不満を表さない夫との穏やかな生活だけど…
季絵さん(以下季絵):夫は基本テレワークで週1程度の出社、私は専業主婦。2020年4月の緊急事態宣言からほぼ毎日、ずーっと一緒にいます。飲み会もなくなり、朝昼晩ずっと一緒に食事をしています。夫は基本的に何も言わない人なので、特に不満もないそう。「おいしい?」と聞けば「おいしい」、「楽しんでる?」と聞けば「楽しいよ」、「怒ってる?」と聞けば「怒ってないよ」。私が子育てのことでイライラしてても涼しい顔をしているので、「どんだけ大変か分かってる!?」と怒ると、「分かってるよ。大変だよね」。言葉通り受け取っていいのでしょうか? それとも言葉の裏があるのでしょうか? 優しさなのか、無関心なのか……もし不満を溜め込んでいるのだとしたら、何年後かに爆発したら怖いなーと思っています。
佐藤ブゾン貴子さん(以下ブゾン):季絵さんの夫の顔を正面から見ると、鼻の穴がしっかり見えています。本音をきちんと口に出し、裏表や隠し事がないことを表しています。ですので、不満を溜め込んで爆発する心配はありません。ただ、愛情やコミュニケーションについて心配事を抱えているようです。会社で最近何かありましたか?
季絵:2020年4月の緊急事態宣言のタイミングで部署異動になり、以後新しい部署に移ってからはほぼリモートワーク。歓送迎会もないし、たまに出勤しても社内で他の人に会うこともほとんどないそうです。リモートワークについても「ちょっと面倒ではあるけど、別に大丈夫」と。
お笑い番組を観てもあまり笑わない夫
ブゾン:彼は思考ゾーン拡張タイプで、何事も理論理屈で捉える人。一方、季絵さんは感情ゾーン拡張タイプで、今笑ったと思ったら次の瞬間には急に泣き出したり、感情の起伏が激しい人。彼は「なぜ自分は楽しいのか?」と何事も理由を優先、季絵さんは「今楽しいでしょ? なんで私の気持ち分かんないの?」と感情優先で相手に共感を求め感情を押しつけやすい。お二人は物事の感じ方や受け止め方がものすごく違うし、ちょっと温度差がありますね。
季絵:夫はお笑い番組が好きでよく観ているのですが、あまり大笑いしません。私からすると「なんで? 面白くないの?」と思ってしまうのですが。
ブゾン:相貌心理学的観点から考察するとちゃんと「面白い!」と思っているし、すごく笑っていますよ(笑)。季絵さんの額を横から見ると、イルカの赤ちゃんのようにぷっくりしています。夢想家で豊かな、時として豊か過ぎる想像力の持ち主であることの表れです。「この人ある日突然爆発して、いなくなっちゃうかもしれない」「私のこと嫌いかもしれない」など、自分の頭の中で勝手にストーリーを作り上げ、苦しんでいるのでは? 真実なのか自分の妄想なのか、客観的に判断して。季絵さんが語る「夫像」も、実際の夫+季絵さんの想像が着色されていると予想されます。
夫の本心を知りたい!
季絵:感情を表に出さない夫の本心を知るには、どうしたら良いでしょうか? 私は文句を言われたら倍以上言い返してしまうタイプですが、夫は本当に不満がないのか、私に言い返されるのが面倒臭くて何も言わないのか……どちらなのか気になります。
ブゾン:思考ゾーンタイプの夫は、会話に起承転結があり、きちんと理由づけされ、言語化されないと理解しません。例えば「夜ごはん、何食べたい?」という質問だと「なぜ何を食べたいのか、いちいち聞くのか?」と解釈してしまいます。「なぜ何を食べたいのかを聞く理由」を明確に。「夜ごはん、何を作るのか考えるのが面倒だから、あなたが食べたいものを知りたい」と聞いてあげると良いでしょう。
季絵:なるほど! 私からすると「分かんないから聞いてるに決まってるじゃん!」と思ってしまうのですが(笑)。
ブゾン:でも思考ゾーン拡張タイプの彼はそうは思わない。全部、一言一句言葉にしないと彼には伝わらない。なぜ季絵さんが怒っているのかも分からない。「私はこういう理由で怒っていて、今に至っている」と説明して、やっと理解できるんです。お二人のコミュニケーションのキーワードは「言葉」です。
「私」「あなた」等、主語を必ず会話の冒頭に
季絵:私、「分かった!」とか、最後の思いしか話してませんでした(笑)。父も夫と同じようなタイプだったのですが、男の人ってみんなそうなんですか?
