いです!』と主張している風なのが最高よ。その上、後半では、あんな展開も待っていて。もう沙都子さんの人生、最高ですよ。ちょっと羨ましかったです(笑)」
相手役、オダギリジョーさんと筒井道隆さんについて
相手役についてお聞きします。沙都子の不倫相手を演じるのは、オダギリジョーさんです。

有村「オダギリさんが面白いことをされるので、全部のシーンが楽しみでしたし、オダギリさんに引っ張っていただいた場面がたくさんありました。例えば、沙都子が(不倫相手の妻に)刺されるシーンで『お~!!』と叫んだり、その後のセリフもオダギリさんのアドリブです。台本には“ちょっとアワアワする”と書かれていましたが、あんなに大慌てするとは思っていなかったので、思わず驚きました(笑)。
オダギリさんは、コメディをはじめ様々なジャンルの作品に出演されていらっしゃいますが、沖田監督ワールドの中で、どんな風に調和をとられて演じるのかなと楽しみだったんです。そうしたら予想以上に、思い切った表現をされてきて。でも押し付けがましさがなく、声色も含めて本当に絶妙な温度感で、とても楽しかったです。現場もゲラゲラ笑いが起きていましたが、沖田監督が最も笑ってくださってました」
石田「沖田監督は本当にニコニコと、楽しそうにしていらっしゃいましたよね」
里子さんの夫を演じるのは、「あすなろ白書」(93)で恋人役を演じられた筒井道隆さんです。お2人が本作で夫婦を演じられる奇遇にも興奮必至です。

石田「今回の現場で、スタッフさんが『筒井君と連絡が取れない』と騒いでいたことがあったんですよ。彼とは簡単に連絡が取れないの。なぜなら携帯を持っていない、いえ、必ず家に置いてくるから(笑)。だから『早めに入って欲しい』と騒いでいるスタッフさんに、『心配ないですよ。携帯を持っていないから、すぐには連絡を取れませんが、入り時間には来るから大丈夫』となだめました」
有村「面白いですね(笑)! 連絡はつかないけれど、既定時間には必ず来る、と」
石田「昔からね。もしや自転車で来るのかと思いましたが、さすがに今回は電車で来ましたね(笑)」
有村「普段は自転車で来られるというのも、本当に面白い(笑)!」
石田「うん。そういう人なの! でも今回、里子の旦那さんを筒井君が演じると聞いた時は、心底ビックリしました。もっと前に教えて欲しかった。私にも、心の準備が必要なんです。バラエティー番組でお会いしたことはありましたが、お芝居をするのは約30年ぶり、ほぼ『初めまして』状態ですから。
でも、やっぱり“あすなろ会”には特別な絆があると改めて感じました。というのも、本作で私、自分でも見たことのない顔をしていたんです。それを見て、やっぱり相手が筒井君だからだなと思って。自分でもビックリして、(自分は筒井さんに)本当に心を許しているんだな、それほど大事な存在なんだと改めて感じました」
有村「きっとお互いにそうなんでしょうね。すごく素敵です!」
石田「最後の共演から長い年月が経ちましたが、自分でも見たことのない自分の顔を見て、(共演の機会を)寝かせてきて本当に良かったなと思いました(笑)」
その筒井さんが演じる旦那様は、妻の里子さんを大切に思っているのかいないのか、温度感が微妙な印象を受けたのですが……。

石田「そうなんですよ! 2人は学生時代に出来ちゃった婚をして、里子は3人も産み育てて来たのに、そんな妻に向かって、『(物書きという夢に対し)好きなだけ書けばいいよ』って、一体どの口が言ってんの、って。それ(夢)を途切れさせたのは、あなたでしょって言いたくなりますよね。しかも里子のことを、『お前』と呼ぶ!」
有村「確かに、そう呼んでいましたね」
石田「どんだけ自信があるんだ、って話ですよ(笑)」
有村「完全に里子さんに甘えていますね!」
そういう意味でも、妻をカチンと来させるような絶妙さも沖田監督ならではですね。
石田「そうですね、完全に確信犯ですよね」
今、そして、これからの自分
とりわけ今年、お2人とも目覚ましい活躍のように見受けられますが、現在の心境や意識・環境の変化を、どのように感じていますか?
有村「20代の頃は、振り向くことなく走ってきたように思います。だから周りを見られているようで、本当の意味では見られていなかった瞬間がたくさんあったな、と。周りのみんなを幸せに出来ていたかと問われると、決してそうではなかった気がするんです。

