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万年腰痛と初めてのぎっくり腰【予防・原因・応急措置】

「筋膜リリース」ポーズを徹底解説!ぎっくり腰、万年腰痛に効く!おすすめポーズ

2017.05.18

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メディアでも話題沸騰中の「筋膜リリース」。
"筋肉をおおう膜"を正しい状態に戻すことで、全身のコリや不調がなおるというメソッドですが、実は、腰痛改善にも効果絶大! ソル・エ・マーレ鍼灸整体治療院主宰、鍼灸師、滝澤幸一さんに、効果的なセルフケア法をうかがいました!

動画コーナー「LEEチャンネル」でもご紹介中!


そもそも・・・筋膜リリースって何?

もともとは、リハビリや治療の方法のひとつとして、専門家の間で取り入れられていたという、筋膜リリース。

LEE世代によくある腰痛は、「筋膜のしこりやねじれ」が主な原因。これらをリリース=押しのばせば改善するそう!

「コリや痛みの原因となる部分を“トリガーポイント”と言いますが、このトリガーポイントは筋膜のしこりやねじれに発生する、と考えると理解しやすいんです。筋膜はほかの部分より痛覚の感受性が高く、痛みを感じやすいからです。筋膜を押しのばし、しこりやねじれのない、元の正しい状態に戻すことで、血流もよくなり、痛みもなくなっていきますよ」(滝澤さん)

Q 筋膜はどこにある?

A 全身の細胞や組織を包む「膜」のこと。骨・筋肉・内臓を結合し、体を支えている。

筋膜とはどこか一部分を指すのではなく、全身に張り巡らされている膜のこと。筋肉は筋繊維の束。この筋繊維1本1本を包むのが筋膜です。オレンジの薄皮をイメージするとわかりやすく、厚い皮が皮膚、果肉が筋肉で、真ん中にある薄皮が筋膜に該当します。

「たんぱく質の繊維でできた、筋肉を包む薄い膜が"筋膜"。筋肉の表面だけではなく、繊維1本1本、骨や内臓、血管や神経まであらゆる組織をつなぎ、体を支えています。ボディスーツのような役割を果たし、"体のかたちは筋膜がつくる"と言われるほど、全身に大きな影響をもたらします」



Q 筋膜がどうなると腰痛に?

A 悪い姿勢を続けるなどの負担で、筋膜に小さなしこりやねじれができ、血流が低下します

人間の体には大きく5つの筋膜ネットがあります。
下半身からおなかまでの体前面をおおう“フロントネット”、足底から後頭部までの体背面をおおう“バックネット”、体側面をおおう“サイドネット”、脚前面から
肩~腕背面を斜めにおおう“インナーネット”、首前面から胸部~腕前面をおおう“アームネット”があり、腰痛には、主に“バックネット”を意識することが大切。

「猫背、脚を組むなど、生活のなかの悪いクセによって筋膜はゆがみ、縮こまり、しこりやねじれになります。痛い部分に原因があるのはもちろんですが、筋膜ネット全体が痛みやコリに影響していると考えられています。だから、腰だけピンポイントではなく、お尻~背中は腰の一部と考えて広い範囲をケアすることが必要。体の背面全体を大きく動かして筋膜を押しのばすことで、猫背や緊張状態のストレスが解消し、腰痛のつらさからも解放されるはずです」

Q 筋膜リリースするとどうなる?

A うどんをめん棒でのばすイメージでしこりやねじれを解消

筋膜リリースのポイントは"押しのばす"こと。

「筋膜はしこりやねじれにより、縮こまって複雑に絡み合います。それをめん棒で押しのばすようにゆっくりとならしていくことで、きれいな網目状の筋膜に。柔軟になり、腰の痛みも感じにくくなります」

Q ストレッチとは違うの?

A ストレッチと違い、面で圧を加えることで筋膜がよくのびる

筋膜リリースがストレッチなどと違うのは、広い面での圧迫を加え、押しのばすことができる点。

「ストレッチでも筋膜をのばすことはできますが、ストレッチだと縦方向の筋膜の縮こまりにしか効かないんです。筋膜は複雑に張り巡らされていて、横や斜め方向のしこりやねじれも多くあります。それをのばすには、点ではなく面で、あらゆる方向に圧をかけることが必要です。ただし痛いと感じたら負荷がかかりすぎ。気持ちいいぐらいの感覚を目指しましょう」

筋膜リリースには、こんなプラスの効果も!

