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LIFE

津島千佳

モデル兼アーティスト花楓さんが熱烈ラブコール! 「うーたん陶芸:月の鏡」作品展スペシャル対談

  • 花楓

  • 津島千佳

2022.12.04

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コラージュアーティストや写真家としても活動している、LEEでもおなじみのモデル花楓さん。彼女が大好きと話す陶芸家うーたん・うしろさんの個展「うーたん陶芸:月の鏡」が、東京の奥浅草と呼ばれるエリアに位置するギャラリー「es quart(エス クォート)」で2022年12月11日(日)まで開催されています。

「es quart」のオーナーに、花楓さんがを強くうーたんさんを推薦したことで実現したという本個展。花楓さんによるうーたん作品の魅力、少し不思議なうーたんさんの発想力などをお二人の対談を通してうかがいました。

花楓さんが一目惚れした、陶芸家うーたん・うしろさんの魅力とは?

モデルの花楓さん(右)と、陶芸家のうーたん・うしろさん(左)。

――花楓さんが、うーたん・うしろさんと知り合ったきっかけから教えてください。

花楓さん「『CIBONE(シボネ)』で作品を見つけたのが最初です。一目惚れでした(笑)。他にどんな作品があるのか、どこが卸先なのか、すぐにチェックしましたから」

――作品のどこに惹かれますか?

花楓さん「普段使いの器も、プリミティブな大きな立体物も、ガラスの作品もあって、作風の幅が広いんです。私もコラージュ作品を制作する中で、作風を固めたくない思いがあって通じるものを感じました」

うーたん・うしろさん(以下うーたんさん)「いろいろな作品を作っているので、うーたん・うしろは1人なのに4人の作家グループだと思われています(笑)」

一番うーたんさんらしいとされている、いびつな形の陶器。

花楓さん「作品はいろいろでも、どこかいびつで毒があるのは共通しています。毒っけのある作風が好きなんですよ、私。会う前から、この作家さんは好きなものは突き詰めるタイプだろうって想像力が膨らむくらい、作品がそういうオーラを発しているんです。お会いすると想像通り超マニアックで偏っていて、私の好きなタイプの作家さんでした(笑)」

花楓さんの熱烈ラブコールで展示会が実現

――今回の展示会に至った経緯は?

花楓さん「彼の作品をインスタに投稿したら、すぐにお返事をいただけて。当時、このギャラリーのオーナーと陶芸の展示をしたいという話はあったんです。私の好きなものしか紹介したくないけれど、今さら有名な作家さんを紹介するのも違うし、合同展よりも個展がいいとか、考えているうちに企画が止まってしまって。そんな時に彼の作品に出合ってしまい、いきなり個展をしてほしいと相談しました(笑)。それが2022年1月です」

縄文土器を彷彿とさせる、大きな立体作品。

――えっ、今回の展示会まで1年経ってないんですね。

うーたんさん「いきなりコミュニケーションが加熱しましたもんね。僕を好いてくれているのがめっちゃ伝わってくるんですよ。ハートと燃えている絵文字が多くて(笑)。それだけわかりやすくアプローチしてくれると、嬉しいですよね。せっかく花楓さんに声をかけてもらえたので、コラボをしようとなりました。どんなコラボにするか、相談の際も言葉ではなく、花楓さんが空の写真を、僕は焼き物の写真を送り合う、想像を刺激されるコミュニケーションが多かったです」

花楓さん「自由に作ってほしかったので具体的な指示はしたくなかったし、失礼だとも思っていたので。お互い好きな陶器や空の写真を送り合っていたけれど、この2つはすごくつながってますよね。陶器は窯の温度とか薪の種類とか、いろんな要素が絡み合って2つと同じものはできない。空もそう。今見ている空と同じ空は二度とないですしね」

花楓さんのイメージは平面!? コラボで誕生したのは端正な平皿

うーたんさん「写真からイメージして創作するのが、すごく楽しくて。僕なりに感じた花楓さんを、作品に落とし込む形でのコラボになりました。花楓さんはコラージュや写真などの平面作品も手がけられていますし、モデルとして雑誌などに登場すると花楓さん自身が平面になることが多いですよね。だから茶碗より平皿。佇まいが美しく、食器として使いやすい端正な形の平皿にたどり着きました」