ブゾン:いやいや、それはたまたま彼とお父様が同じゾーン拡張タイプなだけで(笑)。思考ゾーン拡張タイプの人は、とにかく何でも「理由」を知りたいんです。そして、季絵さんが自分のことを好きでいてくれているか不安になるのは、むしろ夫のほう。「好き!」だけじゃ「何で僕のこと好きなんだろう……?」となる。ちゃんと「あなたのことが好きで一緒に食べたいから、毎日ちゃんとご飯を作ってるの」と説明してあげて、やっと分かる。でも説明してあげないと「作りたいから作ってるんでしょ?」「ルーティンだからやってるんでしょ?」と解釈してしまいます。
季絵:夫は言葉が足りないと思っていたけど、実は私の方が言葉が足りてなかったんですね。私はうるさいぐらよくしゃべるので、言葉は足りていると思っていました(笑)。
ブゾン:まさにその通り、ご理解が早い(笑)。言葉数の多い少ないではなく、的確さが大事です。感情ゾーン拡張タイプの季絵さんは「ワクワクする」など形容詞が多く、主語や動詞を省略しがち。文脈も分かりにくく、思考ゾーン拡張タイプの彼にはなかなか真意が伝わりません。夫は言葉の理解が外国人のようなタイプ。「私」「あなた」など、主語を必ず冒頭に付け加えることを心がけて。
季絵:そのたとえ、すごくすっきりしました! 夫はドイツ語学科出身で、主語動詞がないと発狂します(笑)。
日々の会話も、コミュニケーションの練習
ブゾン:主語って結構抜けますよね。そこさえ気をつければ、全く変わってきますよ。日々の会話をコミュニケーションの練習だと思って。彼を通して思考ゾーンタイプの人とのコミュニケーションを学ぶことで、季絵さんも「武器」を手に入れられます。人は一人では生きていけないし、コミュニケーションも無くてはならないもの。どんなタイプの人ともコミュニケーションが取れることは、季絵さんにとって最大の「武器」となりますよ。
季絵:娘も多分私と同じタイプ。夫と話していて「パパと話が通じない! パパ分かって!!」と私以上に爆発することも多くて。でも主語を意識することを教えてあげたら会話が成り立ちそうですね。
ブゾン:お子さんと一緒に楽しみながら、ゲーム感覚で練習すると良いでしょう。大人であっても、自分の感情を表現する方法が分からない人はたくさんいます。感情を溜め込んでしまうと心を病んでしまうこともあるけど、ちゃんと感情表現できればストレス発散できるし、相手にそれを伝えることで円滑なコミュニケーションが取れるようになりますし。今回は主語を気をつけて、次は動詞といった感じで、少しずつでOK。小さなことからコツコツと焦らずに。彼の反応も変わってきますし、それを励みに頑張って!
人も物事も多面的に捉えることをトライして
季絵:言葉数の少ない夫の言葉の裏を勝手に汲み取ろうとして、私が勝手に妄想を膨らまない方が良いんですよね?
ブゾン:その通り! 季絵さんの頬は肉付きがプリッとして張りがあり、問題解決力の高さが表れています。目に入る現実だけをしっかり見極め、豊かな想像力はむしろクリエーションに使ってください。物語を考えるなど、0からモノを生み出す素晴らしい力がありますから。専業主婦とのことですが、お仕事再開の予定は?
季絵:妊娠を機に仕事を辞めて、もう7年ほどお仕事はしていません。また働けるのかな? 正直想像できないです。それに、自分自身がクリエーションに向いていると感じたこともありません。
ブゾン:それも勝手な想像。その想像力をお仕事にすると、大きな実りを得られますよ。季絵さんは選択欲求が強く、物事を好き嫌いで判断しがち。ぜひ、人も物事も多面的に捉えることをトライしてみて。これまで見えていなかった、新しい景色が見えてくるかもしれません!
季絵さんアフタートーク
夫と私は物事への理解の仕方が違う……ということがわかり、とてもスッキリしました。
まずは診断結果を夫にも伝えました。
今までは「分かってよ!」と私の中でイライラしていましたが、それを夫に伝えることで私のことも理解してもらうようにしました。すると、感情表現の少ない夫も、私に気持ちをわかってほしいと感じていることがわかりました。
主語・動詞を意識して話すと、私の話には子供たち、子供の友達、ママ友、先生など……と、登場人物が多いことに気がつきました。私の話に意見が欲しいのか、ただ聞いて欲しいのかも夫に伝えるようにしました。
言葉が足りなくてお互い伝わらない時もありますが、イライラするのではなく顔診断の内容に触れて、理解できないことも笑いあえるようになりました。
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イラスト/つぼゆり 取材・文/露木桃子
佐藤ブゾン貴子 Sato Bouzon Takako
相貌心理学スペシャリスト
相貌心理学スペシャリスト、1975年生まれ。アパレルの勉強のため渡ったフランスで相貌心理学に出会い、世界で16人、日本人初となる相貌心理学教授資格を取得する。帰国後は相貌心理学の顔分析を用いてセミナー、講演、メディア出演など、多角的に活躍。近著には『あなたの顔には99%理由がある』(河出書房新社)『ビジネスは顔が9割』(祥伝社)がある。問い合わせはhttp://a-cura.net/bouzon/まで。
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