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子どもが料理好きだと、いいことあります

【子どもが料理で身につけられる3つの能力】思いやり、コミュニケーション能力…料理家 上田淳子さん親子に聞く!

2022.01.09

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楽しみながら、生活力、創造力までついちゃう!? 子どもが料理好きだと、いいことあります

料理家 上田淳子さん カジオさん

食べたいものを決め、材料を揃えて、効率よく手順を考える。いつも当たり前にこなしているけれど、これってけっこう高度な作業かも。

実は料理には、子どもに身につけてほしい能力を伸ばすポイントがたくさんある!? 一緒に作って楽しく食べれば、いいこといっぱいです。

教えてくれたのは?

料理家 上田淳子さん

料理家 上田淳子さん

スイス、フランスで研鑽を積み、料理研究家として独立。本格的なフレンチのほか、家族のための日々の料理をサポートするレシピが人気。子どもと楽しむための著作も多数。

Instagram:ju.cook
Twitter:ju_cook123
公式サイト:https://www.ju-cook.com

KAJIOさん

カジオさん

上田家の双子の長男。自粛期間中に家事に目覚める。大学を卒業後、広告関連会社に就職。食べるだけでなく飲むことも好き。ビール検定2級所持。

Instagram:kajio0326
Twitter:kajioblog

「ごはんが作れる」だけじゃないんです!
料理ができるようになってここがよかった!by カジオ

1_ "見えない家事"の存在とその重要性に気づける

2_ どんな年代の人とも共通の話題で盛り上がれる

3_ 先々のことを考えながら物事を進められるようになる



親子の視点で語る
「カジオ」を育てた料理家 上田淳子さんに聞きました

うちの子ども、どうすれば料理・家事ができるようになりますか?

料理家 上田淳子さん カジオさん

料理家の上田淳子さんの息子さんが、“カジオ”としてインスタグラムで話題になっている、と聞きつけたのは、2020年秋のこと。上田さんが当時同居していた息子さんに家事一切をまかせ、それを引き受けた息子さんの料理が高レベル! と、評判になっていたのです。

さすが料理家の息子! やっぱり幼い頃からの英才教育の結果なのでしょうか?

食べることが好きな子に。意識したのはそれだけ

「英才教育なんて、まったくしてないんですよ。そもそも1週間家事をまかせたのも、2020年の自粛期間中に息子が家で何もしないことに腹を立てて、私が家事ボイコット宣言をしたのがきっかけですから(当時息子さんは大学卒業を控えた時期)。

勘違いされることも多いんですが、息子たち(カジオさんは双子)には、食に対して特別な教育はしなかったんです。幼い頃から料理を教え込むこともなかったですし。ただ、『食べることが嫌いにならないように』ということは考えていましたね」と上田さん。食べることは楽しい、みんなで食べることはもっと楽しい。

「ごはんを自分で作れた!しかもおいしい!」をたくさん体験してきました

カジオさん

「思い返してみると、わが家ではずっと、食べることは生活に密接につながっていたと思います」とカジオさん。例えば、幼い頃、雨の日に家の中で開催された料理イベントの数々。

「キャベツをちぎったり、肉だんごを丸めたり。『泥だんご丸められないから、肉だんご丸めさせよう』くらいの気持ちですよね。子どもに料理を教えるというと、包丁を持たせて、火を使って…と考えがちですが、それ以前のことでも十分、子どもたちは楽しめます。

パンに好きなようにチーズをのせて、トースターで焼くだけだっていいの。自分で作るって楽しいな、が体感できればいいんです。

私たちはよく、『お手伝いして』って言いがちですよね? 難しい料理の、一部をちょこっとやらせるっていうね。それより、ごく簡単なことをひとりで仕上げまでやらせてみるのもいいですよ。自分で作った、おいしかった、と実感することが、作って食べる楽しさを知るには、一番いいんです」(上田淳子さん)

子どもが料理好きになる!?
親がラクできる! 上田家のおるすばんごはんはこれ!

