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松崎のり子

自然災害で自宅のものが飛んで他人に損害を与えてしまったら

  • 松崎のり子

2019.09.18

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9月に関東を直撃した台風15号の被害は想定以上のものになりました。停電が続き、猛暑のさかなか冷房も使えず、テレビやネットで情報を集めることも難しかった皆さんのご苦労には言葉もありません。毎年大きな自然災害に繰り返し襲われてきた日本列島ですが、私たちはこれまで以上に備えの大切さを痛感させられたのではないでしょうか。

特に強く感じたのは、携帯やネットがつながらない事態の深刻さです。通信会社の基地局自体が停電したのが原因ですが、そうなると助けを呼ぶための発信もできないうえ、自治体のHPにアクセスして支援の情報を知ることも不可能になります。支援の品が当分届かないという想定をして、備えを厚くする必要はあるでしょう。

また、停電でATMが使えないという状況も多発し、お金が下ろせないという事態も。むろん、カードやスマホ決済などのキャッシュレスなどの手段も使えません。政府はキャッシュレス社会へ舵を切るための政策を進めていますが、近年の大規模な災害を見ていると、手元に1週間分程度の現金をキープしておくことは欠かせないと感じます。公衆電話の使用のために、小銭やテレフォンカードを非常用持ち出し袋に入れておくことも必要でしょう。

火災保険に入っていてもカバーされない場合もある

今回だけでなく、過去の台風でも、誰の所有物かわからないものが飛ばされてきて、自分の家を直撃し、大きな被害を受けてしまったというケースが起きています。逆に自分のベランダにあったものが飛んで、隣の家のカーポートに穴をあけてしまったということもあるでしょう。

自宅が被害に遭った時は加入している火災保険が使えますが、万が一他人に損害を与えてしまった時は個人賠償責任保険の対象となります。この補償には火災保険や自動車保険の特約として入っているケースが多いのですが、個人賠償責任保険は原則として自然災害が原因となると保険金支払いの対象外になってしまいます。

持ち主の管理に過失がなかったか、きちんと他人に損害を与えない対策を取っていたかも問われるのです。大型台風襲来の前には、飛びやすいものはしっかり固定したり屋内に片づけたりという備えも忘れずにしておきましょう。また、空き家になったままの建物を所有しており、持ち主が維持管理をしていなかったために倒壊して隣家に被害を与えた場合も、保険金が支払われないこともあります。適正な保険に入り、所有物の管理もしっかり行うことが大事なのです。
今回被災された多くの方々が、一日も早く日常を取り戻せるよう願っております。

松崎のり子 Noriko Matsuzaki

消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。

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