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LIFE

駐妻ライター佐々木はる菜の海外で見つけた「暮らしのヒント」

一般家庭でも「お手伝いさん」の力を活かす!「家事を抱え込まない文化」南米で感じた日本との3つの違い【駐妻ライター佐々木はる菜の 海外で見つけた「暮らしのヒント」Vol.14】

  • 佐々木はる菜

2023.09.03

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駐妻ライター佐々木はる菜の海外で見つけた「暮らしのヒント」

気になる、海外の家事事情

キッチン

ブラジル・アルゼンチンに住むようになり興味深く思っているのが、現地で出会う同世代の女性、言わば”南米のLEE世代”たちの暮らしです。
地球の反対側同士でも似たような悩みがあったり、全く違うと感じたりと、異なる国の日常生活に長く触れられることはやはり面白い!

私にとって、夏休みを乗り切りようやく新学期が始まるという今の時期は、1年で1番家事が嫌になっていることが多い時期なのですが、違う国の生活を見ることが日々の暮らしについて考え直す良い機会にもなっています。

家仕事は他の人と直接比べる機会が少ない分、自分のやっていることを「当たり前」と思いがちではないでしょうか。今回は私が印象的だった3つの違いを軸に、現地の家事や子育て事情を少しご紹介してみたいと思います。

①一般家庭でも「お手伝いさん」の力を活かす

まず印象的だったのが、一般家庭でも家事代行サービスの類をよく利用している様子です。特に、自分たちで直接雇用するいわゆる「お手伝いさん」の浸透ぶりに文化の差を感じました。

私の場合、日本では家事代行サービスは利用する機会がないままで、今でもまだ少し敷居が高いイメージがあります。
でも現地の知人で小学生子育て中の30代ママにとってはお手伝いさんの力を借りるのは普通のこと。「出産前も掃除は週に何度か外注、子育てをするようになってからは掃除に加え食事作り、放課後両親が帰宅するまでベビーシッター」を依頼中です。
周りの家庭も似たような利用の仕方をしていると話し、特に夫婦共にはたらいている場合は「仕事もしながら、自分たちだけで家事や育児を全部やるのは難しい」という意見の方が多いようです。これは、3月まで住んでいたブラジルでも同じでした。

物価の高いアルゼンチンですが、お手伝いさんの時給相場はだいたい1000~2000ペソで、これは日本円だと400~800円程度です。現地通貨ペソは価値の変化が激しく単純に比較することは難しいのですが、日本と比べるとかなりリーズナブルではないかと思います。

アルゼンチンのサマースクール、コロニアの様子

兄妹で現地校のコロニアへ!

また長期休みの幼稚園児や小学生は「コロニア」というサマースクールのような場所に1日預けるご家庭が多く、この休みに我が家の子どもたちも少しだけ通ってみました。

親子共に面白く感じたのが、朝8時に登校してすぐ1時間ほど朝ご飯の時間があったこと。身支度だけ終わらせ登校させれば先生やお友達とゆっくり食べてくれるというのは非常に楽でした(笑)
もちろん家族での朝食は貴重な時間だとも思いますが、だからこそ「預け先に朝ご飯からお願いするのが普通」という気楽さは、私にとって強く印象に残りました。

②洗濯、犬の散歩…気軽な外注サービスが豊富

ちょっとしたことを外注しやすいのも、現地の特徴のひとつではないかと思います。

アルゼンチンのクリーニング屋「ラバンデリア」

例えば「ラバンデリア」と呼ばれる洗濯屋さんがたくさんあること。
洗濯物をお店に持って行くと、1カゴや1袋単位で値段が付き、だいたい翌日までに洗濯・乾燥し、たたんで返してくれます。

友人によると「洗濯機を持たない人も多い学生街などではもっと店の数が多い。洗濯物が紛失することもあるので私はあまり利用しないけれど、全てラバンデリアに頼み家では洗濯しないという知り合いもいる」とのこと。

洗濯機の性能の問題や、日本の様に外干しができないことから私も何度か利用していますが、日本のスーパーにある買い物カゴ2個分くらいの大きさのカゴ(下写真・右上)で1800ペソ=750円くらい。今のところトラブルはなく、洗濯物たたみを億劫に思ってしまうことが多い私は、日本にもラバンデリアがたくさんできたら良いのにと思っています(笑)

アルゼンチンのクリーニング屋、宅配、犬の散歩代行サービスの様子

日本の「クリーニング屋さん」的なお店(写真・左上)もあるのですが、ラバンデリアはもう少しカジュアルな印象。私の中ではコインランドリーとクリーニング屋の中間的な存在です。 

