ほとんどのカラー原画が初展示! 圧巻の美しさ
2023年、デビュー50周年を迎えた漫画家の槇村さとるさん。少女時代に別冊マーガレットで読んだ作品の数々が大切な思い出になっている人、漫画作品が原作となった人気ドラマ『おいしい関係』『イマジン』『リアル・クローズ(原作は『Real Clothes』)』を夢中で見ていたという人、バレエの世界を描いた『Do Da Dancin‘!』やフィギュアスケートを題材にした『モーメント 永遠の一瞬』にハマった人、槇村さんが赤裸々に本音を語った数々のエッセイのファンという人、またはそのすべてにあてはまるという人も少なくないでしょう。そんな多くの人々にぜひ見てほしい、「デビュー50周年記念 槇村さとる展」が東京都・弥生美術館で2024年1月5日(金)~2024年3月31日(日)まで開催。
ほとんどのカラー原画が初お目見えとなり、原画の展示総数350点、雑誌や単行本などもあわせて展示総数は約400点に。[作品保護のため、会期中にカラー原画の展示替えが行われます。Ⅰ期/1月5日(金)~2月4日(日)・Ⅱ期/2月6日(火)~3月3日(日)・Ⅲ期3月5日(火)~3月31日(日)]
槇村さとるさんのインタビューとともに、展覧会の魅力をお伝えしていきます。記事の最後には、展覧会オリジナルグッズや、美術館のカフェで会期中に味わえるコラボドリンクについてもご紹介。
槇村さとるさんに聞く! 50年描き続けた名作の数々
高校生のときにデビューし、50年、描き続けているすごさはもちろん、原画から伝わるパワーや美しさは圧巻。槇村さん自身も「嬉しいです。久しぶりに見たものもあり元気が出ます。原稿が家の玄関から外に出た後は、編集者などいろいろな人の手をかけられて、読者のものになっていくという感覚があります。展覧会ではやはり“肉筆”の力を見ていただきたいですね」と、展示された原画を見ながら話します。
幼少期に描いたという漫画から最新作まで!
展覧会では、槇村さんが子どもの頃に描いたというお宝漫画も。幼い頃に描いたとは思えない、見事にコマ割りされた見開きページに驚きます。
「描くことが好きで、小さい頃から毎日描いていました。15、16歳の頃にデビューしましたが、絵を描くことは、スポーツと一緒で、すぐに描けるようになるわけではなくて、時間をかけないと上手にならないです。今でも、バレエなど、踊っている人の身体を描くのは頭の中にイメージはあっても、実際コマを割って紙に描いていくのは大変で、“描けねえ~”と苦しんでいます(笑)」
30代、漫画家をやめようかと思うほど迷った時期が
長年、第一線で活躍されている槇村さんですが、30代の頃、このままでよいのかと、人生への不安や漫画の“人気”への迷いを感じて、漫画家をやめようかと思うほどの大スランプがあったという胸のうちも展覧会で明かされています。
「30代になって結婚もせず、『別冊マーガレット』にも新しい漫画のウェーブも出てきて、このままでよいのか、という迷いがありました。漫画ももう最後だとしたら好きなように描いてみようと、“人気”を気にせず、描いたのが『白のファルーカ』でした。
ダメダメな自分にうんざりして、落ちるところまで落ち込んだ後に、意外と自分のことを捨てられない図々しさがあって、しぶとく立ち上がれました。 すべてがうまくいっていないときに“自分は悪くない、相手が悪い”と思っているうちは事態が変わらなくて、あれもこれもすべてに関わっている私が悪いのかも…と気づいてからが立ち直れる時でした。私は寂しがりやで本当は人に好きになってもらいたいと思っているのですが、ひとが離れていくときは、私の何が悪かったかなんて教えてくれないんですよね。短所を教えてくれる親切な人なんて、なかなかいません。自分に立ち返ってとことん落ち込んだ後が、しぶとく立ち直れるときでした」
槇村作品からも、女性たちを元気づけるメッセージが常に伝わってきます。
働く女性に力をくれた漫画作品はテレビドラマにも
