「T-KIDSシェアスクール柏の葉」のCM作りの授業から学ぶ、考える力をつけるということ

津島千佳

2017.06.23

「T-KIDSシェアスクール柏の葉」の AIロボットを取り入れた英語の授業をレポートした前回に続き、今回はクリエイティブ・シンキングを育む「TサイトのCMを作ろう！」の模様をお届けします。

普段は保護者をはじめとする大人は見学できませんが、これがなかなか大人でも考えさせられる内容。一緒にプログラムを受けている感覚で読んでください。

資料集め、企画、撮影・編集まで、大人顔負けでCMを作ります！

授業を担当しているのは、子供の夢と才能に火をつける21世紀型教育を提案しているデルタスタジオ。10年後にはがらっと環境が変わり、現在の常識が通用しなくなってもおかしくない時代をたくましく生き抜くためのプログラムを提案しています。

全3回で構成される「TサイトのCMを作ろう！」は、タイトルそのまま柏の葉T-SITEを紹介するCM製作がゴールで、取材時は2回めの授業。初回は柏の葉 T-SITE内を探検や「T-KIDSシェアスクール」社長へのインタビューなどの資料集め、今回はどんなCMにするのか企画し、絵コンテまでを作成。第3回は実際に撮影と編集を行います。

今回はまず日本や海外のTVCMを見ながら工夫しているポイントを見つけ出すところから。最初は目と耳を使って、次は音だけを拾い、子供たちが気づいたことをどんどん発表していきます。テイストの異なる3つのCMを比べて違いを見つけたりも。

普段流し見しているCMにも随所にこだわりが感じられ、TVCMって計算されているんだなぁと、大人でも気づきがありました。

1分に1個のスピードでアイデアを出す！

続いてはCMの根幹部分になるアイデア出し。これが個人的に一番感嘆しました。

「アイデアはたくさん出して1つくらいいいものが見つかる」とおっしゃる先生の考えのもと、どんどんアイデアを出します。その方法としてGoogleでも採用されている「Crazy 8」という手法を用いていました。これは8分間で8つのアイデアを出すもので、1分に1個のスピード。

アイデアってさくさく浮かばないですよね。大人でもかなりキツい課題なので子供たちも悩んでしまうのかと思いきや、意外とすいすいと鉛筆を走らせています。

しかも文章だけでなく、イラスト付き！　もっとフラットな気持ちで物事を捉えないといけない。子供たちの姿から改めて学ばされました。

そのアイデアを元に絵コンテの作成に入ります。私も雑誌の企画でコンテを描くことがありますが、どういう流れで、どこを強調すれば読者に響くのか、小手先でできない作業。

子供たちを見るとアイデア出し同様、流れるように鉛筆を動かしている！　この湧き出るクリエイティビティを分けて！

全員の絵コンテを張り出し、気に入った作品の、シーンごとに投票していきます。

CMの出来上がりを左右するだけに、みんなの選ぶ表情も真剣！

プレゼンに、チームワークの作業と、幅広い能力を使う

続いて、最終決戦に向けての自分の作品を解説するプレゼンタイム。どういう意図で絵コンテを書いたのか、シーン設定の意味などを説明していきます。プレゼンが苦手な日本人は多いから、これはプレゼン力が鍛えられそう。

このプレゼンを受けてみんなが納得した絵コンテを選び、CMのコンセプトを決定。それに合うキャッチコピーを作ります。

仕事柄キャッチコピーを書く作業は必ずついて回りますが、要約って本当に難しい。ひねり出すって感じで後回しにしがちな作業なのに、子供たちは真摯に取り組んでいます。自分は書いては消し、書いては消しの繰り返しなのに、頭の中でちゃんと整理されているのか、そのまま使えそうなコピーを書いている！　これまでの授業の意図をしっかり理解しているからでしょう。こんな子供たちが成長したら、日本の未来は明るいよ、とさえ思いました。

これまでは個人の力ですが、キャッチコピーまでできたら次回の撮影に向けてチームワークでアイデアをブラッシュアップさせ、今回の授業は終了です。