でも30代に入り、今はみんなで一緒に“もの作り”をしている楽しさを感じています。正直、経験が増えるほど知ることも増え、それが時に邪魔になったりもするし、知らない方が楽なこともある。でも年齢を重ねるごとに、そういうものによって自分がいかに凝り固まらないようにするか、常に柔軟性を持った考えを持てるかが大事だし、大事にしていきたいです」
仕事に対する充実感は、変わりなく?
有村「ありがたいことに、お仕事を続けていけるこの環境は、とても贅沢だと感じています。そんな中でも沙都子と同様、20代では20代なりの、30代でも30代なりの変換期があるのだなと感じています。そのグラデーションは、まだまだグラグラしている感じ。沙都子と同じように、戸惑いや不安を覚える時期を乗り越えるのは、ちょっと大変だったりします。今の私も35歳に向けてグラグラしているし、きっと40代に向けた変換期をまた迎え、戸惑うのだろうなと思っています」
石田さんは、ご自分の意識や環境の変化を、どのように感じていますか?
石田「思えば私も、ずっと突っ走ってきた人生でした。最近はお母さん役が多くなっていますが、これまではずっと“いいお母さん”でした。でも時代の流れなのか、そうではないお母さん役をいただくようになって。それは、とてもいいことだと感じています。

加えて、芸能界を取り巻くルールや流れも、刻々と変わっています。基本は、より良い方向に向かう変化で、だからこその紆余曲折もある。今はそのうねりが始まったばかりで混乱もありますが、そういう変化や混乱も楽しみながら、みんなで知恵を出し合い協力し、トライアンドエラーを繰り返し、より良い方向に進んでいきたいですね」
最後に、15歳の聡子役、姫野花春さんの素晴らしさについて。

石田「本当に可愛かったですね! 普段の花春ちゃんは、ぬいぐるみみたいに愛くるしい。しかも、本作が初の本格的演技というのに、堂々たる主演を務めていらっしゃいましたね」
有村「本当に絶妙な存在感でした。ネブライザーを当てる、ファーストカットからして」
石田「ネブライザーを外しながら『終わりました~』っていう言い方が、ものすごく力が抜けていて、その力の抜けさ加減が実に絶妙で、ビックリしました。こんな力の抜けた『終わりました~』があるのか、と(笑)。きっと、みるみるうちに素晴らしい俳優さんに成長されるのでしょうね」
有村「そう思います。多分、この映画で、その才能を既に発見されちゃうでしょうね(笑)」

取材後記
石田さんが「いつの間に、こんな素敵なお姉さんに!」と驚く言葉に、一緒に頷いてしまうような有村さんの落ち着いた佇まいも、ますます素敵でした。有村さんが「きっと周りの人はみな癒される」とおっしゃった石田さんのハッピーオーラに包まれながら、石田さんのパワフルで温かな空気は、きっとみんなが一緒に仕事をしたがる、それゆえの輝かしいキャリアだなと納得しました。
さて、人間の“愚かしさや、ちょい恥ずかしいリアルな素”が、妙に可笑しくて愛しいユニークな作品群を作り続ける沖田修一監督の、最新作『さとこはいつも』。LEE世代ならきっと皆、3人のさとこそれぞれに、「あるある(あった、あった)」や「分かる~!」と思わずニンマリするはずです。
是非、映画館で噴き出しながら、人生がなんとなく豊かになる、そんなひと時を心ゆくまで味わってください。
映画『さとこはいつも』
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中

監督・脚本 沖田修一
出演:有村架純 石田ひかり 姫野花春 / 吉田羊 オダギリジョー 筒井道隆
配給 ハピネットファントム・スタジオ
Staff Credit
撮影/菅原有希子 スタイリング(有村架純さん)/道端 亜未 スタイリング(石田ひかりさん)/Lim Lean Lee ヘアメイク(石田ひかりさん)/神戸春美
■有村架純さん着用分
トップス ¥63,800、パンツ¥58,300(アキコアオキ)、シューズ ¥137,500(ジャンヴィト ロッシ)、右手人差し指・中指リング ¥ 242,000、左手人差し指リング ¥ 144,100、左手中指リング ¥ 253,000 (ヒロタカ)
【問い合わせ先】
アキコアオキ 電話番号:03-5829-6188
ジャンヴィト ロッシ ジャパン カスタマーサービス 電話番号:03-3403-5564
ヒロタカ 表参道ヒルズ 電話番号: 03-3478-1830
■石田ひかりさん着用分
ドレス ¥143,000(3.1 Phillip Lim)、ピアス(ロング両耳) ¥26,400、ピアス(左耳上のピアス) ¥13,200(e.m.)、他 スタイリスト私物
【問い合わせ先】
3.1 フィリップ リム ジャパン: customercare@31philliplim.co.jp
e.m.青山店 電話番号:03-6712-6797
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折田千鶴子 Chizuko Orita
映画ライター/映画評論家
LEE本誌でCULTURE NAVIの映画コーナー、人物インタビューを担当。Webでは「カルチャーナビアネックス」としてディープな映画人へのインタビューや対談、おススメ偏愛映画を発信中。他に雑誌、週刊誌、新聞、映画パンフレット、映画サイトなどで、作品レビューやインタビュー記事も執筆。夫、能天気な双子の息子たち(’08年生まれ)、2匹の黒猫(兄妹)と暮らす。
















