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水垢、サビ、においの掃除に!100均の「クエン酸」で、それ全部落とせます
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藤原千秋
2025.01.23
冬から春先にかけてって、案外「水垢」汚れが目につきやすかったりしませんか?
温かい飲み物のための、電気ポットやコーヒーメーカーで。長湯しがちなお風呂場で。風邪予防に焚いている加湿器で。
でもおかしいなあ。ふつう洗剤で洗えば汚れたモノはキレイになるはず。そのための洗剤のはず。でも「普通に」洗剤を使って洗っても、どうにもスッキリしない汚れが家の中にはあります。
そんな汚れの筆頭が「水垢」。ベタつき、油っけはなく、おおむね白っぽくて触るとザラザラ、ゴリゴリします。
これは水道水に含まれるミネラル分、主に炭酸カルシウムによるもので、「石っぽい」といえば思い当たる人も多いのでは。そう、あれらには「普通の洗剤」はほとんど役に立たないのです。
じゃあ何でなら落ちるのか? それはズバリ「酸」。
なかでも身近な店で入手でき、かつ比較的安全な酸が「クエン酸」。これを使いこなさない手はありません。
その困った汚れ。クエン酸で、じゃんじゃん落としていきましょう!

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クエン酸は、どこで買う?
基本的には酸味をもたらす食品添加物であるクエン酸ですが、掃除や洗濯に用いる場合は必ずしも食品グレードである必要はありません。
とはいえ一般的なドラッグストアや100円ショップの洗剤コーナーなどで掃除用に市販されている商品でも、食品添加物扱いであることがほとんどです。
手作りで酸っぱい紫蘇ジュースを作る予定がなかったり、まずまずクエン酸自体を使い慣れていない人ならば、まずは少量から試せる100円ショップで購入すると良いでしょう。
ただ食品添加物であることにはメリットがあり、それは口に入る可能性のあるものの洗浄に使う際に残留毒性などの心配がほぼない点。
洗剤でなかなか落ちないポットや電気ポット、コーヒーメーカーやヤカンの内側、冷蔵庫の自動製氷装置の白茶けたゴリゴリ、ウロコっぽい汚れ。
洗剤をたくさん使って、でもその洗剤がすすぎ残っていたらちょっと気持ち悪いような場合でも、クエン酸なら問題なしなわけです。
ほかにも酸はあるのでは?

でも「身近な酸といえば食酢」「レモン汁も酸では?」その通り。また掃除用には市販の酸性洗剤もあり「塩酸」や「スルファミン酸」などが主成分となっていたりします。
各々特性がありますが、クエン酸の場合、酢(酢酸)にある「酸っぱい臭いがない」、レモンに比べ「断然コスト安」、また塩酸と違い「手で触れても化学やけどの心配がない」など、メリットが大きいのです。
家庭の掃除、洗濯にクエン酸をおすすめするゆえんです。
クエン酸はどう使う?
通常、クエン酸は無臭の白い粉として市販されています。これを基本的には水に溶かし「クエン酸水溶液(クエン酸水)」にして使います。
量は少なくても効果を発揮しますので、200グラム程度を110円で購入しても、なかなか無くなりません。
また、乾燥状態で保存しておけばほぼ劣化もしません。とても経済的なんです。
ただクエン酸には潮解性(空気中の水分を吸って水溶液になる性質)があるため、溶けたり固まったりしてしまうことも。保管時の湿気には十分注意しましょう。
逆に言えば、水に極めて溶けやすいぶん、漬け置きやスプレー向き。
また一部、粉のまま振りかけ、水を少量加えて溶かしながら汚れを落とす方法もあります。
クエン酸で【電気ポット、コーヒーメーカー、ヤカンなどの水垢】を落とす

まず水(水道水)1リットルにクエン酸小さじ2杯(10グラム)を目安に溶かしてクエン酸水を作ります(1%水溶液)。
電気ポットなどの内側に付く水垢の正体は主に水道水に含まれる炭酸カルシウムが堆積したもの。これとクエン酸を反応させることで落としやすくします。
電気ポットやヤカンには通常の水のようにクエン酸水を注いで沸騰させ、そのまま冷めるまで放置します。コーヒーメーカーも給水タンクにクエン酸水を入れてドリップ。火傷しない温度になったらスポンジ等で擦り洗いし濯ぎ、コーヒーメーカーは水でもう一度ドリップします。
冷蔵庫の製氷タンクには市販の製氷装置掃除用の「色付きクエン酸」を用いると、通常の氷と間違わずに便利です。
クエン酸で【キッチンや洗面所、浴室の水栓、蛇口周りの水垢】を落とす

