頭痛は大きく分けて「片頭痛」と「緊張型頭痛」の2種類。
代表的な2つの頭痛について、そのメカニズムや特徴、対処法をご紹介!自分の頭痛を知ることが、予防や緩和の糸口になります。
頭痛には対応がまるっと異なる症状が!
30~40のLEE世代に多い「頭痛」のトリセツ
教えてくれたのは… 医師 五十嵐久佳さん
日本頭痛学会理事。頭痛専門医。富士通クリニック(神奈川県)、東京クリニック(東京都)にて頭痛外来を担当。監修に『頭痛女子バイブル』(世界文化社)などがある。
動くと痛みが悪化、吐き気を伴うことも
【片頭痛】の特徴
- 頭の片側または両側に、ズキンズキンと脈動するような強い痛みが起こる
- 体を動かすと痛みが悪化する
- 頭痛と同時に吐き気が起こる
- 光と音に敏感になる
- 頭痛が起こる前に生あくびが出る
- 痛くなる前に目の前にキラキラしたものが見えるなど前兆がある人も
脳の視床下部が刺激され、三叉神経から神経伝達物質が放出され血管の炎症・拡張で痛みが発生
頭の片側もしくは両側に痛みが生じ、体を動かすと痛みが悪化する、光と音に敏感になる、吐き気を伴うなどの特徴が。
ホルモン分泌や自律神経、睡眠、食欲を司る視床下部が何らかの要因(月経、寝不足、ストレスなど)で刺激され、三叉神経から神経伝達物質が放出されて血管が拡張すると同時に炎症を引き起こし、痛みが起こるとされる。
【偏頭痛】痛くなったときの対処法3つ
1 部屋を暗くして安静にする
光と音の刺激に敏感になるため、部屋を暗くし、なるべく音のない静かな状態で休んで。
動くと痛みが強くなるため、横になって痛みがおさまるまで待ちましょう。
2 痛む場所を集中的に冷やす
こめかみの血管を押さえると痛みが軽くなる場合が多いので、痛む部分に保冷剤や冷却シートなどを当てて冷やして。入浴は血管を広げて痛みが強くなるのでNG。
3 コーヒーや紅茶を飲む
コーヒーなどに含まれるカフェインは血管の収縮を促す作用が。痛みが強くない段階で吐き気がないときに飲めば、痛みがやわらぐことも。
筋肉のコリから痛みが生じる
【緊張型頭痛】の特徴
- 後頭部を中心に頭の両側がじんわり痛む
- 寝込むほどの強い痛みではない
- 体を動かしても痛みは悪化しない
- 吐き気を感じることはない
- 肩や首のコリを伴うことが多い
筋肉が緊張することで痛みの神経が刺激される
ストレスや運動不足、姿勢の悪さなどにより、首や肩の筋肉が凝り、痛みを感じる神経が刺激されることで起こる。
頭をギューッと締めつけられるような痛みが特徴で、吐き気も起きず、ストレッチなど心身をリラックスさせると改善しやすい。
一方で、肩こりがないタイプもあり、痛みのメカニズムが異なるといわれる。
【緊張型頭痛】痛くなったときの対処法3つ
1 首のストレッチをする
首の後ろのすじに左右の人さし指、中指、薬指を当てて、首を左右に回したり、倒したりするストレッチを。パソコンやデスクワークの合間などにこまめに行って、首~肩のコリをほぐして。
2 首や肩を温める
筋肉のコリからの血流悪化が痛みの原因であることが多いので、首や肩を温めることでラクになる場合も。片頭痛とは異なり、入浴で体を温めるのもOK。
3 温かいものを飲む
体の冷えから首や肩がこり、頭痛になることも。温かい飲み物で筋肉の緊張をほぐして。
片頭痛・緊張型頭痛の合併型も!
どちらか一方だけでなく、両方の頭痛タイプを併せ持っている人も。
痛みが出たときの対処法が異なるので、その時々でどちらのタイプなのか見極めるためにも、頭痛ダイアリーをつけてみることが大切。
薬の飲みすぎにも注意!「頭痛薬飲みすぎ頭痛(MOH)」
もともと片頭痛や緊張型頭痛の人が、市販の鎮痛薬や医療機関で処方されるトリプタンなどの使用頻度が高すぎて、さらなる頭痛を起こしてしまうのが「薬物の使用過多による頭痛」=MOH。
痛みに対する感受性が増して、頭痛日数が増え、また鎮痛薬を飲む……という負のスパイラルに陥った状態。
治すには、原因となっている鎮痛薬の服用を控えることと、頭痛の予防薬の使用が必要となることが多く、専門医による診察が不可欠。
おすすめ!「頭痛持ちさん」はまず記録から
自分の頭痛タイプを知る!「頭痛ダイアリー」をつけてみよう
記録をつけて自分の頭痛を正確に把握
自分の頭痛のタイプや誘発因子を知るには、頭痛ダイアリーをつけるのがベスト。
頭痛の予防に役立つほか、病院を受診する際に持参すれば、正しい診断と的確な治療を受ける手助けに。日本頭痛学会のホームページにつけ方の例があり、フォーマットもダウンロードできるので、ぜひ活用して。
頭痛持ちライターYが実際に記入してみた
「40代に入って頭痛頻度が上がり、最近では週1~2回は頭痛薬を飲む日々。どうも肩こりからきているっぽいと感じていたけれど、ダイアリーをつけたら緊張型頭痛の特徴がクッキリ。
電車内での居眠りをやめ、体を動かしたり首肩のストレッチで痛みが軽くなることもわかり、頭痛薬を減らす光明が見えた気が!」(ライターY)
頭痛を引き起こす要因を知れば対策もできる
誘発因子を特定して頭痛予防に役立てよう
片頭痛でも緊張型頭痛でも、痛みを引き起こすきっかけ=誘発因子は人それぞれ。ストレスが頭痛を起こすこともあるし、逆にストレスからの解放で発症する場合も。
誘発因子が複数ある場合も多いので、どんなときにどんな頭痛が起こるか、記録をつけて把握することが頭痛予防に効果的。
イラストレーション/松元まり子 取材・原文/遊佐信子
こちらは2023年LEE5月号(4/7発売)『頭痛ともっとうまく付き合いたい!』に掲載の記事です。
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