上田家のおるすばんごはん

上田家でよく登場していたのがこちら。パンとサンドイッチの具をまとめておき、好きな組み合わせで作って食べる。

「完成品を置いておくより、『自分で作った!』と"料理"した達成感が」(上田淳子さん)

料理や食べること自体を、大人が楽しんでいる姿を自然に見せればOKです

料理家 上田淳子さん

子ども時代は具体的な料理をしなくても、家庭内が「食べることは楽しい」という空気で満たされていれば十分だと上田さん。その“種まき”さえしておけば、後々、効果が表れるのかも。さらに、誰でもできる“英才教育”がひとつ。

「料理をする人が、楽しそうにしていること。子どもって、楽しそうなことはやりたがるでしょ?疲れたときは、冷凍うどんをチンするだけでもいい。そこにノリや市販の揚げ玉でもかけて『おいしいねえ!』って言えること。食べることも、作ることも、無理なく楽しんでいる姿勢を見せるのが、一番効果的だと思います」(上田淳子さん)

的確に段取り、相手を思う。社会生活に生きる料理の力

幼少時から、“食べること”を常に楽しんできたカジオさん。初めて、ひとりでの本格的な料理を作ったのは、小学校6年生の頃。

「大好きな唐揚げを、自分で作ってみたいと思ったんです。それまでは母から料理をちゃんと教えてもらったことはなかったんですが。料理って、自分が食べたいものを、好きなように自分で作れるじゃないですか。単純に、『これからは、あれを自分で作れるんだ』とうれしかったですね」(カジオさん)

その後、中学、高校、大学と忙しい日々を送ったカジオさん。時々はごはんを作っていましたが、習慣として料理をすることはありませんでした。

しかし、大学卒業間際に家事一切をまかされ、必要に迫られたとき、幼い頃にまかれた“種”が芽吹いたのです。

「大変そうではあるけれど、なんとかなりそうだな、とは思いました。でも、あらためて料理に向き合って気づいたのは、家族が喜ぶ献立作りは、想像以上に大変だということ。

さらに、料理に付随する雑多な家事も多く、洗剤がなくなって慌てたりゴミの分別が意外に手間だったり。料理っていろんなことの集大成というか、とっさの対応力や段取りの組み方、相手の状況に思いを馳せるなどが全部含まれているんですよね。

洗剤がなくなりそう、とか調味料の減り具合とか、いろんなところへの目配りが必要になってくる。そういった意味では、料理はどんなシーンでも、すごく役立っていくと思います。

仕事を進めるにあたっても、例えば、人とコミュニケーションをとる場面にしても。働き始めて実感したことですが、食の話って、どんな年代の人とも楽しめるんです。距離がグッと近くなって、なごやかな空気になります。正直、これはありがたいです」(カジオさん)

さらに上田さんは、料理ができること、食を楽しむことは、生きていく糧として以外にも、“家族”を長く続けていくために実に大切なことだと考えています。

「子どもが大きくなると、家族が集まる場所って食卓くらい。食って、実は最も長もちする家族のコミュニケーションツール。『食が楽しい』という種まきは、すぐには効果が表れないかもしれないけれど、まいておけばきっと、いい結果を出してくれますよ」(上田淳子さん)

どんどんうまくなってます!
働き始めたカジオ(kajio0326)の日々ごはんを拝見

ささっとお茶を出してくれるカジオさん

上田さんのインスタで、"カジオポスト"が500いいね!を獲得、ご本人いわく「調子に乗って」アカウントを開設。現在は主に、勤務先へ持っていくお弁当写真をアップしています。

さらに、自粛期間中の家事経験で気づいた、「やってくれるとうれしい手伝い5選」「オジサンが家事をやらない理由」など、家事にまつわるポストも人気。

味も見た目も大成功! のときもあれば、チャーハンが思うように仕上がらず、失敗理由を考察したり、生地からピロシキ作りに挑戦したりなど、伝わってくるのは、料理を心から楽しむ気持ち。

「今はひとり暮らし。もっと右往左往する様子を楽しんでいただけるかもしれません(笑)」(カジオさん)

上田さんのアドバイスも勉強になります! kajio0326のインスタへのコメント

時々、投稿の最後に現れる上田さんの添削コメントが秀逸! さすがのプロ目線

食べごたえあり、工夫あり。これがリアル男子弁当!

kajio0326のインスタ バターコーンチャーハン弁当

記念すべき第1弾は、バターコーンチャーハン
kajio0326のインスタ ソース焼きそば弁当

潔く、ソース焼きそば一品弁当
kajio0326のインスタ 卵焼き入り弁当

卵焼きの見た目に悩んでいたところ、母からの「最後に巻きすで形を整えるべし」の助言でイメージどおりの仕上がりに!
kajio0326のインスタ バインミー弁当

バインミー弁当は、「そもそも、バインミーを食べたことがなかった!」と作り終わってから気づいた衝撃作


次回は、「料理家きじまりゅうたさん『小さい頃おばあさん、お母さんに何を教えてもらいましたか?』」をご紹介。詳しい内容は2022年LEE2月号(1/7発売)に掲載中です。

撮影/yoshimi 取材・文/福山雅美

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