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津島千佳

ママに朗報!『おむつなし育児』で子育てがラクになる!【第1回】

  • 津島千佳

2017.05.13

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『おむつなし育児』って聞いたこと、ありますか?

字面だけだと垂れ流しのように見えますし、私も当初はそう受け取っていました。が、実践している人にお話をうかがうと、想像と全然違ったうえ「もっと早く知っておきたかった…!」と悔しくなったほど。

『おむつなし育児』とはどういうものなのか、おむつなし育児研究所所長の和田智代さんにうかがいました。

人間本来の排泄スタイルを学ばせる『おむつなし育児』

津島 まずは『おむつなし育児』はどういうものか、教えてください。

和田 赤ちゃんがトイレやおまるでできるようにするトイレトレーニングが目的ではなく、おむつの外という開放空間で排泄することを忘れないように手助けしてあげる育児方法です。別の言い方をすると、なるべくおむつの中で排泄することを赤ちゃんが学ばないようにお世話することを推奨しています。

津島 おむつの中で排泄しない、というのはどういう意味でしょうか?

和田 動物は本来、おむつといった閉鎖された空間ではなく、外の開放された空間で排泄をします。赤ちゃんのおむつ交換時に、おむつを開けたら「ぴゅーっ!」とおしっこを飛ばすことがありますよね。あれが、動物である人間の赤ちゃんが持って生まれてきている「外の解放された空間で排泄する」能力です。

それなのにおむつの中だけで排泄をさせていると、排泄は閉鎖された空間でするもの、と赤ちゃんは学習します。それを2〜3歳になって急にトイレやおまるという解放空間でさせようとするので、赤ちゃんはいったん失った「解放空間で排泄する」という行動を再び学習し直さなければなりません。赤ちゃんも混乱しますし、だからトイレトレーニングが必要になります。でも最初からおむつの中での排泄を学習しなければ、トイレトレーニングの必要はほとんどないのです。

赤ちゃんの頃から人間本来の自然で気持ちいい排泄をさせることが『おむつなし育児』の本質です。

『おむつなし育児』のメリットとは?

津島 『おむつなし育児』のメリットを教えてください。

和田 赤ちゃんの便秘や頻尿の改善のきっかけになる、おむつかぶれが改善する、1歳後半〜2歳頃には排泄が自立するなどがあります。

ママも最初は大変だと思いますが、慣れればうんちをおまるやトイレなどでしてくれて、お世話が楽になりますし、おむつ代の節約になります。

ママの中で「子供はこう育ってほしい」とか「こう育つべき」という理想が強いと、苦しい子育てになってしまいます。しかし「どう育ってほしいか」の前に「目の前の子供がどう育っているか」を見ることができると、子供はちゃんと自分で育つ力を持っていることに気付くようになります。

一日に何度もある赤ちゃんの排泄に心を寄せることは、まさに「目の前の子供がどう育っているか」に気づける、とても大きなチャンスなのです。そうして自分の子供の排泄のことがわかるようになると、他の欲求もよくわかるようになり、子育てはどんどん楽で楽しくなっていきます

津島 だから『おむつなし育児』にハマるお母さんが、どんどん増えているんですね。



『おむつなし育児』のスタイルはバリエーション豊富!

津島 『おむつなし育児』の代表的なスタイルを教えてください。

和田 ポピュラーなのは、大人が赤ちゃんを後ろから抱える体位です。

0歳から使えるおまる(ホーローおまるなど)を足で挟んで赤ちゃんを支えるスタイル(写真提供/おむつなし育児研究所)

トイレに一緒に座って後ろから支えるスタイル(写真提供/おむつなし育児研究所)

和田 おまるがなければ、洗面器やバケツなど、それに近い形の容器でも構いませんし、トイレでもできます。開いたおむつの上や古いタオルの上でもできます。トイレトレーニングではないので、解放空間であれば場所は関係ありません

津島 赤ちゃんの月齢ごとにおすすめのスタイルは変わりますか?

