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LIFE

飯田りえ

YouTubeに学びの場「マザーハウスカレッジ」登場。オンライン教育を推進

  • 飯田りえ

2020.06.15

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緊急事態宣言も解除され、コロナウィルスと付き合いながらの新たな生活が始まろうとしています。

この3ヶ月の学校休校生活いかがでしたか?

紆余曲折はありましたが、特に緊急事態宣言前後から家族で団結して、乗り越えられた感じがあります。四六時中、こんなにも家族だけでずっと家にいたことって…ありませんでしたから。

中でも、一番頭を悩ませたのが、学校がない間の学習をどうするか。夫婦、共に家で仕事をする中、どうやって見ていけばいいのだろう。それと同時に、これから世界が変わろうとしている中、これまでの学習方法ではいよいよ方向が違ってくるだろうと。これまでも考えてはいたのですが、いよいよ「どういう教育を受けさせたいか」を選ぶフェーズに入った感じがします。

そのためには、自分が信頼している教育者や有識者たちが、これからの未来について、どんなことを考え、そのためにはどんな教育が必要なのかを、これまで以上に拾いに行くようになりました。有難いことに、皆さんオンライン上で発信し続けてくれているので、これまで行けなかった勉強会やイベントなども積極的に参加でき、家にいながら楽しみが増えたぐらい。そのなかのひとつが、毎週木曜日夜にYouTubeでライブ配信されている「マザーハウスカレッジ」です。

マザーハウスカレッジって? どうして学びの場を?

山崎大祐さん■1980年東京生まれ。慶應義塾大学在学中にベトナムでストリートチルドレンのドキュメンタリーを撮影したことをきっかけに、途上国の貧困・開発問題に興味を持ち始める。卒業後、ゴールドマン・サックス証券にエコノミストとして入社。その後、創業前から関わってきた株式会社マザーハウスの経営への参画を決意し、07年に取締役副社長として入社。19年から代表取締役副社長に。他にも(株)Que社外取締役、日本ブラインドサッカー協会外部理事、TBS朝の情報番組グッとラックの金曜レギュラーコメンテーターを務める。

「途上国から世界に通用するブランドを作る」という理念のもと、代表とチーフデザイナーの山口絵里子さんが24歳の時に始めたマザーハウス。設立から14年を迎え、バッグだけでなく、ジュエリーやアパレルも展開、バングラディッシュなど5カ国でエシカルなものづくりを続けています。LEE世代からも絶大な支持を得るブランドですね!

そんなマザーハウスの立ち上げから参画しているのが、副代表の山崎大祐さん。元ゴールドマン・サックスのエコノミストから転身し、ベンチャーであるマザーハウスの経営を支えてこられました。一方で、「マザーハウスカレッジ」と称した”学びの場”を作り、「Warm Heart(情熱的な想い)とCool Head(冷静な思考)」をテーマに、ゲストスピーカーを呼んでのトークイベントを開催。これまで100回以上開催され、延べ4000人以上が参加している人気リアルイベントなのです。

通常なら本店開催されていたのですが、この状況下です。山崎さんは早々にYouTubeチャンネルを開設されました。このコロナショックをどう乗り切るのか…まさに今、必要なのは熱い情熱と冷静な思考!しかも、ジャンルはコロナにまつわる医療や経済、メディア、はたまた冒険家まで…多岐に渡ります。コメンテーターとしてもメディアで引っ張りだこの山崎さんは、鋭い視点で切り込みつつ、最後は前向きな気持ちになれます。中でもNPOカタリバ代表の今村久美さんと”教育”をテーマにした回は、学校や学びのオンライン化について知りたいことばかりでしたので、内容を少しご紹介します。

NPOカタリバ今村さん×マザーハウス山崎さん教育対談

今村 久美さん■1979年生まれ。慶應義塾大学卒。2001年にNPOカタリバを設立し、高校生のためのキャリア学習プログラム「カタリ場」を開始。2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組む。「ナナメの関係」と「本音の対話」を軸に、思春期世代の「学びの意欲」を引き出し、大学生など若者の参画機会の創出に力を入れる。ハタチ基金 代表理事。地域・教育魅力化プラットフォーム理事。中央教育審議会 委員。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 文化・教育委員会委員。

