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お片づけを習慣にするには?【薄井シンシアさんの「育児書を捨てよ、子どもを見よ!」第14回】

  • 薄井シンシア

2020.09.27

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なんでいつも片付けてくれないの!?

前回、前々回と、子どもとのルールづくりについてお話ししてきました。今回は、片付けのルールについてお話ししたいと思います。

Q:8歳の娘が、モノを出したら出しっ放しで、部屋がまったく片付きません。学習用具もおもちゃも、使いっぱなし。洋服は脱ぎっぱなし。「片付けなさい!」と口を酸っぱくして言うのですが、やるのはその時だけで、あっという間にリビング中が散らかり放題になっていきます。片付けて回るのも大変で、私のイライラが溜まって、喧嘩になることはしょっちゅう。この状況から脱するには、どうすればいいでしょう?(38歳 女性)

「自分のスペース」は自由にしていいというルールを

A:お母さんのお気持ち、よくわかります。私も、モノが片付いていない部屋はとても苦手。イライラしてきますよね。でも、娘さんの方は、こんな風に思っているのかもしれません。「どうして、片付けなくちゃいけないの? 私は、片付いてなくたって平気。そっちの方がいいの」って。つまり、これは部屋の心地よさをめぐる価値観の問題だから、親子といえど、平行線をたどることでしょう。

だからと言って、お母さんがずっと我慢して、散らかったモノを片端から拾って片付けて回るのも、勘弁してよ!でしょう(笑)。それに、お母さんだけが我慢するのは、フェアじゃありません。では、どうすればいいのでしょうか?

小さい頃から習慣作りを

我が家の話から始めましょう。我が家には、ほぼ私自身のために(笑)、「モノをきちんと片付けよう」というルールがありました。娘がまだヨチヨチ歩きの頃に、このルールを教え込んだので、長く、平穏な秩序が保たれていたのです。

ところが、娘が高校生になると、状況は一変。さっぱり片付かなくなりました。理由は明快。学校生活が忙しすぎて、時間も気持ちも片付けに回す余裕がなくなってしまったのです。ベッドには脱いだ洋服が山になり、床には雑誌やバッグが転がっていました。ドアを開けっ放しにしているので、いやでも目に入ってきます。片付けて、という言葉は虚しくスルーされるばかり。我慢は頂点に達し、私は娘にこう宣言しました。

「あなたが、どんなに部屋を散らかしても構わない。でも、私は見たくないの。だから、部屋のドアだけは閉めてください。ドアからこっちは、家族全員のスペースなんだから。ただし、掃除をする日は、床にモノがない状態にしておいて。そうでないと、掃除機がかけられないから」。

境界線を引いて、子どもの王国を作る

つまり、自分のスペースは自由に使っていい(片付けなくてもいい)。でも、家族みんなのスペースは片付けてもらう、ということです。それは家族全員が心地よく過ごすために必要なルールでした。

もし、家に子ども部屋があるのなら、娘に言い渡したこの方法をそっくり真似してみてください。子ども部屋がなくて、勉強も遊びもリビングでやっているという方は、リビングの一角を完全にお子さんのスペースにしてしまってはどうでしょうか。私なら、床にテープを引くか何かをおいて境界線を作り、子どもにこんな風に提案すると思います。

「境界線のそっち側が、あなたの国と決めましょう。あなたはその国の王様だから、勉強するのも遊ぶのも、自由に何でもやっていいの。おもちゃを出しっぱなしにするのも、片付けるのもあなたの勝手。でも、境界線からこっち側は、家族みんなの場所だからね。線を越えて、おもちゃが溢れ出してくるのはダメよ

さて、しかしです。こうして線引きをしたとしても、ごちゃごちゃの片付かない景色は嫌でも目に入ってきますね。どうするか? それはもう、親が見て見ぬフリの「見ザル、言わザル」になるしかないと思います。それが、お互いを尊重するフェアな妥協策なのだから、我慢をして慣れていくしかないんです。でも、子どもにとっては自分の王国だから、きっとリラックスできるんです。子どもには、そういう「治外法権」的な空間も必要だろうと思います。

片づけの習慣付けは、できれば小さいうちにやっておく方がベターです。先にも述べましたが、娘が幼児の頃に、片付けるという基本動作を手取り足取りで教えたのです。というのは、子どもは「片付ける」ということがどういうことなのか、分からないからです。



片付けやすい仕組み作りも重要

遊び終わると、「お片づけをしようね」と声をかけ、「おもちゃはこの箱に戻そうね」と一緒に戻し、「箱は戸棚の下に入れようね」と誘導する。そして、「ほら、片付いたわよ。何もなくて、きれいね」と片付いた状態を確認させるのです。それ以前の問題として、ちゃんと子どもにとっても片付けやすいシステムになっているか絶えずチェックしたほうがいいと思います。あまり細かく仕切りがあると、子どもにとってはハードルが高くなります。

これを繰り返すうちに娘は、自ら片付けるようになりました。見ていると、娘にとって、お片づけも遊びの延長なのだと分かりました。この遊び感覚で騙せるうちに(笑)、片付ける習慣を体に染み込ませてしまいましょう。

お片づけのエピソードは、私の著書『ハーバード、イェール、プリンストン大学に合格した娘は、どう育てられたか』でも紹介しています。よろしければ、参考になさってください。

構成/鵜養葉子

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薄井シンシア Cynthia Usui

17年間の専業主婦生活の後、「給食のおばちゃん」からラグジュアリーホテル勤務を経て、現在は大手外資系企業で働きながら、講演活動や出版活動も行う。著書に『ハーバード、イエール、プリンストン大学に合格した娘は、どう育てられたかママ・シンシアの自力のつく子育て術33』(KADOKAWA)、『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』(KADOKAWA)がある。

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