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【トイレ掃除の基本と極意】いつもきれいなトイレのための、持続可能な10のコト
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藤原千秋
2024.08.22
究極のひとり空間、トイレ。
いつもキレイが一番です。
LEEでも何度かその掃除方法を具体的にご紹介しておきましたが、
今回は、押さえておきたい10の心得をご提案。
グッズ選びから掃除テクニックまで。
おさらいがてら、できるところから、取り入れてみてくださいね。
Point
01
トイレの便器汚れは、すぐに擦り落とせば溜まらない「ブラシ」をいつもそばに
「トイレ掃除=便器掃除」と多くの人は認識しているはず。
それもそのはず、排泄物がインするのは便器の中ですから、もちろんおもな汚れが付くのも便器の中。
そして、水洗だけでは落としきれない事態は、しばしば生じます。
トイレブラシを特定の掃除する人のもの、特別なものにせず、そのトイレを使う家族全員が、「サッ」と使える場所にスタンバイさせておきましょう。
Point
02
「トイレ最大の敵は飛沫」その1
ブラシを飛び散りにくいものに変える
トイレブラシ。数多の種類、値段で市販されていますが、何をポイントにそのトイレブラシを選び使っていますか?
デザイン性?長持ちしそう? トイレブラシなんてどれも同じだと思っていませんか?
「トイレブラシ嫌い」という方の意見に、「汚れが飛び散るから」というものがあります。
実際、確かに硬くてコシの強いブラシほど、擦るときによく水滴や汚れが跳ねてしまうものです。不快なのも、理解できます。
でも逆に跳ねないトイレブラシを使うと「こんなにも使いやすいし、汚れも落ちるものなのか」と驚くことでしょう。
おすすめはヘッドが柔らかい素材のトイレブラシです。ぜひ見つけて使ってみてください。
Point
03
「トイレ最大の敵は飛沫」その2
「尿はね」は、便座裏と床に
男性が立ってする排尿時の飛沫が問題になって約20年。
でも、女性も座っての排尿で、便座裏や便器内ふち裏に、やはり飛沫を飛ばしてしまっています。
いずれも人やトイレの構造の問題、自然の理なので致し方のないこと。
でもトイレを不潔にする、確かで大きな原因ではあります。
そんな「尿はね」はなるべく長時間放置しないのが、汚れ・臭いともに酷くしないため大事なポイントになります。
ですから、拭きます。可及的速やかに。
拭くものはトイレ用中性洗剤を少量のトイレットペーパーに吹きつけたものでも良いですし、使い捨てトイレ用ウエットクリーナーシートでも良いでしょう。便座も、床も。
朝など男性の家族が多く渋滞しがちなトイレならば、トイレマットで一度受け止めてしまい、洗濯機に任せるのも一手です。
Point
04
「トイレ最大の敵は飛沫」その3
便器奥の床と壁が、ニオイ撲滅ポイント
ところでトイレのお掃除ポイント、優先順位でいえばこんな感じになります。
①便座(表裏)
②便器
③床(手前足元)
④床(便器の脇から奥)
⑤壁、ドア、ドアノブ
⑥フラッシュバルブ(水洗レバー)
⑦トイレットペーパーホルダー、棚など
⑧トイレタンクの手洗器
⑨便座と便器の隙間(温水洗浄便座全体)
もちろん毎回全部やりましょうということではありません(できるなら素晴らしいです)。
この④と⑤と⑨が、隠れニオイ源。
「掃除しているのになんだか臭うなあ」というときに見直してみてほしいポイントです。
長い柄のついた小さな床拭きワイパーのような道具に、使い捨てトイレ用ウエットクリーナーシートを挟み込むと、手の届きにくい床の奥や壁の掃除が格段にしやすくなります。
Point
05
”サボったリング”の汚れはどこから?
手を入れられるかわからない「トイレタンク」問題
「ちゃんと便器掃除をしているのに、なぜか水溜りにすぐ喫水線(別名、サボったリング)ができる」
と言ったお悩み、ときどき聞かれます。
おそらくはトイレタンクの中に、その原因があることが多い。
タンク内は年中湿度が高いのでカビも生えやすいですし、タンク内部についた水垢などの汚れや劣化したゴムなどの成分も、致し方なく蓄積していき、それが落とし水に影響してしまっているのでしょう。
加えて、よかれと思って置かれているタンク手洗器の「芳香洗浄剤」の類いの色素もタンク内を汚し、水を汚す原因に。そして、そうでありながら、実はタンク内の掃除はあまりお勧めできません。
吐水・止水の調整をする部品はなかなか精妙で、構造をわからない人が適当に手を入れると水が流れなくなったり止まらなくなるトラブルが起きかねないためです。
どうしても上の方のカビ汚れが気になる場合には、機構をいじらない程度に消毒用エタノールとティッシュで拭き取るなどにとどめてください。
Point
06
強ければ強いほどいいわけではない!