和田 低月齢の赤ちゃんは授乳中におしっこやうんちをすることも多いので、授乳しながらおまるをあてがうこともできます。

授乳しながらおまるにのせるスタイル(写真提供/おむつなし育児研究所)

和田 おすわりができるようになると、一人でおまるに座れるようになります。

おまるにおすわりするスタイル(写真提供/おむつなし育児研究所)

和田 つかまり立ちができるようになると、座るのを嫌がるようになります。そんな時も立ったままでできるスタイルもあります。

立った状態で専用おまるやお風呂場で行うスタイル(写真提供/おむつなし育児研究所)

立つ、歩くと同じように排泄の自立にもベストタイミングがある

津島 『おむつなし育児』を始めるのに最適な年齢はありますか?

和田 生まれた日からできますが、首がすわり始める頃の2〜3カ月前後がおすすめ。生後半年くらいまでにスタートされると親子ともに楽です。

津島 うちの子供は1歳9カ月。今からのスタートだと遅いですよね?

和田 おむつをしている期間が長ければ長いほど、おむつの中で排泄することを強く学習しています。解放空間で排泄する能力を失っていなければできますが、一般論としてはその年齢だと一般的なトイレトレーニングと変わらない可能性が大きいです。

津島 そうですか〜。もっと早くに『おむつなし育児』を知っておきたかったです。

和田 赤ちゃんが立つ、歩くのにも平均的な目安がありますよね。排泄の自立もそれと同じで、ベストタイミングがあります。赤ちゃんの頃から解放空間での排泄をしていたら、1歳後半〜2歳くらいの自分で歩けるようになる頃には、トイレやおまるでの排泄ができるようになっていきます。それが本来のベストタイミングなんですよ。紙おむつがなかった数十年前までの日本でも、それくらいの時期が子供の排泄が自立する平均的な年齢でした。

もちろん、1歳~2歳で完璧にできるようになるわけではないです。個人差はありますが、3歳頃までは時々の失敗は繰り返したりします。でも「失敗」することが実は非常に大切なのです。

津島 おもらしを嫌ってパンツへの切り替えに躊躇するお母さんもいそうですよね

和田 パンツをはいていておもらしすることは、身体から排泄物が出ていることを五感を使って脳が認識する子供の発達にとってすごく重要な機会なのです。おしっこを目で見て、皮膚で感じて、音も聞いて、臭いも感じて……。

そうして五感を使って膀胱と脳の間での情報のやりとりを繰り返すうちに、排泄コントロール能力が完成されていくのです。だから、大人にとっては「失敗」に見えるおもらしは、子どもの発達にとっては「成功」なのですよ。

赤ちゃんがちゃんと歩けるようになるまで、何度も何度も転ぶことを繰り返します。あれと同じです。身体能力が発達していくには、何度も失敗を繰り返すことが必要です。

次回はおむつでの排泄が抱えるデメリットをうかがいます。

目次

お話をうかがったのは、和田智代さん

おむつなし育児研究所所長、みらい子育て研究所代表
国内を中心に『大人と子供のコミュニケーション』をテーマに、講演・セミナー・カウンセリング&コーチング・執筆など、様々な形での子育て支援事業に携わる。
訳書『おむつなし育児』、『世界一しあわせな子育て』(ともに柏書房)、実践指導『五感を育てるおむつなし育児』(主婦の友社)、共著『赤ちゃんにおむつはいらない』(勁草書房) のほか、育児・保育雑誌への執筆多数。『おむつなし育児』をもっと知りたい人に向け、全国各地での『おむつなし育児』講演会やアドバイザー養成講座も行っている。

おむつなし育児研究所 http://omutsunashi.org/

みらい子育て研究所 https://miraikosodate.jimdo.com/

おむつなし育児研究所のイベント情報 http://omutsunashi.org/event/

津島千佳 Tica Tsushima

ライター

1981年香川県生まれ。主にファッションやライフスタイル、インタビュー分野で活動中。夫婦揃って8月1日生まれ。‘15年生まれの息子は空気を読まず8月2日に誕生。

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