FIFA ワールドカップ2026にて、5大会連続で日本代表に選出された長友佑都選手。39歳にしてプロの世界で活躍を続ける長友選手を約10年間、食事や栄養面から支えているのが、専属シェフの加藤超也さんです。著書『鶏が主役! 超たんぱくめし』(主婦の友社)も好評の加藤さんに、本のおすすめポイントや長友選手とのエピソードを伺いました!

著書『鶏が主役! 超たんぱくめし』
加藤超也さんの最新レシピ本は1冊丸ごと「鶏肉」
部位もさまざま、おかずからおやつまで。バリエーション豊かな鶏肉の食べ方を掲載
今回、1冊丸ごと「鶏肉」をテーマにしようと思われたきっかけは?
2016年から約10年間、長友選手のサポートを続けていて、39歳という年齢でワールドカップ日本代表選出を成し遂げたというのは、ご本人の努力の賜物ではあるのですが、積み重ねてきた食事の力も非常に大きいなと感じているんです。あらためて「食べたもので体は作られる」ということを、長友選手と一緒に実践し、成果を残すことができた10年間だったのではないかなと思います。
このノウハウをより多くの人にアウトプットしたいと思い、体づくりの主役となる「たんぱく質」を身近に感じてもらうためには、鶏肉がぴったりなのではと。栄養価が高く、どこのスーパーでも手に入り、物価高の今でも安価で買いやすい。この3つがそろう最強の食材として、今回は鶏肉を主役にしました。メジャーな鶏ももや鶏むねのレシピはもちろん、部位もさまざま、おかずからおやつまで、ありとあらゆる鶏肉の食べ方をご紹介しています。
本を読ませていただき、鶏肉だけでこんなにもバリエーション豊富なレシピがあることに驚きました。
まさにそれが今回伝えたいと思ったところで、鶏肉を主役にしたら、これだけの食べられる部位や調理法があるんだよということを、わかりやすく整理して発信できればと思いました。「もも」「内臓」「ひき肉」「ささみと鶏むね」など、部位ごとにパート分けしていて、あらためてそれぞれの特徴や含まれる栄養素についても解説しています。担当の編集さんが、僕の意図を汲んで各パートごとにキャッチコピーのようなタイトルもつけてくれて、そちらも気に入っています。
「内臓は友達!」というタイトルは印象的でした!
おもしろいですよね。鶏の内臓を自分で調理して食べることはハードルが高いと思う方も多いかもしれないのですが、海外に比べると、日本では本当に鮮度の高い状態でレバー、ハツ、砂肝などが売られているんです。栄養素の宝庫でもあり、僕からすると最高の食材! 成長期の子どもたちはもちろん、ホルモンが影響する貧血に悩む女性にも、鶏の内臓がもつ動物性の鉄分をぜひ摂ってもらいたいなと。より身近に感じてほしいという僕の思いが「内臓は友達!」に込められています。

子どもの好き嫌いは体のサインかも。苦手な理由を聞き、食べることを強制せず受け入れて
家族のための、毎日のごはん作りに頭を悩ませるLEE読者も多いのですが、特に子どもにおすすめの鶏料理はありますか?
本の中で紹介している「パワー! トリテキ」はおすすめです。ウスターソースとオイスターソースを使っていて濃いめで、子どもが好む味付けになっていると思います。一緒にごはんが進みやすいので、おかずもごはんもたくさん食べてほしいお子さんにはぴったり。僕は、いくら体のためとは言っても、おいしくないものを子どもたちに無理に食べさせることは避けたいなと思っているんですね。まずは、食べて「おいしい!」と感じてもらえることを、一番に考えています。
大事なことですよね。とはいえ、子どもの好き嫌いが多く困っているお母さんも……。
お子さんの偏食や食が細いといったお悩みは、多くのお母さん方の共通の悩みですよね。”好き嫌い=わがまま”のように思ってしまう親御さんもいると思うのですが、好き嫌いって単純に嗜好の問題だけではなく、本能的かつ体のサインでもあったりするんです。最初はただ苦手だと思っていた食材が、実はアレルギーにつながっていた、といったことは結構あるんですね。
食事の時間が苦痛にならないように、まずは食べることをを強制しない。そして、子どもの好き嫌いを受け入れてあげて、コミュニケーションを大事にしてほしいなと思います。苦手な食材があったら、なぜ苦手なのかを本人に聞いてみてください。「ピーマンのどんなところがイヤ?」「どんな感じだったら食べられそう?」などと質問してみると、同じ食材でも苦味や酸味などの味、食感、においなど、さまざまな嫌いな理由があるはず。次回はそこを意識して調理してみたり、食べなくてもいいからまた次回……と続けているうちに、成長とともにいつの間にか食べるようになった、なんてこともあるかなと思います。ぜひ、やわらかい考え方で、お子さんの食事と向き合ってほしいですね。

献立は決めない。長友選手が欲するものを見極め、体に合った食事を提供
長友選手のサポートをする上で、特に意識されていることはありますか?
長友選手のサポートにおいても、食べなくてはならないではなく、食べたくなる料理を用意することを最も意識しています。摂るべき栄養素を優先して、あらかじめ1週間の献立を決めて今日はこれを食べてください、というのもひとつの有効な方法ではあると思います。ただ僕は、そうなると本能的なシグナルが出てこなくなり、食べたものがその体に本当に必要なエネルギーに変わっていきづらいのではないかなと考えています。
だから、長友選手が欲するものが何か、常に想像して考えるようにしていて、今日は暑かったからさらっとした食感のものにしようとか、すごくハードな試合後で疲れているからスープ系で食べやすく、などと考えて食事を作っています。そのためにはやはりコミュニケーションもすごく大切で、前日に必ず「明日何がいいですか?」とヒントをもらうようにしているんです。例えば、先日は「牛肉と牡蠣が食べたい」というリクエストをもらったのですが、それって栄養素で見ると亜鉛が足りていないということなんですね。試合後の疲労で男性ホルモンのテストステロン値が下がっているのかなと。長友選手クラスになると、本人も自分が今欲するものがわかっているので、それをきちんと汲み取って食事として提供するのが、僕の仕事だと思っています。
食べる人が欲するもの、食べやすいものを作るというのは、家庭でも実践できそうですね。
読者の皆さんは、料理のプロではないので、負担になることはしなくていいとは思うんです。ただ、子どもが夏場に汗をたくさんかいたら少し塩分強めの味付けにする、など、少しの意識と工夫で、家族が前向きに食事を楽しんだり、たくさん食べてくれたりすることはあるかもしれないですね。
加藤シェフにきく「スポーツキッズの食」
book information
加藤超也さん『鶏が主役! 超たんぱくめし』(主婦の友社)

体が資本であるトップアスリートを10年に渡り支える加藤シェフだからこそ伝えられる、経験と実績を伴った鶏レシピをお届け。長友氏がこれ以上のものはないと豪語する「加藤家の唐揚げ」、レバーやハツが食べやすいトマトパスタ「スタミナポモドーロ」、間食におすすめの「エネルギー蒸しパン」など、計55品を掲載。
Staff Credit
撮影/倉方真帆(加藤シェフポートレート) 長友選手との写真は書籍『鶏が主役!超たんぱくめし』より 取材・文/野々山幸
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