家事を抱えすぎと思っているなら家事シェアの見直しを行いましょう。夫婦でうまくシェアできれば、世帯年収や貯蓄がアップできる可能性があります。家事育児を分担するヒントは「夫婦の年収比」! 共働き夫婦が無理なくでき、お互い納得ができるシェアの形を見つけて、ストレスを減らし、年収と貯蓄を増やしましょう。
「ちゃんと貯金できる共働き夫婦」になる!
◆【共働き夫婦の貯蓄の目標額】理想は年収の20%、まずは10%から始めてみて!
◆【夫婦で確実に貯金できるルール】4つのステップを押さえて年収の10%を貯めよう!
この記事は2019年6月7日発売LEE7月号の再掲載です。
家事育児のシェアについて教えてくれたのは…
ファイナンシャルプランナー 山崎俊輔さん
共働き世帯の2児の父として、洗濯や掃除などの家事や育児もこなしつつ、「日経電子版」をはじめ多数連載を抱える、共働きに関するお金のプロ。著書『共働き夫婦 お金の教科書』(プレジデント社)など。
共働き世帯の妻の家事の分担比率は?
共働きにもにもかかわらず、家事を91%以上負担している人が3割超。71~90%も合わせれば、7割以上という高い割合に。この記事をヒントに、ぜひもっとシェアを進めて!
上手な家事育児シェアは
年収や貯蓄アップにつながる
上記のアンケートの結果からも、共働き夫婦なのに「家事は妻がして当然」という家庭はまだまだ多そう。でもこれも“貯まらない”原因のひとつかもしれません。
「夫の家事育児シェア割合が増えれば、妻はもっと働けるようになります。夫の収入を100万円増やすのはなかなか大変。ですが、専業主婦の妻がパートに出るか、パートから正社員になれば年収100万円増も可能。また普段から夫が家事育児をできていれば、子どもが増えたときに妻が仕事を辞めなくてもなんとかなります。収入や貯蓄増のために、家事育児シェアはすごく有効なのです」
シェアの見直しには、家事育児の「見える化」リストと、年収比を使った表(共に下記)をぜひ活用して。また、相手に完璧を求めないことも大事、と山崎さん。
「妻が自分のやり方にこだわりすぎるのもシェアが進まない原因なのかなと。自分のやり方と違ったり多少雑だったりしても、ある程度目をつぶることで、夫の家事育児の参加意欲も上がるはずです」
気づけばたくさん引き受けていませんか?
家事育児シェア「見える化」リスト
「妻が担当」「半々で担当」「夫が担当」に分けて現状を把握
※リストは家庭ごとに適宜追加してください。
家事
- 朝食を作る
- 朝食の皿洗い
- ゴミをまとめる
- ゴミ捨て
- 洗濯(まわして干す)
- 洗濯物をしまう
- 風呂洗い
- 夕食を作る
- 夕食の皿洗い
- 買い物
- 部屋の掃除
- 散らかった床の片づけ
育児
- 朝食を食べさせる
- 朝の歯磨き・トイレ
- 朝の着替え
- 保育園送り
- 保育園迎え
- 宿題を見る
- 習い事の送迎
- 子どもと遊ぶ
- 夕食を食べさせる
- 夜の歯磨き・トイレ
- お風呂に入れる
- 夜の着替え
- 寝かしつけ
不定期のもの
- 子どもが病気のときの通院
- 学校行事参加
- 保育園からの呼び出し対応
年収の比率を客観的な
家事育児分担の判断材料にしよう
家事シェアのひとつの目安として使えるのが、夫婦の年収比。
「夫と妻の年収比率を逆にした割合を、家事分担割合と仮定してみてください」。
夫婦の年収がそれぞれ500万円と300万円(比率約60:40)なら、家事シェアの目安は夫40%、妻60%に。
「多くの男性はおそらくこの割合ほどには家事育児をしていませんから、夫にシェアの見直しを相談するための切り口になります。ただし、妻の産・育休中や復帰間もない時期は、一時的に年収が下がるので、その年収で考えず、産休前の年収で考えてください」
夫の年収500万円、妻の年収300万円の場合
夫婦の年収比率を逆転させた割合が、家事育児シェアの目安。年収比が夫60:妻40の場合は、家事育児シェアの割合は夫40:妻60に。
夫婦それぞれがどんな家事育児をしているかを洗い出し、現状を見える化して、割合を算出。目標とのギャップを夫婦で確認しよう。
妻のほうが多ければ、夫に引き渡せそうな家事をリストアップして相談。いきなり目標の割合にするのではなく、少しずつ調整しても。
こちらも相手に引き渡せそうなものをリストアップ。「夫が自分の負担が増えたと感じたら、今まで楽をしていたということでもあります」
年収に開きがある場合は?
年収比はあくまでも目安。交渉材料のひとつに
もし夫婦の年収が900万円と100万円などと開きがある場合、家事育児シェアは1:9でいいということになるけれど……。
「この数字はあくまでも目安で、夫が1割の家事育児をすればいいというわけではありません。むしろ妻の収入が増やせた未来予想図で分担を考えましょう。まず相談をする際の突破口としてこの数字を交渉材料にすると考えて」
ヒント1
妻のマニュアルは夫に開示すべし
夫に家事をやってもらうと、「順番が違う」「仕事が雑」と妻が感じることも。思うとおりにしてもらいたい場合は、手順などの詳細を伝えよう。
「私は妻がIT関係なので、IT用語を使って『家事の“仕様書”をくれる?』と聞いて、詳しく教えてもらい、家事のやり方の違いにまつわるストレスがお互い減りました」
ヒント2
家事のハードルを下げるべし
家事はやろうと思えばきりがありません。忙しい共働き夫婦は、家事の合格ラインを下げるのが正解。
「家事を相手に頼むときは、ある程度やってもらえばOKとするのが円満にいくコツです。ロボット掃除機や食洗機など、便利な家電はぜひどんどん活用してください」
山崎さん家は?
朝食作りや保育園の送迎、夕食も4割くらい担当
「家事育児は夫婦半々くらいで分担。私は朝食作りや子どもの保育園の送り迎えを基本的に担当。自営業なので時間に融通がききやすく、子どもを小児科に連れていくことも多いです。洗濯物は夫婦で自分のものを担当。夕食は4割ほど私が作ります。子どもの寝かしつけも2日に1回は私です」
「ちゃんと貯金できる共働き夫婦」になる!
◆【共働き夫婦の貯蓄の目標額】理想は年収の20%、まずは10%から始めてみて!
◆【夫婦で確実に貯金できるルール】4つのステップを押さえて年収の10%を貯めよう!
撮影/細谷悠美(人物) イラストレーション/鈴木あり 取材・原文/西山美紀
この記事は2019年6月7日発売LEE7月号『「ちゃんと貯められる共働き夫婦」になる!』の再掲載です。