 内臓が正しい位置に収まる

筋膜は全身をおおうボディスーツのようなものなので、型崩れがなおり、それに引っ張られて内臓下垂も解消。下腹ぽっこりや便秘がなおることも!

 血液・リンパの流れがよくなり、冷えやむくみが取れやすく

筋膜のねじれでつぶれた毛細血管が筋膜リリースで元に戻ると、血液が一気に流れだす! リンパの流れがよくなり、冷え・むくみなどが改善する。

 自律神経のバランスが整い、不眠やストレスも改善

筋膜リリースにより、緊張状態の体がリラックスすることで、自律神経のバランスが整い、免疫力もアップ。全身が好循環するので、不眠なども解消。

 関節の可動域が広がって柔軟性アップ

縮こまった筋膜をゆっくり押しのばすことは、全身の緊張や硬さを取るのにも効果大。筋トレやスポーツをするときのパフォーマンスも上がります。

正しく効果を上げる 筋膜リリースのポイント

 点ではなく「面」で圧迫

筋膜は網目状に入り組んでいるので、点で押さえると効果減。めん棒でのばすイメージ(右)で、面で広く押さえること。刺激が深層部の筋膜にも伝わり、しこりやねじれを解消できます。

 押す・揉むではなく「押しのばす」

筋膜は薄い膜なので、強い力で揉むのは逆効果。筋膜のしこりやねじれが取れるどころか、緊張してより縮こまってしまうことも。じんわりと力をかけて押しのばしましょう。

 呼吸を止めずに行うこと

呼吸を止めてしまうと、体が緊張して筋膜が緩みにくくなります。深く呼吸をしながら、ゆっくりのばすことで体がリラックスして、筋膜ものびやすく。

 ひとつの動きで「10秒」のばす、が目安

10秒は意外と長く感じるかもしれません。でもゆっくり10秒のばすことで、筋膜の表層部だけでなく深層部までしっかりのばすことができ、リリースの効果が高まります。

まずは要チェック! こんな人は筋膜リリースができません

□ 妊娠中・産後1カ月以内
□ ぎっくり腰になり、完治していない
□ 椎間板ヘルニアになり、完治していない
□ 骨折や打撲、ねんざ、ケガをしている
□ 骨粗鬆症と診断された
□ 交通事故等で腰痛や首痛(ムチ打ち)になった
□ 内臓疾患などの持病がある

筋膜リリースは、あくまでも慢性的な腰痛の解消やぎっくり腰予防のためのもの。ケガや病気による痛みの場合は、悪化させてしまう危険性があるので注意が必要。妊娠中や産後もNG。無理せず、医師の指示に従って。

Level 1 隙間時間に1分でOK!道具なしでできる超簡単2ポーズ

テレビを見ながら、ベッドで寝転んでなど、手間なし&道具なしで簡単にできる、基本の筋膜リリース法。左右のバランスを整えて、腰まわりのゆがみも解消します。

寝転んで 腰に効くバックネットのばし

左右各10~30秒

 両ひざを曲げて仰向けになる

 腰をひねるように、片手でひざを持って倒す

仰向けに寝て、ひざを立てる。両手は肩のラインでまっすぐに。左手で右ひざを持ち、両ひざを左側に倒す。顔は右手を見て、腰を中心に体を大きくよじる。腰、背中、お尻のバックネットがのびるように意識して。左右を変えて同様に。

壁の横に立って 姿勢を正して腰の負担を軽く

左右各10~30秒

 壁に対して横向きに立つ

 体のサイドライン全体を心地よくのばす

右脚を左脚の後ろにクロスさせる。右腕をまっすぐのばして、壁に手をつく。体のサイドをのばすイメージで。壁と遠いと体のカーブがきつくなるので、体が硬い人は壁に近づいてもOK。左右を変えて同様に。


「コリや痛みの原因となる部分を“トリガーポイント”と言いますが、このトリガーポイントは筋膜のしこりやねじれに発生する、と考えると理解しやすいんです。筋膜はほかの部分より痛覚の感受性が高く、痛みを感じやすいからです。筋膜を押しのばし、しこりやねじれのない、元の正しい状態に戻すことで、血流もよくなり、痛みもなくなっていきますよ」

次回も実践編をお届けします。

撮影/藤澤由加 ヘア&メイク/木下 優(ロッセット)スタイリスト/高橋美帆 モデル/キベッツ和代(LEEキャラクター) 取材・原文/野々山 幸 イラストレーション/いいあい きくちりえ(Softdesign)
詳しくは2017年5/7発売LEE6月号に掲載しています。 [最新号] 試し読み・定期購読はこちら

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