年金について、いろいろなウワサを聞くけど・・・本当のところはどうなの? 年金の予測と自分で準備すべき金額、マネーのプロの見解は?
「私たち、将来、年金ってもらえるの?」という不安に対する答えから、老後資金の準備の仕方まで。今から備えておけば怖くない!
取材・原文/西山美紀 本誌編集部 イラストレーション/前田はんきち
この記事は2017年4月7日発売LEE5月号の再掲載です。
Q 老後の生活費、いくら必要だと思いますか?
※65~90歳までの26年間分。持ち家、住宅ローンなしの場合。退職金を引いた額
LEE読者329人に、老後のお金についてアンケートを実施。もらえる年金をどう予測するかや退職金の額、イメージしている老後の暮らしぶりにもよりますが、最も多かった回答は3000万円あたり。
少なく見積もる人はあまりいなくて、5000万円という人も多く、さらに8000万円、1 億円という人もちらほら。まずは自分に必要な額を見定めるところから。
Q 年金は自分がもらう頃にはどうなっていると思いますか?
もらえない、ほとんどもらえない、今もらっている人の半分以下という回答が大多数。まったくもらえないという回答も多く、読者世代は、自分たちがもらう年金についてはかなり悲観的なよう。もらえる年金によって、自分で準備する額も大きく変わりますよね。
ファイナンシャルプランナー3人に聞きました!
年金、私たちももらえますか?老後の生活費、いくら必要ですか?
※65~90歳までの26年間の夫婦2人の生活費。2016年家計調査(高齢無職世帯)の収入と生活費をもとに、持ち家(住宅ローンは完済)、退職金を1500万円として試算。
将来年金が「もらえなくなること」はないと思います。もし年金がもらえないとしたら、極端な話ですが日本がつぶれてしまうとき。
ただし、もらえるお金が目減りするのは確実で、今高齢者がもらっている年金の「3割減」といわれていますが、今30歳くらいの方は「4割減」と厳しめに考えたほうがよさそうです。
老後は医療や介護などのアクシデント代も必要なので、夫婦で1000万円程度を予備でとっておきましょう。トータルで3800万円程度が目安です。
年金はもらえる見込みですが、3割くらいは減ると考えておいたほうがいいでしょう。介護費用は1人平均500万円なので(生命保険文化センター調べ)、夫婦で1000万円を見積もっておくと安心。現在の高齢無職夫婦の状況から考えてみると、3200万円ほどの準備が必要です。
家のリフォームや子供への援助、海外旅行などをしたい場合は、もう少し多くあると安心。できるだけ長く元気で働いて、収入を得られることが望ましいですね。
私も将来年金はもらえると思います。ただし、もらえる年齢が上がるか、もらえる金額が減るかは確実。金額が減る場合は、現状から3割くらい減の見込みです。
ある生命保険会社のデータによると介護費用の平均は2人で600万なので、これらを考慮すると、老後のために準備しておきたいお金は2800万円ほどになります。これは標準的な生活のケースなので、ゆとりがある生活をしたい場合は、もう少し多めに準備しておくといいでしょう。
老後のために自分で準備するお金は2800万~3800万円が目安
老後の生活費、「何から手をつければ?」という人も多いと思いますが、「まずは細く長く働くことを考えて」とファイナンシャルプランナーの井戸さん。
「特に女性は寿命が長いので、60歳以降もゆるく続けられる仕事を見つけるといいと思います。大きな収入でなくても、月に2万円でも稼げれば、かなり生活費の助けになります。
私は専業主婦の後、30歳から仕事を始めました。産休・育休中など家にいる時間が長いときこそ、資格を取ったり勉強したりできるいい時期ですよ」
将来の収入を考えつつ、老後資金の積み立ても今から始めて。
「老後資金を貯めるなら、確定拠出年金が税金上のメリットが大きく、最強です。固定費など家計を見直せば、必ず月に1万円、2万円は出てくるはず。それを老後資金として積み立てていきましょう」
将来もらえるお金は公的年金だけではありません。退職金や企業年金の上乗せなど、ほかにもないかを確認しておきましょう。
「退職金などがどれだけもらえるかにより、自分で準備するお金が変わります。夫婦2人で働いていれば、もらえる退職金が多いかも。勤務先の人事部や総務部にいくらぐらいかを聞いておくと安心です」
Q ご自身の確定拠出年金の加入状況を教えてください
企業型または個人型の確定拠出年金に加入している人が34%いる一方で、「名前は知っているが加入していない」「よくわからない、知らない」が合わせて5割以上も。
まだまだ浸透していないようですが、確定拠出年金は、老後資金を準備するためとしてはかなりメリットの大きい制度。この機会に内容を理解して、ぜひ活用を!