山崎さんと同じ大学出身の1年先輩だったという認定NPO法人カタリバ代表理事の今村久美さん。卒業と同時の2001年に立ち上げ、今年で20年を迎えます。多様な人や年長者との出会いがあまりない子どもたちに、「ナナメの関係」を作り出すべく教育現場で活動されています。

今回のコロナにおいても、一斉休校要請の4日後に「カタリバオンライン」を立ち上げ、zoom朝の会で子どもたちの居場所を作ったことで話題となりました。また、PCやWI-FI環境を揃える機材を無料で貸し出しするなど、とにかく子どもたちを取り巻くニーズを汲み取るのが早いのです。この背景には、これまで被災地などでも子ども達への支援にあたっていた経験からだそう。

「一斉休校が始まると、まず、子ども達の居場所がなくなると考えました。と言うのも、避難所生活の中で子ども達に生じやすいのが①昼夜逆転の生活、②子ども達の中には、人との関係性を絶ってしまう、③その結果、リスクのあるネット繋がりの中に出かけていってしまう…ということでした。だから『学校はないけれど、安心安全で集まれる場を作ろう』と、早急に動き出したのです。」

子どもに対して”すべきこと”がわかっていれば、リアルからオンラインにスライドできることが実証されたのです。現在、登録人数1600人ほど、常時100~150人ぐらいが世界中から集まって、カタリバオンラインを利用しています。

オンライン教育実践校が5%…学校現場で起こっていること

カタリバオンラインを運営している一方で、文科省の中央教育審議会委員をされている今村さん。学校現場の全体はというと問題山積。タブレットもPCもなく、あるのはお母さんのスマホだけで、WIFI環境もない…といった、子どもがオンライン上にアクセスできない状況なのだそう。そして、ルールも非常に古典的(zoomに流出するだけで個人情報NGになる自治体もある)で、国or自治体の制度なのか、教育委員会なのか、管理職のやる気なのか、何かが邪魔をして身動き取れないでいる先生が多いのだとか。文科省はかなり危機感を覚え、オンラインシフトに向けて強く提唱していますが、現場ではとにかく進んでいないのです。(5月11日「学校の情報環境整備に関する説明会」をYouTubeでライブ配信されています)

今村さん曰く、一番、問題なのが何週間も状況確認が取れていない子ども達。

「学習が遅れてしまう議論も大事ですが、心配もしてもらえていないで放置されている子ども達がいるということに、誰が着目するのか。そのためにも、参加できる子だけでもzoom朝の会を開いて、連絡のとれない子の状況確認に注力するほうが最優先です。そのためには “平等”を一旦諦めたほうがいい」

また、オンライン化で学びを止めないという議論の中で、

「先生がオンラインで授業動画作ります、みたいな動きが多いですが、動画に慣れていない先生も多いですし、手間もかかります。民間のサービスで良い教材があるので「このサイトにあるこれをやりましょう」とZoom朝の会で伝えるのが今はいいと思います。とにかく、家庭と第二の居場所を作る必要があるのです」

そのほか、今、急速に議論がなされている”9月入学”についてや、学びとの向き合い方、学校のあり方、未来の教育について…など熱いトークセッションが繰り広げられました。



ライブ配信だとチャットで質問もできて参加もできる

あっという間の1時半でしたが、生配信中ですとチャットにコメントすると質問を拾ってもらえることもあるので、非常にインタラクティブな勉強会なのです。

どうしても自分の子ども達の学びのことばかり考えてしまいがちでしたが、もっと困難な状況があったのですね。今、とにかく現場が大変な状況なのは伝わりましたが、こんな時だからこそ、これからの子ども達にとってどんな教育を届けたいのか、前向きな話を学校現場、保護者も交えて皆で論議できればいいな、と思いました。この様に毎週、山崎さんの鋭い質問とトップランナー達のお話がじっくり聞けるので、気になる方はYouTubeでのアーカイブでぜひご覧になってください。

山崎大祐 マザーハウスカレッジ YouTube

飯田りえ Rie Iida

ライター

1978年、兵庫県生まれ。女性誌&MOOK編集者を経て上京後、フリーランスに。雑誌・WEBなどで子育てや教育、食や旅などのテーマを中心に編執筆を手がける。「幼少期はとことん家族で遊ぶ!」を信条に、夫とボーイズ2人とアクティブに過ごす日々。

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