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FOOD

武田由紀子

『子どもの食卓』から、子ども向けの冷凍食品が発売! 開発者に聞く

  • 武田由紀子

2020.03.02

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家族には、健康的でおいしいごはんを食べてもらいたいもの。特に子どもが小さいうちは、添加物や保存料を使わない安心で安全なごはんを食べて欲しいと思っている人も多いはずです。

そんな願いを叶えた、子どもが安心して食べられる幼児食の“子ども弁当”を手がけているのが『子どもの食卓』です。2018年5月から始まった“子ども弁当”の販売を経て、昨年11月から冷凍食品の販売をスタートしました。

“幼児食”って、知っていますか?

そもそも“幼児食”という言葉を、初めて聞いた人も多いと思います。幼児食とは、離乳食後から小学校低学年ごろまでの食事で、この時期は、味覚が発達段階にあるため、より多くの味に触れることで「素材のおいしさを感じる力」が育まれるといいます。そのため、『子どもの食卓』のお弁当は、食材のうまみを引き出すため、こだわりの調味料を使って薄味で仕上げられています。

とはいえ、その味は一度食べると“ただものではない”と感じる感動のおいしさ! 旬の食材を使い、食材そのもののおいしさを引き出す調理法で作られたおかずは、かむほどのうまみが口に広がります。調味料は、なるべく塩、砂糖、油を使わずにシンプルに仕上げられ、「こんなおいしさ、ありそうでなかった!」「歯ごたえが楽しい。噛むほどにおいしさがあふれてくる!」と驚いたのを覚えています。

水木金に毎日限定100食販売されていた“子ども弁当”  大 1480円、小 1380円(税抜)※現在は販売休止中

子どもの味覚を育む、五味の体験

またお弁当には、五味(甘み、うまみ、塩み、酸み、苦み)がバランスよく取り入れられ、子どもの味覚を育むための味覚体験が、自然とできるようになっています。

そんな『子どもの食卓』が手がける冷凍食品なので、お弁当と同じようにこだわって作られています。『子どもの食卓』の代表・権(ごん)寛子さんに、冷凍食品が誕生したきっかけや開発の苦労、裏話聞きました。

——-冷凍食品を作ろうと思ったきっかけは、何ですか?

第二子を出産した後、お弁当を買いに行くことさえ大変でした。また、お弁当を販売していた時に、全国のお母さんから「福岡で売って欲しい」「名古屋で買えるお店はある?」など、たくさんの問い合わせをいただきました。お弁当は、賞味期限が1日なので、店に来られない人に届けられないという壁があったんです。そこで冷凍食品を作ろうと思いました。

『子どもの食卓』代表、権 寛子さん。4歳&2歳のお子さんをもつ、お母さんでもあります

スタートは、クラウドファンディングから

——-最初は、クラウドファンディングからはじめられましたよね?

そうなんです。作ろうと思ったものの、本当にニーズがあるか不安になり、まずはクラウドファンディングからと思い、2019年5月からスタートしました。無事目標を達成して、11月から販売をスタートしました。

——-ほぼ半年で商品化して販売するというのが、とても早いように感じますが…。

それほど大変ではないと思っていましたが、やっぱり大変でしたね(笑)。最初は、冷凍食品を作ってくれる工場探しからでした。全国の保健所に電話して、冷凍惣菜を作れる会社がないか聞いて回ったり、使いたい冷凍用の機械を作っている会社に、その機械を使っている工場はどこかを聞いたり。プライバシーもあるので、当然教えてもらえないんですけどね(笑)。そんな矢先、たまたま電話をかけた工場で社長さんが電話を取ってくれ、話を聞いてくれました。その会社とご縁がつながり、製造をお願いできることになりました。『子どもの食卓』のコンセプトを伝え、具体的なメニューを相談し試作を繰り返し、二人三脚で作り上げていきました。神戸の会社だったので、直接足を運んだり、試作品を送ってもらったり。コツコツと進んで行った感じでしたね。

冷凍食品のひとつ「金時豆の甘煮」は、ほっこりした甘さにこだわった。調味料は、メープルシロップと水あめだけ。「4種おかずセット」(1078円)にも入っている



子どもが苦手な酸み、苦みを体感して欲しい

——-お弁当作りと冷凍食品作りは、やはり全く違うものでしたか?

