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アニメーション映画『野生の島のロズ』に出演!

【柄本 佑さんインタビュー】映画的なものがなだれ込む瞬間ある種の衝動で泣いてしまう

2025.02.23

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映画的なものがなだれ込む瞬間、ある種の衝動で泣いてしまう

柄本 佑さん

柄本 佑さん
ジャケット¥143000/BOW WOW トップス¥19800・パンツ¥48400/オーラリー

昨年は、大河ドラマ『光る君へ』の藤原道長役で、日本列島をおおいに華やがせてくれた柄本佑さん。もはや、どんな役でも安心感しかない柄本さんですが、「やっぱり声だけで表現するのは難しいですね」と語るのは、すでに世界43の国や地域でN o.1大ヒットを飛ばし、本年度の賞レースをにぎわせているアニメーション映画『野生の島のロズ』。最新型ロボットのロズが野生の島で奮闘する本作の日本語吹替版で、柄本さんはキツネのチャッカリを担当しました。

「歌舞伎でよく“一声、二顔、三姿”と言われますが、僕もお芝居をする際に常々“声を探す作業”を大事にしてきました。とはいえ今回は“声”が立体的になるまで少し手こずり、1日目の収録分は後で録り直したものも。ただオリジナル版がしっかりおもしろく作られていたので、逆にその中で泳げる自由さがあって、勇気を持っていろんな挑戦ができました」

チャッカリはロズが保護した雁の卵を盗もうとする、ズル賢い嫌われ者でした。けれど、ひな鳥の“キラリ”が生まれたのを機に、少しずつロズと友情を育んでいきます。

「オリジナル版のペドロ・パスカルさん(『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』など)の声が割に大人っぽいので、そのイメージを崩さないよう少し意識しました。というのもロズがキラリの母親だとすると、チャッカリは父親的な側面もあるのでね」

お調子者のチャッカリですが、“子どもの頃に愛を与えてもらえないと、そのことばかり考えるようになる”など、刺さるセリフも口にします。

「意外とテーマに深くかかわる、鋭いことを言うんですよね。そうした抑揚がある役なので、あまり(深い意味を)出しすぎないよう、押し引きを何度か調整しました。“どんな少年時代を過ごしたんだろう!?”と思わせるような一言一言にバックボーンが見え隠れする奥行きがあり、でも語りすぎない品のよさがいいんです。自分がかかわった作品を褒めすぎるのも何ですが、本当におもしろい!」

ワクワクする物語のみならず芸術性の高さは、柄本さんの“意外な泣きポイント”が如実に示します。

「キラリが巣立つシーンはもちろんですが、僕はキラリが飛ぶ練習をするシーンで、早くも泣けてしまって(笑)。涙腺が動くポイントが人と違うのですが、“これぞ映画だ~”というものが作品になだれ込んでくる瞬間、ある種の衝動が起きて僕の涙腺が決壊してしまうんです」

シネフィルらしい柄本さんの涙腺ですが、チャッカリ役を喜んだのは、こんな理由もあってのこと。

「アニメがもともと大好きで憧れがあるのですが、特にウェス・アンダーソン監督の『ファンタスティックM r.FOX』は、娘にも何十回も見せているくらいで。同じキツネ役というだけで、もううれしくて(笑)」

映画話に乗じて、親子で観られるオススメ作を挙げてもらいました。

「’24 年のベスト1は圧倒的に『ビートルジュース ビートルジュース』。子どもと初日に吹替版を観に行き、3回通いました。ティム・バートン監督ってこんな爆発的におもしろい映画を撮る人だったかと(前作の)『ビートルジュース』を見直したら、驚くほどおもしろくて。父親にも姉にもすすめたら、2人とも大絶賛。前作も見直したよ、と(笑)。柄本家は、映画や芝居についてだけは、本当にみんなでよくしゃべってますね」

PROFILE

東京都出身。2003年に映画『美しい夏キリシマ』で俳優デビュー。近年の主な出演作に、映画『シン・仮面ライダー』『春画先生』『花腐し』(’23年)、大河ドラマ『光る君へ』(’24年)など。完全受注生産で発売された、写真家の森山大道と荒木経惟による初の写真集『1(いち)』も話題に。
X:tasakueats
公式サイト:https://alpha-agency.com/artist/emoto/

『野生の島のロズ』

『野生の島のロズ』
©2024 DREAMWORKS ANIMATION LLC.

嵐で無人島に漂着した最新型ロボットのロズは、プログラムどおり誰かをアシストしようとするが、周囲は野生の動物ばかり。やがて動物の言葉を学習したロズは、卵からふ化した雁のひなから“ママ〞と呼ばれたのを機に、ひな鳥を無事に育て上げようとする。ピーター・ブラウンによる児童文学を、『ヒックとドラゴン』のクリス・サンダースが映画化。2月7日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー


Staff Credit

撮影/濱田紘輔 ヘア&メイク/廣瀬瑠美 スタイリスト/KYOU 取材・文/折田千鶴子
こちらは2025年LEE3月号(2/7発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。

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