花楓さんをイメージして作られた平皿。 撮影/花楓さん

ーー花楓さんから平面という発想がすごいですね。

花楓さん「そう、そういうところなんですよ、私が変態だと思っているのは(笑)。変態なんだけど、すっごい美に厳しい。言葉にするほど安っぽくなるのがもどかしいんですけど」



陶器もガラスも技法は違っても、うーたんさんの中では地続き

天井の高い空間で、うーたんさんの作品がたくさん展示されています。

ーー個展とうかがって驚くほど、確かに作風の幅は広いですね。点数も多くて見応えがあります。

花楓さん「うーたんくんの作品がこんなに並ぶのは、ほぼ初めてです。この点数が一度に見られて個人的にも感激しています」

うーたんさん「陶器もガラスもしている作家は少ないかもしれないけれど、粘土とガラスは近い素材ではあるんですね。粘土にはガラスの成分が含まれていて、それを抽出するとガラスになるので。技法は全然違いますが、自分の中でつながっています」

ガラスの器もいびつで、うーたんさんの作品とわかります。

花楓さん「粘土でもガラスでも、やっぱりうーたんくんの世界になっていますよね。すでに世界観はあるけれど、視野が広くて同じところにとどまらず挑戦し続けているから、また新たな作風も生まれるんだろうなって予感もあります。彼はずっと追いかけたい作家さんです」

消防士という経験があるからこそ、自分を軸にした作品作りができる

――うーたんさんが陶芸の道に入ったきっかけは?

うーたんさん「以前消防士をしていたのですが、ストレスの多い仕事なんですよね。そんな中、土を触っているとセラピー的な効果があって陶芸を始めました」

花楓さん「それ、わかる。私も陶芸体験をしたあと、半年くらいすっごい心が落ち着いていて。これは絶対土の効果だと、畑を始めたりしましたもん。土は充電できますよね」

花楓さんが気になっていたのが、椅子にもカフェテーブルにもなる立体作品。

――うーたんさんには、消防士という経歴もあるのですね。陶芸家以外の職業を経験したことが、創作活動に影響していると感じることはありますか?

うーたんさん「作品作りではバリエーションが生まれるし、いろんな状況に対応できるので経験を積んでおくのはいいと思います。一つのことに突き進むのも素晴らしいですが、使っていた粘土がなくなったから自分の作品は作れないとか、薪もこの木じゃなきゃだめとか、前提条件にアウトプットが左右される作家さんもいるようです。僕は作品作りには、道具よりも自分の経験やセンスが大事だと信じています。そう思えるのも陶芸家以外の経験もあるからかもしれません」

花楓さん「うーたんくんからは柔軟性とか冒険心を感じます。それが作品にも出ていますよね」

うーたんさん「結局は好奇心が強いからかも。ガラスも作りたいから作っているだけで、好奇心から先のことは能書きですね。花楓さんも好奇心が強いから、そのあたりが似ているのかな」

花楓さん「うーたんくんは、すでに熱烈なファンもいるし、いずれ博物館に収蔵レベルの作家になると信じています。本当に見てほしいし、買うなら今って強く言いたいです(笑)」

とっても仲のいいお二人。対談も和やかな雰囲気で行われました。

花楓さんの熱意あるメッセージをきっかけに、この展示会は開催されることになりました。大人だから落ち着かないと、と思っていると機動力がなくなっていく気がしませんか? 花楓さんの行動力を知ると、やっぱり自ら動くって大事です。うーたんさんの花楓さんを平面で捉えるという型破りな発想力も、目からうろこ。ものの見方は一つではない。いろんな視点を持てば、きっと今まで退屈だと思っていた景色も違って見えるはず。

いろいろな思いが浮かんでくるうーたんさんの作品に出合いに、ぜひ足を運んでください。

「うーたん陶芸:月の鏡」

会期/〜2022年12月11日(日)※月曜定休
営業時間/11:00〜18:00
会場/es quart(東京都台東区千束3-4-3 千束河合荘2〜3F)

es quart公式サイト

津島千佳 Tica Tsushima

ライター

1981年香川県生まれ。主にファッションやライフスタイル、インタビュー分野で活動中。夫婦揃って8月1日生まれ。‘15年生まれの息子は空気を読まず8月2日に誕生。

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