その工場は、調理が上手で最新の冷凍機械を使っており、京都の名店のおせちなども手がけている工場でした。試作の段階で、解凍後に酸味が飛んでしまったり、酸味が強くですぎてしまったり、いろいろハプニングもありましたが、『子どもの食卓』のコンセプトも理解して、丁寧に取り組んでくださいました。その他にも、工場調理に詳しい方や食材会社の役員の方がアドバイスをくれることもありました。そうやって、少しずつ完成しました。

——-現在展開しているおかずメニューは、4種おかずセット(鰆の西京漬、青菜の煮浸し、金時豆の甘煮、根菜のきんぴら)とアジの南蛮漬け。それぞれのこだわり、開発秘話を教えてください。

冷凍食品も『子どもの食卓』のコンセプトと同じで、化学調味料や保存料は使わず、無添加で優しい味つけという部分は変わりません。子ども達が幅広い味覚の経験をできるよう、苦手なお子様が多い、酢の物や青菜系のおかずも用意しています。

「青菜の煮浸し」は、乾燥エビを使って味に深みを出した。「4種おかずセット」(1078円)にも入っている

苦労した「アジの南蛮漬け」。解凍すると風味が変わる

一番苦労したのは、「アジの南蛮漬け」です。最初、甘酒とレモンを使っていましたが、無添加の甘酒は解凍した時に味が変わりやすく、レモンは酸味が強く出すぎてしまいました。結果、甘酒をてんさい糖に、レモンをかぼすに変更しました。アジは最初、頭付きの豆アジを使っていましたが、このアジの骨は食べられるけど、こっちのアジはは骨が硬かったりと、個体差がとても大きかったんです。結局、頭と内臓を取り除いた豆アジにしました。

「青菜の煮浸し」には、乾燥エビを使っています。青菜は苦味が出やすいのですが、エビの風味を足すことで苦味を抑えつつ、旨みや深みを出しています。金時豆の甘煮は、ほっくりした優しい甘さにこだわっていて、メープルシロップを使っています。金時豆は、浸水時間の調節が難しくて、夏はおいしくできたのに、冬は皮が厚くて甘みが少なかったり。失敗もたくさんしましたね。

「鯵の南蛮漬け」(638円)は、試作に最も苦労した一品。かぼす、てん菜糖を使い、優しい酸みと甘みを出している

お母さんの役に立ちたい。その思いが活動の源に

——-スタートして3カ月ですが、今の課題は何ですか?

価格を下げるのが、今一番の課題です。商品そのものに良い食材や良い調味料を使っているので他の冷凍食品よりやや高めですが、なんとか価格を下げたいと思っています。自分が利用する立場になっても週1回買えるかといえば難しくて、月1回くらいしか買えないのかなと。より一人でも多くの方に知って頂く努力をしながら、一回に作れる量を多くし、価格を下げることに努めたいと考えています。

——-今後は、冷凍食品以外にどんな展開を予定していますか?

春に向けて、レトルトカレーやだしパウダー、乾燥野菜の販売も準備中です。レトルトカレーは、お母さんからのリクエストがきっかけです。市販のレトルトカレーもありますが「もっと野菜がゴロゴロ入っていて欲しい」「安心な油を使っているものがいい」などの声があったんですね。レトルトだと長期保存もできますし、旅行の時にも便利です。

「4種おかずセット」(1078円)は、鰆の西京漬、青菜の煮浸し、金時豆の甘煮、根菜のきんぴらの4品セット。ごはんを用意するだけで、夕ごはんが完成する

だしパウダーは乾燥野菜と一緒に使って、味噌とお湯を入れれば簡単にお味噌汁ができるというもの。いりこや干し椎茸、昆布を粉末にしただしパウダーです。そのまま調理に使ってもいいし、だしを取るのにも使えます。おかずセットとだしパウダー、乾燥野菜があれば、あとはごはんを炊くだけで夕ご飯になるんですよ。

4種おかずセットの内容を変えてパターンを増やしたり、コロッケの調理をオーブンだけでできるようにしたりと、今あるメニューのリニューアルも考えています。

『子どもの食卓』は、「お母さんに役に立ちたい」という思いから生まれています。今後も楽しみにしてください。(権さん)

リアルな育児体験から生まれた『子どもの食卓』

権さんご自身の経験、そしてリアルなお母さんの声から生まれた商品だから説得力がすごい! また2人のお子さんを育てながら、クラウドファンディングに工場探し、商品開発から販売までをやってのける権さんのバイタリティには頭が下がります。

今後は、塾に通う子どもに向けた“塾弁”の提供、育児中のお母さんたちが子連れで短時間だけ働ける制度など、いろいろな構想もあるそう。『子どもの食卓』の冷凍食品、そして今後から目が離せません!

『子どもの食卓』
オンラインショップ: https://kodomono.official.ec
HP:https://kodomonoshokutaku.com/
Facebook:https://www.facebook.com/kodomonoshokutaku/
Instagram : https://www.instagram.com/kodomonoshokutaku/

武田由紀子 Yukiko Takeda

編集者・ライター

1978年、富山県生まれ。出版社や編集プロダクション勤務、WEBメディア運営を経てフリーに。子育て雑誌やブランドカタログの編集・ライティングほか、映画関連のインタビューやコラム執筆などを担当。夫、10歳娘&7歳息子の4人暮らし。

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