トイレ掃除用の洗剤は、 基本「中性」。「酸性洗剤」「次亜塩素酸ナトリウム」は玄人向け
トイレは狭い空間です。
スプレー洗剤を使うと、ただの中性洗剤でもむせがち。換気扇が天井近くにあれば、そのせいもあってダイレクトに成分を吸ってしまいやすいのです。
強力と謳われていればいるほど、なんとなくいいもののような気がしやすい洗剤ですが、基本的に洗浄力の強さと危険性はトレードオフ。
使いたいならば、必要性と目的をハッキリさせたうえで使用してください。
どうしても尿石がガチガチに溜まってしまっているなら酸性洗剤を。
便のこびりつきが蓄積し、臭くぬめっているなら次亜塩素酸ナトリウムを。
でも、基本的には中性洗剤で十分汚れは落ちます。
便器のみならず、床や便座にも使用できるものがベターです。
Point
07
「流せるシート」「流せるブラシ」でも、流さないのが無難!
トイレが詰まる原因トップは、トイレットペーパー
「トイレ掃除をした道具は、汚いので、トイレに捨てたい」というニーズ自体はよくわかります。
でもトイレが詰まったら、即時に生活が詰みます。
大変なことになります。
予防できる事故です。
使った道具をトイレに流さないこと。たとえトイレットペーパーでも。
「流せる」と謳われていても。「 燃えるゴミ」で捨てましょう。
Point
08
「置き物」「飾り物」には、飛沫が…… 置くなら洗えるものがベスト
30年ほど昔のインテリア雑誌で、トイレをマイギャラリーにすることが流行りました。
棚にぬいぐるみコレクションを並べたり、ポスターを張り込んだり……。
でもトイレの中って想像以上に排泄物の飛沫が飛ぶんです。
水洗で、流すたびに舞い上がります。
つまり……。
どうしても飾りたいものなら、定期的に拭いたり、洗えるものがよいでしょう。
そこはかとないニオイの元にもなるので、よく思案してください。
Point
09
便座を取り外すのが怖いなら、「使い捨てトイレ用ウエットクリーナーシート」+「ヘラ状の掃除道具」の優秀タッグで
便器も便座も床も壁も、しっかりお掃除している方でも、便座を取り外して便器との隙間に溜まった汚れをお掃除しましょうと勧めると、「怖い」というリアクションがしばしば見られます。
便座は取り外せる仕様になっているものですが(便座の型番で取説を調べましょう)、どうしても抵抗があるなら、「ヘラ」状の掃除道具に、使い捨てトイレ用ウエットクリーナーシートを被せて、手指の届きにくい狭い部分の汚れを、力を入れずにかき出します。
洗浄暖房脱臭便座なら、脱臭部分に溜まるホコリも多く、ぜひ便座を外して取り除いてほしいのですが……。
難しければ手前をほじくる程度でも。
便座と床との継ぎ目にも、垂れた尿の飛沫が染み込んでいるので、そこにもヘラは効果大です。
Point
10
トイレ掃除は「念入りにたまに」より「雑に頻繁」が大正解
ただ、便器をブラシで擦るだけ。ただ、ペーパーで便座を拭くだけ。トイレマットとタオルを交換するだけ。
―ざっくり掃除を恐れず、これらを繰り返すと、体感できるようになります。その頻度と、におわなさ・快適さが正比例することが。
そのためには、できれば家庭のトイレなら強い芳香剤は置かず、汚れによる臭いがすぐにわかる状態にしておいてください。 体調についても敏感になれます。
究極のオアシス、トイレ。
世界で一番心から安らげる、トイレを手に入れてくださいね。
LEE本誌や、LEEwebでも大活躍中の家事スペシャリスト、藤原千秋さん。早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届けします。次回もお楽しみに!
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藤原千秋 Chiaki Fujiwara
住生活ジャーナリスト、ライター
掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。