水(水道水)0.5リットルにクエン酸小さじ2杯を目安に溶かしたクエン酸水をスプレーボトルに入れ、水垢汚れに噴霧して5分ほど置いてから擦り洗いします。水垢が多い場合はスプレーしたのちラップなどで覆って乾かないようにして30分程度湿布を。
このときポリカーボネート製などの掃除用「ヘラ」を併用するとより効率的に水垢を落とすことができます。金属部には成分を残留させないようしっかり濯ぐか、濯ぎ拭きを。
クエン酸で【加湿器のタンクやフィルター】を落とす

水(水道水)1リットルにクエン酸小さじ2杯を目安に溶かしてクエン酸水を作り、タンクに注いで振り洗いし、よくすすぎます。気化式加湿器のフィルターを漬け込んで30分〜2時間程度置いて水垢を溶かし、流水でしっかりすすぎます。
加熱式加湿器の場合は加熱部に水垢が石化し堆積しやすいので、クエン酸粉をそのまま利用することが多いです。製品取扱説明書に従って漬け込んでください(「クエン酸洗浄モード」などとされています)。
加湿器では水がすぐなくなるので、どうしてもいちいちタンクやフィルターを洗わず、”水をつぎ足し”してしまう傾向がありますが、これが基本的には厄介な汚れの主原因になります。
面倒くさくても毎回タンクやフィルターを軽くでいいので水で洗ってから新しい水を足すようにすると汚れ方が一変します。
クエン酸で【シンクや浴室の”もらいサビ”】を落とす
缶詰の缶やヘアピン、T字剃刀などを不用意に水場に置いて付着してしまった茶色いシミ(もらいサビ)、うっかり付けがちですよね。
クエン酸粉末を直に振りかけて少量の水で溶いてシミを覆い、15分程度置いたらクリームクレンザーをかけてスポンジなどで擦り、よくすすぎましょう。
一度に全部落とせなくても、何回か繰り返すことでしっかり落とすことができます。
クエン酸で【トイレのおしっこ臭さ】を落とす

尿に含まれる「アンモニア」が原因のトイレ臭にも、クエン酸は著効します。
水(水道水)0.5リットルにクエン酸小さじ2〜4杯を目安に溶かしたクエン酸水をスプレーボトルに入れ、雑巾などに吹き付けたものでトイレの壁(ビニールクロスやタイル)や棚、床の拭き掃除を。
クエン酸水スプレーで日頃から便器内も掃除しておくと、便器の尿石が溜まりにくくなるため尿石由来の臭いも減ります。
クエン酸を【衣類用石けん洗剤のリンス】として使う
石けん洗剤を使って洗濯をしている場合は、柔軟剤がわりにクエン酸水を用いることで、石けんの弱アルカリ性が中和されて、洗濯物がフワッと仕上がります。石けんかすの白残りが気になる場合にもクエン酸での濯ぎで消えるので仕上がりが綺麗になります。
量は、水30リットルにクエン酸小さじ3分の1(約1グラム)が目安です。
最後に、クエン酸でできないこと

カビ取りや細菌(バクテリア)やウイルスの殺菌は、クエン酸ではできません。
消毒したい場合は、「消毒用エタノール」を使って。
また、石を溶かしてしまうので「大理石のタイル」などの掃除には使ってはいけません。元に戻らない変色や曇りの原因になります。
また前述しましたが金物に残留させるとサビの原因になるので、掃除をしたらしっかりすすぎ拭いて、成分が残らないようにしましょう。
そしてくれぐれも、次亜塩素酸ナトリウムを主成分とした塩素系漂白剤(カビ取り剤)とは、同時ないしは連続して使用することのないようにしてください。有害な塩素ガスを発生させるため危険です。
身近で安価なクエン酸を使いこなして、スッキリ生活を手に入れてくださいね。
LEE本誌や、LEEwebでも大活躍中の家事スペシャリスト、藤原千秋さん。早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届けします。次回もお楽しみに!
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藤原千秋 Chiaki Fujiwara
住生活ジャーナリスト、ライター
掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。