他にも、以前もご紹介したひとりで10匹以上犬を連れた「犬の散歩代行屋さん」が街を行きかう様子は、住み始めた当初は思わず何度も振り返って見るほど衝撃的でした(写真・左下)。

注文した商品を自宅まで届ける配達員の姿も日本よりも断然たくさん見かけます(写真・右下)。スーパーへのネット注文・配達も普及していますが、個人商店など小さなお店からも注文品を届けに行くスタッフがよく出入りしており、便利だなと感じます。



③日本では減った「商店街」的な光景にほっとする

ブエノスアイレスの街にある小さな商店の様子

「ワンブロックにひとつ以上カフェがある」と言われるブエノスアイレスですが、それ以外にも八百屋・肉屋・魚屋・総菜屋やパン屋など、街なかに小さな商店がたくさんあるのも好きなところ。
そしてアルゼンチン人は話し好きな方が多いので、店先でおしゃべりが盛り上がっている光景をたくさん見かけます。なんだか小さい頃に見ていた昔の日本の商店街のようで、地球の反対側にいるのに懐かしさを感じほっとすることもしばしば。

最初の頃は、ちょっとした会計もなかなか進まない”南米時間”に戸惑うこともありましたが、特にブエノスアイレスに来てからは店員さんと身振り手振りを交えてコミュニケーションを取ることが楽しみになっています。

私の場合は野菜の名前や会計時に数字を教えてもらう、塊で売られている肉や魚を切ってもらうといった簡単なやりとりだけですが、現地の方はその日の商品に合わせて今夜作るメニューを相談したり、ちょっとした配達や商品の取り置きをお願いしたりしている姿をよく見ます。
他愛無い会話が多いことは時間を取られるようにも思えますが、店員さんとの良い関係ができることで、結局は日々の家事が円滑になり暮らしが楽しくなるのかなと思うようになりました。

ブラジル・アルゼンチンの市場

アルゼンチンもブラジルも市場や「フェイラ」と呼ばれる朝市も盛ん。みんな、おしゃべりを交えながら楽しそうに買い物をしています。 

家事や子育てを抱え込まない南米文化

海外に来て日本の素晴らしさを改めて実感する機会はたくさんあります。
南米はこれまで書いてきたような特色もある一方、良くも悪くも全てがきっちりしていないし、日本ほど便利な商品や家電はありません。日常の中でスムーズに進まないことは非常に多く、結果的には日本にいた時よりも家事に取られる時間は増えています。

ただ他の国に住んだことで、確かによく言われるように、日本で良しとされる家事レベルは高いのかもしれないと実感しています。更に、それを自分や家族の力だけで解決しようと奮闘し、気づくと頑張りすぎてしまっている方も多いのではないかと思います。

我が家は夫が海外出張などで不在がちだったこともあり、特に家事とはいつもひとりで戦っているような感覚を持っていました。
家のことを気軽に外注できるわけでもなく、とにかく時短を目指し、買い物は宅配かスーパーでさっと済ませ、街なかで立ち止まって話すような余裕はあまり持てませんでした。

南米は文化も社会的背景も違い、日本以上に貧富の差もはっきりしているので一概に比べることはできません。
ただ、掃除やベビーシッターを頼んでいる家庭が多く「家事も子育ても自分たちだけじゃ無理」と言いやすい雰囲気や、買い物先など日常生活の中で話したり頼り合ったりする機会が増えたことで、気持ちが楽になった部分があります。

ブエノスアイレスの街なかでおしゃべりする様子

カフェ、公園など至る所におしゃべりに花を咲かせている人が多く、街に活気があるブエノスアイレス。

日本帰国後、南米生活に影響を受けて「うちでも頻繁にお手伝いさんを頼もう!」とはできないと思います(笑)
ただ、「自分しかできないこと」と「周りにお願いできること」を分けて考えるようになったことは、例えば家族内での家事の分担・協力や、日本ならではの便利なサービス・製品・家電を活用するなど、今後の快適な暮らしへのヒントになると感じています。

我が家の場合、子どもたちと過ごす夏休みは楽しいことも多い反面、食事作りを始め家事の負担は多くなり、旅行などのイベント前後は家の中も生活パターンも乱れがち。そこで毎年8月末〜9月初旬、混沌とした日々のTODOを整理し新学期に備えるようにしてきました。

家族で気持ち良く二学期のスタートを切るためにも、この時期、家事の仕組みや生活パターンなど自分の「当たり前」を一度見直してみることはオススメ!
まだまだ暑い時期だからこそ、まずは今よりも「手を抜ける」ことから探してみてはいかがでしょうか?

佐々木はる菜 Halna Sasaki

ライター

1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。

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