始めないともったいない!確定拠出年金って?
税金上のメリットがたくさんあり、老後資金の準備にうってつけな確定拠出年金。押さえるべきポイントはこちら!
老後資金を準備するための最強ツール!
確定拠出年金は、公的年金以外に老後資金を準備する仕組みで、会社がお金を出す「企業型」と、自分でお金を出す「個人型」(愛称:iDeCo=イデコ)の2種類。毎月決まったお金を60歳まで支払い、そのお金を60歳以降に年金か一時金として受け取ります(一部を一時金、残りを年金も可)。
金融商品は、投資信託や預金、保険から自分で選択。さまざまな税金がお得になるというメリットが。
「税金という大きなコストを支払わずにすむので、老後資金を作るうえでの最強ツールです」(井戸さん)
これまで個人型確定拠出年金の対象外だった専業主婦や公務員、企業年金などがある会社員も、2017年から対象になり、ほぼすべての国民年金加入者が加入可能に。
「転職したり、出産退職から仕事に復帰したりと、働き方にさまざまな変化があっても、老後資金を自分でお得に準備できるようになりました」
確定拠出年金の3つの税金メリット
● 掛け金の分、税金が浮く
1年間で稼いだお金から計算して、所得税と住民税を支払いますが、確定拠出年金の掛け金の分は、所得控除されます。
例えば、課税所得が400万円の人の場合、所得税と住民税が合わせて30%なので、仮に確定拠出年金の掛け金年額が10万円なら、3万円の節税効果に(復興特別所得税を除く)。
● 運用益に20%の税金がかからない
本来、資産運用をして得られる運用益には、一律で20%もの税金がかかります(復興特別所得税を除く)。5万円利益が出たら、税金が1万円かかるのです。
ところが、確定拠出年金は、この20%の税金が0 。どれだけ利益が出ても非課税なので、大きく増やしていくことが期待できます。
● 受け取るときにも税制上のメリットあり
将来、年金として受け取るときにもお得な税制が。
まとめて受け取る「一時金」だと「退職所得控除」の対象に、分割で受け取る「年金」だと、公的年金と合わせて「公的年金等控除」の対象になり、支払う税金が軽くなるメリットあり。
「生命保険会社などの個人年金はこの対象外なので、確定拠出年金のほうが有利」(井戸さん)
確定拠出年金のここに注意!
● 60歳まで引き出せないので注意
原則として、確定拠出年金を始めたら途中でやめることはできず、積み立てたお金は60歳になるまで引き出せません。
「せっかく貯めた老後資金を、途中で引き出して使い込む心配がないというメリットの裏返しでもあります。ですが、近い将来困ることのないよう、無理のない掛け金にしましょう」(井戸さん)
● 後から変更するのは大変。金融機関選びに注意
確定拠出年金はさまざまな金融機関が取り扱っていますが、口座管理手数料や商品ラインナップが異なります。
「金融機関は1年ごとに変更できますが、手続きが多くて面倒。老後までの長いお付き合いになるため、キャンペーンなどにつられず、手数料やコールセンターの丁寧さなど、総合的に判断しましょう」
● 安心と思ったら損してるかも!?商品選びに注意
定期預金や保険も選べるけれど、現在は超低金利のため運用益の非課税メリットを生かしきれない。
「おすすめは投資信託。何を選んだらよいか迷ったら、日本や海外の株式、債券などに幅広く投資するバランスファンドを。信託報酬(保有中にかかるコスト)が0.5%程度のものを選んで」
「老後のお金」で不安にならないためにも、今からできることをはじめましょう!
取材・原文/西山美紀 本誌編集部 イラストレーション/前田はんきち
この記事は2017年4月7日発売LEE5月号『今年こそ"無理せず"貯金を増やす』の再掲載です。
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