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藤原千秋

ベッドに「カビ」が生えたらどうする?! 要注意の寝室とは

  • 藤原千秋

2018.05.23

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夏に驚くベッドのカビ

「梅雨」「カビ」と聞いたら、「お風呂場!」を連想する人が大半だと思いますが、じつは「寝具(ベッド、布団)」にもカビが生えやすいっていうこと、ご存知ですか?

なんとなく「におうかな?」と気になり、ベッドパッドを外してみて、マットに生えたカビに初めて気づいてビックリする……というようなケース(事件!)が近年、増加しています。が、ビックリしすぎて(しかも不名誉なので)皆さんあまり他人には話さないようではあるようす……。

「寝具」(ベッド、布団など)のカビ。実のところ、お風呂場のカビよりも発生させてはいけない(増やしてはいけない)カビと言えます。なぜなら、カビ(胞子)を一晩中、近い位置で、たくさん呼吸してしまうからです。

どんなに長湯でも、カビの生えたお風呂場に3時間滞在する人は滅多にいませんよね。でも、カビの生えた布団の上には、どんなに短時間睡眠の方でも、3〜4時間は寝そべっているのでは……。

どちらのほうがよりカビ対策を優先させなければいけない、深刻な害か? 考えるまでもなく自明だとは思いますが、さて、見つけたところで「どう対処したらいいの?」。お風呂場のように「カビ取り剤」を撒けばいいの? ……途方に暮れてしまう方がほとんどなのではないでしょうか。

こんなベッドは要注意!

「へえ、大変だね。でもベッドの新しい我が家には関係ないもんね」と思っているあなた! じつは買って1年以内のベッドなのに、カビがびっしり生えてしまった、なんていうケースは珍しくないのです。

またカビの生えるベッドというのは、すのこだろうが、二段だろうが、たとえベビーベッド(!)だろうが、タイプを問いません。他人事のように感じている方も、一度マットレスを動かすなどして隅々まで確認してみることをおすすめします。

私が、さまざまなお宅にお邪魔する中で、特にカビの生えやすい環境だと感じたのは、以下のような場合です。

・寝室(ベッドのある部屋)で、洗濯物の「部屋干し」をしている
「寝室に干すと、洗濯物の乾きがいい」と干している方に言われたことがあるのですが、それは布団やマットレスが洗濯物から出る湿気(水分)を吸い込んでくれるからです……。晴れた日に意識的に布団やマットレスを干している、というようなわけではない場合には、こまめなカビチェックが必須です。かなり、あぶないです。

・インフルエンザ対策を頑張りすぎている
…梅雨近くなっても、インフルエンザが心配だからと寝るときに「加湿器」を稼働させているお宅の布団がカビだらけだったというケースが少なからず……。お部屋の気温、湿度のモニターが必要です。布団のみならずカーテンのカビ頻度も高いです。

・二段ベッドの上段
…高い位置にあるせいか、なぜか「風通しがいい」と思い込まれていて、下段に比べて布団を干すのを端折られる傾向があります。上段は中高生など年長の子どもが使用していることが多いせいか、新陳代謝の激しさから予想以上にフレームや布団がカビがちなのですが、その高さゆえに覗き込みにくいため、ますます親から気づかれないのです。そして、子ども本人もカビに気づかない(カビなのかどうかもわかっていない)ケースがほとんどです。

・ベッドマットレスの上に布団敷きしている
布団生活からベッド生活に移行した方に多い習性で、見た目のいい「万年床」になっている状態です。「畳みたくない」「干すのが手間」という気持ちが強いのか滅多に動かされないため、布団にもマットレスにも湿気が溜まってズッシリ重くなりがち。一見まだカビが生えていないという場合も、それは限界まで布団とマットが湿気を吸っているせいかもしれません。

・築年数の経った木造住宅の一階部分に設置されたベッド
…環境的に湿気が高いため、気をつけていてもカビやすいので注意が必要です。

・河川、暗渠、海などが近い家に設置されたベッド
…環境的にかなり湿気が高めであるため、気をつけていてもカビやすいので注意が必要です。

・下部に引き出しなどの収納がついているベッド
…引き出しの中身が汗などによる湿気でカビだらけになっている可能性がきわめて高いので注意が必要です。

・汗かきの人が使っているベッド
…一般的に、一晩に人は250ml程度の汗をかき、その大半が寝具に吸い込まれていると考えられています。とりわけ、太った人や汗かきの人、体じたいが大きい人の場合、500ml以上も汗をかいていると言われます。またパジャマを着用せず裸に近い格好で寝ている場合にも注意が必要です。

・子どものおねしょや嘔吐などが多いベッド
…いわずもがなですが、汗のそれでは済まない水分が吸い込まれた可能性があり、その際の処理方法によってはカビのほか、ダニの大量発生や異臭のリスクが高い状態なので、あらためての適切な処置が必要です。

「カビ」の生えたベッドはどうしたらいい?

寝具に生えたカビを、顔を伏せて吸ってしまうなど、濃い「カビ」の胞子に晒されつづけることは肺炎やアレルギーなどの健康リスクが高い状態です。それらのカビを生やした状態のまま、そのベッド(布団)を使い続けることは、やはりおすすめできません。

買い替えられる布団やベッドパッドなどであれば、すみやかに新しいものにしてしまうのが一番手っ取り早く、また安全です。でも何十万円もしたマットレスだったり、高額な羽毛ぶとんだったりして容易に処分できないという場合には、

・ベッドマットレスのクリーニングサービス(外注)
・ふとん洗浄(外注)

といったプロの処置を頼むのが最適解になります。ただ掛け布団1枚あたり5,000円〜、マットレス(シングル)1枚あたり30,000円〜程度がコストの目安になります。比較的高額なので、買い替える場合のコストと、勘案し判断してください。

またマットレスのクリーニングサービスは全国的に行われているわけではないので、お住まいの地域によっては依頼できないケースもあります。

マットレスの処分に際してもう一点気をつけなければいけないのは、いざ処分しようとしても自治体で引き取りを行っていないことがあるということです。民間の処分サービスに依頼しないといけないことになり、高額なコストを要することもあります。

カビが、ベッドフレームの一部にだけ生えている、布団カバーの一部にだけ生えているという場合には、「消毒用エタノール」でふき取ったり、「酸素系漂白剤」で浸け置いたのちに洗濯、乾燥させる(アイロンなどで熱を加える)といった「自分でできるケア」を施して様子を見るということも可能です。

ただし布ものに入り込んだカビの菌糸は強力で、繊維の分解を始めている状態なので、そう簡単に根治はできないと思ってください。汚れ(栄養)や湿気や温度といった外的条件が整えば、また旺盛に繁殖する可能性が高いのです。

誤解されていることが多いのですが、カビは通常の「洗剤」や「重曹」「クエン酸」などでは殺せませんので、自己流の対処には限界があり、あまりお勧めできません。ですから本来は何よりカビを生やさないことが大事なのです。カビの生えない(付帯して、ダニの殖えない)ベッドや寝室の整え方については、次回の記事で詳しくご説明したいと思います。

藤原千秋 Chiaki Fujiwara

住宅アドバイザー・コラムニスト

掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。

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