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【尾上右近さんインタビュー】最終回を迎える自主公演「研の會」は歌舞伎ファンも初心者も必見!人を巻き込む”夢中力”の持ち主

2026.07.04

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巧みな芸と熱いスピリットで、歌舞伎界を盛り上げている尾上右近さん。最近では大河ドラマ「豊臣兄弟!」に足利義昭役で出演し、ますます注目を集めています。

そんな右近さんの自主公演「研の會」がこの秋、10回目にしていよいよ最後となります。歌舞伎俳優の自主公演のなかでも人気の高い右近さんの自主公演。”FINAL”にかける思いを伺いました。

二代目 尾上右近

ONOE UKON

歌舞伎俳優

おのえ・うこん●1992年東京都生まれ。曾祖父は六世尾上菊五郎、母方の祖父は俳優 鶴田浩二。清元節宗家の家に生まれながら歌舞伎俳優に憧れ、2000年、本名の岡村研佑で初舞台。2004年、二代目尾上右近を襲名。2018年、七代目清元栄寿太夫を襲名。踊りに定評があり、女方と立ち役、両方を勤める。2026年、「第33回 読売演劇大賞」において杉村春子賞を受賞。第76回文化庁芸術選奨において、演劇部門の「文部科学大臣新人賞」を受賞。屋号は音羽屋。ニックネームはケンケン。

ここ数年は、同世代の俳優との共演が話題になっていた『研の會』ですが、今回、歌舞伎俳優の出演者は右近さんひとり。「ラストはひとりで終えたいという気持ちが大きかったので、イメージ通りになりました」。

KABUKI actor

「自主公演を始めようとしている23歳の右近くんへ」

過去の自分への手紙に思いを込めて

歌舞伎俳優・尾上右近さんといえば、今もっとも注目される花形歌舞伎俳優のひとり。そんな右近さんの自主公演「研の會」が、今年秋の第十回公演をもってファイナルとなります。

歌舞伎の「自主公演」って?

「自主公演」というのは、歌舞伎俳優が自ら興業主となって行う公演のこと。

若手の俳優にとっては、まだ勤めることができない大役を経験できる研鑽の場となるため、積極的に取り組む人がいる一方、劇場の手配から共演者へのオファーまで、すべてを俳優自身が取り仕切らなければならないので、手間がかかってめちゃくちゃたいへん! 劇場をいっぱいにしなければ……というプレッシャーもあります。よほどの熱意がなければ続けられません。

右近さんは23歳だった2015年に自主公演「研の會」をスタートし、コロナ禍も経ながら続けてきました。

大切にしてきた公演のファイナルだけに思い入れも強く、大勢の取材陣が集まった記者発表は、自主公演を始めた23歳の自分にあてた手紙を読み上げるところから始まりました。

そこに綴られていたのは、どうしようもない不安に押しつぶされそうになっていた当時の心境。それでも第一歩を踏み出し、10回続けてきたことが「今の自分にとってかけがえのない自信になっている」という昔の自分への感謝でした。手紙を朗読しながら、「やばい、泣きそう!」と時折、声をつまらせて涙ぐむ場面も。右近さんの熱い思いに感動し、LEEのスタッフも思わずもらい泣きしてしまったのでした……!!

大人になると、自分で宿題を作らなきゃいけなくなる。与えられる宿題のほうがずっと楽

振り返れば、さまざまな勇気あるチャレンジがありました。2022年には舞踊劇『かさね』で文楽人形と共演、2025年には『盲目の弟』では世話物を超えたリアルな芝居にも挑みました。その経験が大きな糧になっているといいます。

カレー好きでも知られる右近さん。おうちのカレーをおいしく食べるコツを聞いたところ、「長野県の善光寺に『八幡屋礒五郎』という有名なお店があるんですけれど、そこの七味ガラム・マサラをかけたら、どんなカレーもだいたいおいしくなります!(笑)」

KABUKI actor

『藝阿呆』『鷺娘』『春興鏡獅子』とハードな舞踊を3演目

オリンピックに臨むくらいの気持ち

9月に大阪・国立文楽劇場、10月に東京・明治座と2カ月にわたって過去最大規模で開催する「研の會」FINAL。右近さんが選んだのは、踊りを得意とする彼らしく『藝阿呆』『鷺娘』『春興鏡獅子』と舞踊ばかりの3演目。どれも大役です。