人気を博した『白のファルーカ』をはじめ、別冊マーガレットや週刊マーガレットで数々のヒット作品を生み出した後、1991年からは女性向け漫画雑誌『YOUNGYOU』、94年に創刊された漫画雑誌『コーラス』(2012年から『ココハナ』)などへと活躍の場を移された、槇村さん。大人の女性たち、社会で働く女性へのメッセージがちりばめられた作品の数々は話題となり、テレビドラマ化もされました。
「社会で働く女性を描いた『Real Clothes』では、女性が差別されているということだけではなく、女性が自分で自分自身を檻に入れてしまい身動きがとれなくなってしまっていることもある、そんな側面も描きました。男性も動き出してほしいという思いもあり、登場人物の田渕優作は、昭和の男ではあるけれど、いいことも言っているんです。そして今、男性も時代も本当に変わってきたなと思います。そして優作は、こんな人実際にそばにいたら大変というところもありますが、描いていて楽しかったキャラクターです。描きたい女性像を特に決めてはいませんが、エネルギー値の高い子か、逆に右往左往している子が主人公であることが多いですね」
大人のおしゃれを語ったエッセイも大人気
スタイリスト地曳いく子さんとの共著、『ババア上等! 余計なルールの捨て方大人のおしゃれDo!&Don’t』(2016年)、『ババアはつらいよ アラカン・サバイバルBOOK』(2018年)、『ババアに足りないのは愛!+60からのHappyおしゃれBOOK』(2021年)をはじめ、大人のおしゃれやライフスタイルについて本音で語ったエッセイも大人気です。槇村さんにとってエッセイは?
「漫画以上に“脱ぐ”必要があるというか、キャラクターが発する言葉ではなくて自分の言葉だから本当に嘘がつけないんですよね」
そして、プライベートで続けられている社交ダンスについてもおうかがいさせてください。
「社交ダンスは、発表会もあり、見られることは体型を気にするいい機会になっています。発表会用のドレスを試着をしたときに友人が撮ってくれた写真を見て、背中の下のほうのたるみに気づいてぎょっとしたこともありました(笑)」。
「私自身は、“昔の人”、ではなくて、ずっと“今を生きている人”でいたい、今を生きていたいという気持ちがあります」と、パワフルに、明るく、優しく語る槇村さとるさん。その原画や漫画に込められたメッセージから多くの元気がもらえる今回の展覧会をぜひ堪能してください。
展覧会だけの槇村さとるオリジナルグッズ
ポストカードやクリアファイル、トートバッグなど、この展覧会のために生まれた様々なアイテムが。マスキングテープは¥650。2023年12月に刊行された画集『THE 槇村さとる-デビュー50周年記念画集』(¥3960・集英社)や著書の一部が会場でも販売中。
展覧会限定! コラボドリンクでBeauty Tea Time♡
弥生美術館併設の「夢二カフェ港や」では、今回の展覧会限定のコラボドリンク「さとるクンのBeauty Tea Time♡」(¥600)も登場。なつめ、生姜、オレンジ、はちみつ、クコの実をブレンドした紅茶で、さらに槇村さとる作品の名セリフが描かれたミニしおり付き(しおりは全10種)です。
デビュー50周年記念 槇村さとる展-「愛のアランフェス」から「おいしい関係」「モーメント」まで-
会場:弥生美術館 東京都文京区弥生2-4-3
会期:2024年1月5日(金)~3月31日(日)
休館日:月曜日(ただし1月8日、2月12日(月・祝)は開館、1月9日、2月13日(火)は休館)
開館時間:午前10時~午後5時(入館は4時30分まで)
交通:東京メトロ千代田線「根津駅」及び南北線「東大前駅」よりいずれも徒歩7分、JR上野駅 公園口より徒歩20分
入館料:一般1000円/大学生・高校生900円/中学生・小学生500円(※竹久夢二美術館と2館あわせて入館できます)
公式サイト:弥生美術館
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