新型コロナウイルス感染拡大の影響で、医療体制が大きく変化した現在。がん治療への影響はあるのでしょうか?
知っておきたい、がんの基本情報とともに、治療の現状について専門家に教えてもらいました。
この記事は2021年7月7日発売LEE8月号の再掲載です。
専門家に聞く がん検診、治療の現状
コロナ禍の今、がんになったら? できること、できないこと
教えてくれたのは…
医療法人社団DEN みいクリニック代々木 理事長
国立がん研究センター 企画戦略アドバイザー 宮田俊男さん
クリニックにて対面診療とオンライン診療を行いながら、がんの在宅医療、がんのセカンドオピニオンも全国から受ける。早稲田大学先端生命医科学センター教授、厚生労働省参与ほか、多方面から日本の医療の課題解決を試みている。
専門家に聞く!がん検診、治療の今01
コロナ禍で検診が後回しに…通院、入院が難しい今こそ早期発見を
コロナ禍では、人が殺到しないよう病院の予約を厳しく管理するように。その結果、検診の予約も取りにくくなっているといいます。
「日本人女性の乳がんの検診率はもともと約4割と、決して高いとは言えません。そのうえでコロナ禍でなかなか予約が取れないので、私が産業医を担当している企業でも検診への意識が下がっているなと感じますね。
特に乳がんは、腫瘍が小さいうちに発見できれば乳房の温存手術が可能になりますし、早くに見つかれば見つかるほどメリットが大きい。
40歳以降は年1回の検診は必ず受けて。がん専門施設でもコロナ病棟ができるほど、以前よりも通院や入院が難しくなっているからこそ、検診はより大切です」(宮田さん)
専門家に聞く!がん検診、治療の今02
コロナ禍で健康意識が二極化。セルフケアでがん予防
この1年で、コロナを意識しての体調管理が定着した反面、過度のストレスでかえって体調を崩しがちになっているケースも。健康意識が二極化しているそう。
「意識が高い人は感染対策をかねて、食事を気にしたり、しっかり睡眠時間を取ったりとセルフケアができている印象。特に十分な睡眠時間を確保できれば免疫力が上がるし、最近ではがんになるリスクを下げることを示唆するデータも出てきています。
一方で、人と会えないストレスからメンタルを壊してしまう人も。ストレスでの食べすぎで、BMI値が上がっているという傾向もあります。
自分の健康を見つめ直して自ら手当てをするセルフケアが大切で、がんの予防にもつながります」(宮田さん)
専門家に聞く!がん検診、治療の今03
コロナ禍で急速に進んだ!オンライン診療に注目
通院や入院での感染リスクが高まる中、コロナ禍で急速に進んだのがオンライン診療。宮田さんのクリニックでも早くから取り入れているそうです。
「今は、コロナ禍で国の規定が緩和されているので、オンライン診療を試すいい機会だと思います。
例えば、多くの人が利用するLINEが運営している『LINEドクター』は、身近なので使いやすいはず。提携する医療機関にアプリから予約して、無料のビデオ通話で診療が受けられます。スマートフォンで一連の流れがすべてできるので、手軽だという声が多いですね。
30〜40代だとかかりつけ医を持っていない人も多いと思うので、オンライン診療で医師や病院に相談することへの垣根が下がることは、すごくいい傾向だなと思います」(宮田さん)
専門家に聞く!がん検診、治療の今04
がんの標準治療=最新治療。高額な民間療法には注意
全国のがん診療連携拠点病院で受けられて、保険適用ができるがんの治療を「標準治療」といいます。がんの治療法には、さまざまな情報があるので注意が必要。
「がん診療ガイドラインに応じた、手術、抗がん剤治療、放射線治療、ホルモン治療などが、現在のがんの標準治療であり、最善の治療方法。基本的には主治医の意見に従い、不安であればセカンドオピニオンを取るなどして、標準治療の中で自分の治療法を決めていくことです。
民間の免疫療法や機能性表示食品などは慎重に考えましょう。あまりに高額なものは、その効果を疑ったほうがいいかもしれません。
がん治療の情報は、国立がん研究センターのホームページなど、信頼できる情報元でしっかり確認を」(宮田さん)
専門家に聞く!がん検診、治療の今05
日本人の2人に1人はがんに!がん=死と恐れずに正しい知識を
日本人の死亡原因の第1位ががんだというデータもあり、がん=死だと結びつけてしまう人が、まだまだ多いと宮田さんは言います。
「がんになると、ほとんどの人は絶望して暗くなるし、家族もみんな落ち込んでしまいます。でも、今や日本人の2人に1人はがんになる時代。長く生きていればがんになる確率は高くなるし、がんになるのは珍しいことではないと、ぜひ意識改革をしてください。
治療法も日進月歩でどんどん変わっていて、将来的には乳がんは完治する病気になるのでは、と言う研究者もいるほど。
過度に恐れて怪しい検査や治療に手を出したりせず、新しく、正しい知識を持つように心がけて。万が一がんになったとしても、悲観しないでほしいなと思いますね」(宮田さん)
イラストレーション/久保夕香 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
この記事は2021年7月7日発売LEE8月号『続く「がんと暮らす」毎日』の再掲載です。
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