近年増えている「子どもの便秘」。成長とともに便秘の原因も変わっていき、「いつかは治る」と思っているうちに、どんどん悪化してしまうことも!
「下剤や整腸剤はクセになる?」「毎日浣腸を使うのはよくない?」・・・人知れずわが子の便秘に悩む読者が、消化器内科医師の松生恒夫先生にクエスチョン!
まずは、成長段階で見るこ「子どもの便秘の原因」からチェック!
この記事は2019年9月7日発売LEE10月号の再掲載です。
子どもの便秘こそ早めのケアを!
子どもの便秘は成長段階で変わります!
子どもは成長とともに体が変化していき、それに伴い便秘の原因も変わります。
しっかり様子を見て、サポートしてあげることが大切!
子どもの便秘と成長|新生児~6カ月
ママの管理とケアが不可欠な時期
直腸や肛門の機能が未発達な赤ちゃんの頃は、腸の反射的な動きでうんちを出します。
原因不明の便秘も多く、腸の状態も日々変化しているため、顔色や機嫌がよく、ミルクもきちんと飲めていれば心配しなくて大丈夫。
でも、4日以上出ない場合は、綿棒で肛門を刺激して出してあげることが必要な場合も。
子どもの便秘と成長|6カ月~3歳
離乳食やトイレトレーニングが便秘の要因になることも
離乳食が始まり腸内の環境が変わると、一時的に便秘になる子も。
1歳を過ぎると便意を自分で感じることができるようになるけれど、まだ便意に気づけずに直腸にうんちがたまる直腸性便秘になる場合も多数。
「うんちを出すとスッキリ」という体験を積み重ねながら排便を習慣化させてあげたい。
子どもの便秘と成長|3歳~12歳
うんちをがまんして便秘になることが多い
だんだん大人と同じS状結腸にうんちがたまるように。
幼稚園や保育園、小学校など集団生活の中でうんちをがまんすることで便秘になる子も増えます。
うんちの状況に目が届きにくくなってくるので、ママが子どもの様子をきちんと観察したり、積極的にうんちの話をするなど、健康管理をしてあげて。
子どもの便秘と成長|12歳以降~
ホルモンの影響による便秘が増える
思春期は女性ホルモンの影響や、ストレスやダイエット時の偏食が便秘に拍車をかける場合も。
大人になると、便意をがまんすることでタイミングを逃してしまうことや、妊娠期のつわりやホルモンの変化も便秘を悪化させます。
コントロールが難しいこともあるけれど、できるだけ腸にいい食事や生活を心がけて。
成長段階で変わる子どもの便秘:ほかにもこんな原因が
・不規則な生活
・食物繊維不足
・便意のがまん
・冷え
体の発達とは別に、普段の生活習慣が便秘を招く場合も。ママが便秘だと、子どもが便秘でも「普通のこと」としてスルーしてしまうことが多いもの。原因を探って、親子で一緒に改善していくのがベストです。
子どもの便秘Q&A
子どもがトイレで踏ん張る時間が異様に長い。うんちを長時間がまんしてお尻が痛くなってしまうせい?
A お尻は痛い、でもうんちは出したい!その葛藤で長くなってしまうのでは
「便秘で便が硬くなってしまうと、出すときに痛みが伴います。その怖さもあって出すのに時間がかかっているのかも。ただ、長時間いきんでいると肛門がうっ血して痔になりやすいので要注意。
痔の痛みで便意をがまんして悪循環になるので、いきむ時間が長すぎるなら一旦トイレから出したほうがいいでしょう」
子どもの便秘Q&A
毎日浣腸を使うのはよくない気がして、少しでも負担を減らそうと5歳の子どもに赤ちゃん用のを使っているけれど、問題ない?
A 赤ちゃん用でも毎日使うのは×!浣腸以外に頼らず出せる力をつけよう
「赤ちゃん用とはいえ、毎日使っていると習慣化して自力で排便する力がつきません。たまってしまってどうしても、というときは仕方ないですが、基本は浣腸に頼らず、食事や生活習慣で治す努力を。
そもそも浣腸を使わないと便が出ないということ自体、すでに病院で診てもらうべき状態。できるだけ早く受診しましょう」(消化器内科医師 松生恒夫先生)
子どもの便秘Q&A
子どもが、うんち後のシャワーを習慣にしています。子どものうちからシャワーを使っても大丈夫ですか?
A 毎日使用は問題ないが肛門周辺の皮膚炎には要注意
「便を出すときに大事なのは、直腸肛門反射という自然な体の反応で出せているかどうか。シャワーで刺激しないと出ない、というのは自分の力で排便する力が衰えているという証拠でよくありません。
排便後にシャワーを使うのは問題ありませんが、刺激が強すぎると肛門周辺の皮膚炎になりやすいので、水圧は強すぎないように注意しましょう」(消化器内科医師 松生恒夫先生)
子どもの便秘Q&A
下剤や整腸剤を使うと、クセになりませんか?
A 一時的な症状の改善にはいいけれど習慣化させないことが大事!
「便秘の薬には、うんちを軟らかくするものから腸を刺激して排便を助けるものまでいろいろ。中でもラキソベロン系の便秘薬はクセになりやすいといわれているので要注意。
最近はクセになりにくいオリゴ糖の下剤も出ていますが、薬を使うのはあくまで応急処置として考えて。生活改善で、自然に排便できる力をつけたいですね」(消化器内科医師 松生恒夫先生)
子どもの便秘Q&A
夫も私も便秘がち。便秘は遺伝するのですか?
A 遺伝のせいにするのは×!生活習慣で治せます
「親の腸内環境がそのまま子どもに引き継がれるということはなく、腸内環境は人それぞれ。それを作るのはあくまで食事をはじめとする生活習慣です。
わが子が大人になったときに病気のリスクを高めないように、今のうちから親子で一緒にライフスタイルを見直すことが大事です」(消化器内科医師 松生恒夫先生)
子どもの便秘Q&A
共働きで夕飯が毎日遅く、寝るのも遅い。子どもの排便リズムによくないでしょうか?
A 腸を元気にするためには早寝早起きで自律神経を整えるべし
「私たちの体は、交感神経優位のときに便をため、副交感神経優位のときに便を出します。寝るのが遅く起きるのも遅いと、自律神経が乱れて腸の働きも悪くなってしまいます。
子どものときの便秘は大人になっても引きずることが多いもの。どこかで一度親が覚悟を決め、生活改善して子どものリズムを整えてあげる必要があるでしょう」(消化器内科医師 松生恒夫先生)
子どもの便秘Q&A
便秘に効くという漢方、子どもに飲ませてもいいの?
A 漢方=体にやさしい、は間違い!飲み続けると腸が汚れることも
「便秘に効く漢方薬にセンナというものがあります。センナを飲むと一時的に便がゆるくなり便秘が解消したような感じを持ちますが、それは間違い。
長期間飲み続けると腸の中が真っ黒になってしまうことも報告されているので、漢方=やさしいと自己流で服用するのはNG。まして子どもならなおさらです。きちんと医師に相談を」(消化器内科医師 松生恒夫先生)
イラストレーション/えのきのこ 取材・原文/遊佐信子
この記事は2019年9月7日発売LEE10月号『大人と子どもの"本当は怖い"便秘の話』の再掲載です。
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