壁は、どこよりも自分を表現できる場所。手軽に自由に、12カ月を彩ります。第2回は、「手持ちのお気に入りを、視点を変えてオブジェに」というお話。
石井佳苗さん Kanae Ishii
インテリア会社勤務を経てスタイリストに。雑誌や書籍、広告など多分野にわたって活躍。初心者にもわかりやすいオンラインレッスンも好評。https://www.kanaeishii-stylist.com/
壁を飾るというと、 "額縁に入った何か"を手に入れなければと考えがち。ところが石井さんの部屋で壁を彩るのは、ちょっと意外なあれこれ。
「かごでもお皿でもアクセサリーでも、気に入っているものを気軽に壁に掛けてみましょう。お気に入りは、どれも自分の感覚に合ったもの。あらためて手に入れたものより、むしろインテリアになじむはずです。しかも、それらは立体的ですから、空間をこなれた雰囲気にしてくれます。『少し違うな』と思ったら、また別のお気に入りを探して試行錯誤。実用品を掛けてみることは、壁を飾る気軽なレッスンにぴったりです」
かごをアートのように
かごは表と裏の表情を見て飾る。他のアイテムと組み合わせても
マルック・コソネン作のかごは、表情が生きるよう、あえて裏側を見せるように掛けて。
「かごだけでもいいのですが、ここでは、自然素材同士で相性のいい、イギリスで見つけた木製の特大カッティングボードと組み合わせています。かごは、日が落ちると壁に陰影が映し出されます。その美しさも計算に入れて、掛ける場所を決めて」
お気に入りのお皿を
好きな絵を掛ける感覚でお皿の図案、質感を見せる
こぐれひでこさんのイラストが可愛いお皿を壁掛け。いつもは食卓で使う器も、まるで素敵なアートのよう。
「お皿は料理を盛ると絵柄が見えなくなることも多いですよね。時には、それを眺められるように飾ってはどうでしょう? 色合いや質感が気に入っている無地の器を飾って見せるのも、よりオブジェ的でいいと思います」
鏡を飾りとして
鏡が映し出す風景まで計算に入れて飾る
鏡は洗面所か玄関に、という思い込みを捨てましょう。
「フレームの美しい鏡を一枚持っておくと便利。実用品でありながら、オブジェのような存在にもなり、映し出す景色によっては絵の役割も果たします。そんなわけで、鏡を掛けるときは"どこを映したいか"を明確にイメージすることが大切ですね」。
写真の鏡は吉川和人さんの作品。
プレートハンガーがあれば
お皿の絵柄を愛でられる
ホームセンターやネット通販で手に入るプレートハンガー。
「バネ付きのフックを皿の上下に引っ掛けて使います。サイズはいろいろ。飾りたいお皿に合わせて選んでくださいね。お皿だけでなく、絵本などを飾るときにも使えるので、ひとつあると役立ちます」
浅いかごやトレイは
壁掛けにぴったり
「かごを買うときに、"掛ける"を意識すると、選び方のポイントも変わってきます。色や素材、編み目など雰囲気が違うものを選ぶと、掛け替えるだけで簡単な模様替えにも」。
手前の楕円形はリトアニア、四角いものは南アフリカ、上にのせたかごはイギリスのもの。
●スタイリスト石井佳苗さんのインテリアレッスン 12カ月の「壁」を飾る
撮影/宮濱祐美子 取材・文/福山雅美
LEE2021年3月号『スタイリスト 石井佳苗さんのインテリアレッスン 12カ月の「壁」を飾る』より
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