壁はどこよりも自分を表現できる場所。手軽に自由に、12カ月を彩ります。今回は、壁を中心に空間を作るお話。必要なのは、お気に入りの家具ひとつ。
石井佳苗さん Kanae Ishii
インテリア会社勤務を経てスタイリストに。雑誌や書籍、広告など多分野にわたって活躍。初心者にもわかりやすいオンラインレッスンも好評。https://www.kanaeishii-stylist.com/
額を飾っても、さまにならない。その理由のひとつに、飾るものに対して壁が大きすぎる場合があります。そこで活用したいのが、小さな家具。
「キャビネットや椅子を壁の前に置くだけで、壁"面"は、壁を背景にした奥行きある"空間"に様変わり。壁飾りと家具を軸にした縦長の空間が生まれることで、この一角に視線が集まり、全体にメリハリある印象になります。壁インテリアに迷ったら、とりあえず小家具を。壁を背景に花を生けたり、お気に入りのライトを置いたり。壁前に家具がひとつあるだけで、"掛ける"以外の選択肢が生まれ、より手軽に自分らしい空間を作れますよ」
床の間のイメージで
大きな壁面を家具を使った空間で区切る
広い壁面に小さな額ひとつだと、どこか散漫な印象。そんなときは、壁の前にキャビネットを。
「絵を掛け軸に見立て、下に花を生ければ、床の間を思わせる空間に。バランスよく仕上げるポイントは、額・花器・家具の中心をそろえること」。絵はニューヨークのマーケットで。家具は東北地方の古いもの。花器は額賀章夫さん作。
狭いスペースにも遊び心を
幅のない壁だからこそ縦長の空間作りが生きてくる
「スツールにかごをのせ、ドライの植物を飾りました。壁には『アッシュ・ペー・フランス』で見つけたロングネックレスをあしらっています。幅が狭い場所だからこそ、縦のラインを意識してのびやかに」。
スツール+かごのシックな色合いと、カラフルなネックレスの対比が絶妙。スツールは「天童木工」のものを自分でペイントしたそう。
部屋の隅をほのかに照らして
窓辺のコーナーには、実用を兼ねた名作照明を
NYで手に入れた、額入りポストカードを窓辺の壁に。「カッシーナ」の籐製チェアを合わせれば、温かで心地よい空間が生まれます。
「日が落ちると、部屋の隅ってどうしても暗くなるんですよね。そこで、椅子の上にはポータブルランプをオブジェ兼実用的な照明として置きました」。
ランプはルイスポールセンの名作「パンテラ ポータブル」。
家具と飾るものの間には
〝板状のもの〟をはさむとより効果的
空間を引き締めるのに役立つのが、トレイや本などの板状のアイテム。
「家具や椅子に花器やオブジェを直接のせると、物足りない印象になりがち。今回のレッスンでも、花器と家具、椅子と照明の間に使いました。境界を作ることで、それぞれの存在感がきわだちます」
照明は、壁の主役を
引き立てる名脇役
家具のほか、壁の近くにスタンドライトを置いても。
「陰影を作ることで、空間にぐっと奥行きが出ます。お気に入りの絵に当てるだけで、素敵なムードに」。
個性的な照明はイタリアの照明メーカー「FLOS」のもの。絵はNYのアンティークショップで。
●スタイリスト石井佳苗さんのインテリアレッスン 12カ月の「壁」を飾る
撮影/宮濱祐美子 取材・文/福山雅美
LEE2021年5月号『スタイリスト 石井佳苗さんのインテリアレッスン 12カ月の「壁」を飾る』より
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