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LIFE

夫婦ともに英語が苦手。どう教える?【薄井シンシアさんの「育児書を捨てよ、子どもを見よ!」第3回】

  • 薄井シンシア

2020.04.11

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親も英語が苦手で・・・

前回同様、今回も英語への接し方についてお話したいと思います。お伝えしたように、英語は「学ぶ」のではなく、楽しく「体験する」というのが私のモットー。「教えよう」とするから、親も構えてしまって苦しくなるのだと思います。とはいえ、「体験する」にも親の英語力がないとダメなんじゃない? と思っていませんか? そんなことはありません! 今回は、そんなお悩みについてお答えしたいと思います。

 

子どもへの教え方が分からない……

Q:夫も私も英語は受験英語で止まっていて、日常会話もおぼつかないかっこ悪いレベルです。3歳の娘はいまのところ、英語のアニメDVDなどを見ていて、本人は真似したりして楽しんでいるのですが、夫婦ともに英語力にまったく自信がないので、これからどうやって英語を学ばせていけばいいのか、親がついていけるのかと、不安です。(33歳・女性)

一緒に学ぼう!

A:私は、子育てで決めていたことがありました。娘にこうして欲しいと思うことは、親である私も同じようにやるということです。親って、その立場を使って子どもに無理を言いがちなんです。でも、子どもは意外に親の背中をよく見ているもので、自分にばかり要求して、親がそれをやらないのは「ズルイ」と感じてしまうんです。

英語環境は身近にある!

たとえば、これはバンコクのインターナショナルスクールで経験したことですが、日本の親御さんたちは、子どもに日本人同士で固まらず、外国人の中に入っていってほしいと考えている様子でした。でも私は、親のほうはどうなの? と感じていました。私はPTAの会長をやっていたので、実際に、親御さんたちにもそう言いました(笑)。

私はフィリピン出身で、英語の環境で育ちました。日本語は留学で身につけたスキル。聞くのも喋るのも英語の方が楽なんです。でも、娘に日本語の本を読ませたいなら、私も日本語の新聞を読まなければと思い、それから英字新聞はピタッとやめました。親子でいっしょにやりましょう、と。

あなたが娘さんに英語をマスターしてほしいと思うなら、親であるお二人も英語に再トライする。一緒に英語をやろうよ、という姿勢を見せることです。それがスタートではないでしょうか。



恥ずかしいのは最初だけ

では、子どもといっしょにどんな英語体験ができるのか? いろんな言語があちこちから聞こえてくる外国のようなダイバーシティーのある環境ならともかく、日本はそうではありません。肌で英語に触れる機会が少ないから、不安になるのはわかります。でも、周りを見てください。最近はコンビニやレストラン、観光地には外国人が増えてきています。私なら、まずはそういう環境で、英語を使ってみようと思います。恥ずかしいですか? でも、それは最初だけですよ。

私もウィーンでドイツ語を始めたとき、文法も発音もめちゃくちゃでしたが、エイヤという気持ちでスーパーで喋りまくっていました。単語を並べただけの会話なので、同じくドイツ語を学んでいた娘にも、「ママのドイツ語は……」と呆れられましたが、ちゃんと通じましたからね。言葉はコミュニケーションの手段だから、通じればOKなんです。将来、外国語を使う職に就くなら、そのときには、さらなる学習が必要かもしれませんが、子どものうちは、まず苦手意識を持たせないこと、楽しむことを優先させた方がいいと思います。子どもが楽しいと思えば、あとは自ら勝手に学び始めるはず。いまはその土台をつくることが大事だと思います。

 

苦労している姿を見せる

知り合いから、こんな面白い話も聞きました。両親ともに語学は不得意だけど、子どもには小さいうちから海外体験をさせたいというので、毎年、夏休みには海外旅行に出かけたそうです。しかも、都会ではなく、親が必死で頑張らないといけない辺鄙なところ。そうすると、子どもたちはパパが拙い英語で苦しんでいるのを見て、「ああいう風にはなりたくない」と思うだろうな、という算段だったみたい(笑)。思い起こせば、私にも同じ経験がありました。フランス旅行に行ったとき、夫も私もフランス語ができずにまごまごしていました。娘の方がフランス語はできたから、どう思っていたでしょうね。でも、親がそうやって苦労する姿を隠さず見せることも、ときには大切なのではないでしょうか。

上達の秘訣は「カッコ悪い道を通る」こと

娘にも、同じ体験がありました。小学生のとき、ニューヨークでフランス語を学んでいたとき、ほかの科目は全部Very goodなのに、フランス語だけ Satisfactoryだった。本人はすごいショックを受けていましたが、先生に聞くと“You never say anything”だと。そこで娘は気持ちを切り替えて、臆せずどんどん喋るようになったんです。発音も文法もまったく気にせず、伝えたいことをビャーッとね。高校生になったとき、そのことを思い出して娘はこう言っていましたね。「語学は、カッコ悪い道を通らないと、喋れない」と。

大切なのは、語学力よりも気の持ちようかもしれませんね。日本の受験英語を突破したなら、それなりのレベルがあるはずです。あとは、カッコ悪くてもいいから、コミュニケーションしたい!という強い思い。そうした姿勢を子どもに見せれば、子どもも積極的になるのではないでしょうか。ぜひ今日から試してみてください!

構成/鵜養葉子

 

 

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薄井シンシア Cynthia Usui

17年間の専業主婦生活の後、「給食のおばちゃん」からラグジュアリーホテル勤務を経て、現在は大手外資系企業で働きながら、講演活動や出版活動も行う。著書に『ハーバード、イエール、プリンストン大学に合格した娘は、どう育てられたかママ・シンシアの自力のつく子育て術33』(KADOKAWA)、『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』(KADOKAWA)がある。

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