ズキズキと脈打つ痛み、頭が締めつけられるような痛み･･･

実は、日本人の3～4人に1人は頭痛持ちと言われるほど、慢性的な頭痛に悩む人は多数。しかもその数、女性は男性の2倍以上なんだとか！　その中でも、30～40代のLEE世代が最も多いそう。

女性と頭痛の関係について、今までに200万人以上の頭痛患者を診察した頭痛の専門家、脳神経外科医の清水俊彦先生にお話をうかがいました。

 

頭痛に悩まされる女性の数は、なんと男性の2倍以上も！

「慢性頭痛にはいくつか種類がありますが、女性に最も多いのは片頭痛。これは、片頭痛が女性ホルモンとかかわりが深いからです」と清水先生。

「片頭痛は脳内物質のセロトニンの急激な変動により脳血管が拡張し、血管周囲の三叉神経を刺激し、それが痛みとなって表れます。女性ホルモンのエストロゲンと脳内物質のセロトニンは動きが連動するため、ホルモンの上下動で片頭痛も起こりやすいのです。

光や音など脳への刺激や脳血管の急激な拡張も引き金になるので、片頭痛をコントロールするには、そうした要因を避けることが大切。

片頭痛を含め、多くの頭痛は不規則な食事や生活、過剰なストレスなどが影響します。『頭痛は体質の問題』と思われがちですが、半分は生活改善、半分は薬による治療できちんと治すことができるものです」

女性の一生と頭痛の関係とは？

 

片頭痛体質の人は子供の頃から明らかな特徴が。脳が敏感なため、車などの乗り物の揺れに弱い、熱性けいれんを起こしやすい、人混みや刺激を嫌う、こだわり屋で几帳面などの傾向がみられます。

痛みが出ても子供の場合、長く続かず回復も早いため、片頭痛の症状とわからないまま成長していく子も多いようですが、そのままでは頭痛持ちになる可能性大。熱性けいれんは特に注意が必要で、けいれんのたびに脳に大きな電気が走り、脳が傷つく恐れも。

くり返すようなら、幼い子供といえども片頭痛体質を疑い、専門医に診てもらうのがベストです。

 

 

片頭痛は、女性ホルモンのエストロゲンの変動を脳神経が読み取り、痛みに変えてしまうことが原因。そのため、生理前後や排卵日前後のホルモンの変動期に頭痛に悩まされる女性が多いのです。

初潮を迎えるのにあわせて片頭痛が発症する人も多いですが、思春期という難しい時期に重なるために、頭痛や体調不良が心の問題ととらえられがち。

 

妊娠中は女性ホルモンのエストロゲンが一定値で維持されるため、それに連動したセロトニンの増減がなく、頭痛が起こりにくい傾向に。「子供の頃からの片頭痛が、妊娠中は体質が変わったように治まっていた」という人もいて、頭痛持ちの女性にとっては黄金期！？

頭痛がなくならない人の場合、妊娠中や授乳中は鎮痛剤を飲めないので、その前の対策が大事。鎮痛剤なしでも大丈夫なように、根本的な治療で、興奮しやすい脳の性質を整えておきましょう。

 

子育てや家事、仕事に忙しいLEE世代は、頭痛に悩む人が最も多い世代。精神的にも肉体的にも負担が大きく、日々のストレスが頭痛を悪化させているよう。

特に近年、働く女性が増えたこともあり、同じ世代の男性と比べると2倍以上もの女性が頭痛で悩んでいるというデータも。忙しさに追われて自分のケアを後回しにし、頭痛を放置しておくと、将来的に「脳過敏性症候群」になりかねません。

 

慢性頭痛の中でも、片頭痛は女性ホルモンの変動の影響を受けるため、ホルモンバランスが乱れる更年期には、片頭痛が悪化するパターンも。

その時期を経て閉経すると、ホルモンの変動がなくなるために長年の痛みから解放される人が多いよう。人によっては頭痛の症状が残る場合もありますが、かつての片頭痛のような発作的な痛みというよりも、ダラダラと続く緊張型頭痛に似た痛みに変化していきます。

 

慢性頭痛を長年放置してきたことで脳が過敏になっていると、耳鳴りやめまい、抑うつ感などの心身の不調が表れる「脳過敏性症候群」になる人も。

こだわりが強く、短気で攻撃的になるなど性格が変化する場合もあり、慢性頭痛のもたらす後遺症とも言えそう。若いときの慢性頭痛は放置せず、きちんと根本から治しておくことが大事！

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「自分でできることをやりながら、一度専門医に診てもらうといいでしょう」（清水先生）

次回は、片頭痛や緊張型頭痛などのタイプチェック＆対策をお届けします。

イラストレーション／松元まり子　取材・原文／遊佐信子
※商品の価格は本体価格（税抜き：2017年9/7発売LEE10月号現在）で表示しています。
詳しくは2017年9/7発売LEE10月号に掲載しています。