それぞれの演目について右近さんにききました。

『藝阿呆(げいあほう)』

義太夫に竹本織太夫、三味線に竹澤團七という大先輩の力を借りての舞踊、楽しみでしかありません。

『鷺娘(さぎむすめ)』

続いて『鷺娘』。大ヒット映画『国宝』にも出てきた女方を代表する舞踊で、右近さんにとっては意外にも今回が初演となります。

『春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)』

そして最後を飾るのが、今や右近さんの十八番となりつつある『春興鏡獅子』。将軍の前で踊りを披露する小姓・弥生が、獅子頭を手にすると、獅子の精が乗り移ってしまうというストーリーで、娘らしい気品ある踊りの前半、獅子らしい勇猛な踊りの後半と、対称的な踊りを一人で踊り分ける舞踊の大役です。右近さんの曾祖父・六世尾上菊五郎の当たり役でもありました。

2015年第一回「研の會」『春興鏡獅子』小姓・弥生【撮影:田口真佐美】
2015年第一回「研の會」『春興鏡獅子』獅子の精【撮影:田口真佐美】

それにしてもひとつだけでも激しく体力を消耗そうな踊りを3つそろえるとは!? しかも昼夜1日二回公演。体力おばけにもほどがあります。



KABUKI actor

目標は”ホンモノ”の自信

ただ立っているだけで観客を熱狂させるマイケルのように

明治座のある人形町は、おいしいお店もたくさんあって、自主公演の前後にグルメも楽しめそう!「『人形町藪そば』は大好きで、子どもの頃から行っています。明治座の向かいの『ガネーシャ』というインド料理屋さんもおいしい。『柳屋』という老舗のたい焼屋さんもあるのでお土産にぜひ」

この10年の間には、右近さんを取り巻く状況はずいぶん変わりました。当初はまだまだ無名でしたが、今では歌舞伎座の本公演で主役を勤めるまでに。若手の花形俳優の中でも注目の存在です。

今年は東京公演の劇場が明治座になり、さらにスケールアップ! 大きな劇場がいっぱいになる自信があるからこその決断です。

自主公演の成功で自信を得て、夢はどんどん広がります。

最近の息抜きは散歩。「飲み物を片手に景色を見ながら歩くのは最高に気分がいいし、リラックスできます」。

押して押しての右近、引く術は知らず……ってことになっちゃダメだと思う

さて、『研の會』をスタートしてからの10年と、これからの10年は、また全然違うと思いますが、右近さんの旅はこれからどこへ向かうのでしょうか。

クールに俯瞰して自分をみつめる右近さん。ただがむしゃらにつっ走るのではなく、じつはとても戦略的。だからこそ昇り続けているのでしょう。『研の會』FINALもきっと伝説となるはずです。その景色を劇場で目に焼き付けましょう!!


information

尾上右近自主公演 第十回「研の會」

【大阪公演】
会場:国立文楽劇場
9月5日(土)昼の部 11:00開演 夜の部 16:30開演
9月6日(日)昼の部 11:00開演 夜の部 16:30開演

【東京公演】
会場:明治座
10月2日(金)昼の部 11:00開演 夜の部 16:30開演
10月3日(土)昼の部 11:00開演 夜の部 16:30開演

上演時間は休憩を含め約3時間35分を予定。

【チケット情報】尾上右近自主公演 第十回「研の會」

一般発売 7月19日(日)10:00~
チケット取扱い:イープラス/チケットぴあ/ローソンチケット/楽天チケット/劇場窓口/明治座オンラインチケット/明治座電話予約

■一次抽選先行 http://eplus.jp/onoeukon/
受付期間:6月27日(土)10:00~7月5日(日)23:59
結果発表:7月7日(火)

■二次抽選先行 http://eplus.jp/onoeukon/
受付期間:7月8日(水)10:00~7月12日(日)23:59
結果発表:7月14日(火)


Staff Credit

撮影/露木聡子 取材・文/佐藤裕美 

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