能登半島地震、南海トラフ地震臨時情報…防災意識が高まった2024年
2024年は、元日の能登半島地震、8月に発表された南海トラフ地震臨時情報など、災害への備えについて考えさせられる機会の多い年でした。2025年1月には、その能登半島地震から1年、そして阪神・淡路大震災から30年を迎えます。
防災意識が高まる中、先日、家電をはじめ幅広い商品を展開する「山善」にて開催された「防災グッズ タッチ&トライ会」に参加してきました。緊急簡易トイレを「いざという時にどう使うか」や、便利な防災グッズを紹介しますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

防災バッグの次はトイレの準備を
まずは、山善の社員であり防災士の資格を持つ小浜成章さんより、防災についてのお話がありました。
山善では、「防災商品=高い」「何を買っていいか分からない」というイメージを覆すため、これから備える家庭が手に取りやすい、安価で分かりやすい商品を開発することにこだわっているそう。
そして、災害時に困ること=特に備えておくべきものは以下の4点とのこと。
- トイレ
- 水
- 灯り
- 暑さ寒さ対策グッズ
しかし、トイレをまだ備えていない家庭が多かったため、2024年は能登半島地震、南海トラフ地震臨時情報の発表後に、緊急簡易トイレの需要が急拡大。

「防災グッズ タッチ&トライ会」では、これを受けて開発された新商品が紹介されました。
「もしもの時に備える!緊急簡易トイレ」の使い方とは?
こちらが、2024年12月下旬発売予定の「もしもの時に備える!緊急簡易トイレ」。


容量は50回分と100回分。そんなに必要?と思われがちですが、トイレは1人あたり1日5回といわれるため、4人家族であれば100回分あっても約5日分。第一段階として1週間程度の分は備えるべきといわれているため、多すぎることは全くないんだそう。
実際、トイレの復旧までは東日本大震災で平均30日程度、能登半島地震では1~2ヶ月以上経ってもまだというケースも。このため「大容量かつ買いやすい」ことにこだわって開発されたといいます。
トイレなので「実際に使ってみた」とはいきませんが、分かりやすく実演していただいたのでレポートを。ぜひ使用時の流れを想像してみてください!
- 便座を上げ、便器に「便座カバー」をかぶせる
便器に直接ビニール袋をかけるより、カバーがあることで袋の底が濡れることもなく衛生的。数回使用でき、最終的にはこちらも破棄すればOKです。 - その上に汚物袋(付属の黒いビニール袋)をセットする
- 袋を挟むように便座を下ろし、固定させる
戸外などでトイレがない場合には、バケツなどに袋をかけても使用OK。 - 用を足した後、凝固剤(粉末)を振りかける
色水に凝固剤を入れると、1分もせずにみるみる固まり、触ってみるとスライムのよう。こちらの商品の凝固剤は10gと多めで、約500ccまでOK。大人の尿量にも十分対応しているため、介護にも便利。 - 汚物袋のみを取り出し、口を固く結ぶ
- 処理袋(付属の大きめのビニール袋)に入れて一時保管
- 処理袋に約10回分の汚物袋がたまったら破棄する
ほとんどの自治体では「可燃ごみ」とのことですが、お住まいの自治体の規則をご確認ください。
わが家でも、能登半島地震後にネットで簡易トイレを注文し、数カ月待ちで届いた商品が段ボール梱包のまま置かれている状態。使わないままであることは幸いですが、万一の時、スムーズに使えるか?というと不安がありました。使用方法を一読してはいても、いざとなったら思い出したり確認したりする余裕はなさそう…。子どもの「今すぐトイレ、我慢できない!」という緊急事態もあり得ますよね。そのため、今回使用の流れをこの目で見ておくことで、少し心構えができ良かったです。
実のところ、防災グッズを定期的に見直したり、防災食を食べてみたりする機会はあれども「簡易トイレを使ってみる」ことまでは、なかなかしないのではないでしょうか。例えば連休中などに、家族で試してみるのも良いかもしれません。子どもと一緒に理科の実験感覚でぜひ、おすすめです!
トイレットペーパー、スリッパ…
最新防災グッズをご紹介
緊急簡易トイレのほかにも、いくつか気になった防災グッズをピックアップします。
防災士監修 サッと簡単トイレ(折りたたみ式)

樹脂製のため、段ボール製よりも頑丈、水害に強い、汚れたら洗って繰り返し使える、とメリット多数の簡易トイレ。実際に座ってみましたが、しっかりしていて安定感は抜群。子どもでも問題なく使えそうです。「お花見の時、テントの中にこれを設置して、トイレの長蛇の列を回避した」という声も。2024年8月の発売以来、かなり売れているそうです。
長期保存用トイレットペーパー

アルミの真空包装で湿気に強く、長期保存可能なトイレットペーパー。一般的なトイレットペーパーは、家のトイレに置いておくと半年ほどで黒い点々のカビが発生し始めるとか。気付かずに使いがちだそうで、これは衝撃的でした…。70mタイプは1人で使った場合の1週間相当。かさばらず、紙の触感が硬いなどの気になる点もなかったので、備えておくと安心だなと思いました。
ストロングスリッパ

避難時にガラスや釘などから足を守るスリッパ。防弾チョッキにも使われる素材を採用し、安全靴基準をクリアしています。かかとにゴム付きで、サイズ調整や歩きやすさも◎。もちろん平時は普通のスリッパとしても使えるので、「寝室の足元に一足」の声に納得でした。
その他にも、1人分の一時避難用アイテム30個が入った防災バッグや、約5分の手回しで満充電できるスタイリッシュなテレビ+ラジオなど、便利な商品が多数ありました!
みんなが多めに備えることで、助け合う防災を
最後に、昨今の防災のトレンドについて。
山善の防災士・小浜さんによると、近年は核家族化などの影響で、防災用品もかつての「家族分をまとめて備える」から「個人で備える」意識に変わってきているそう。防災バッグについても、1人分をそれぞれカスタマイズしたものを人数分備えるのがベストだといいます。

女性なら生理用品、子どもには頭巾(以前、山善で子ども用の防災バッグを扱っていた際、大人用との違いは「頭巾入りであること」だったそうです)など、性別・年齢に合わせたアイテムを入れておくと安心ですね。
さらに「いつでもどこでも、サッと使える」こともトレンドの1つ。日常時と非常時を分けず、同じものをどちらでも役立てようという「フェーズフリー」も主流になっているようです。
また、お話の中で印象的だったのが「防災は “まず自分が助かって、それから他人を助ける” のが前提。みんなが少しずつでも多めに備えていれば、余剰が生まれて、友人、親戚、ご近所…周りの人たちを助けられます。多く備えるに越したことはない。そのためにも、安価で手に入りやすい商品を届けていきたいです」という言葉。
まずは自分と家族、そして周りの人たちを助ける余裕もあるような備えができたら、本当に理想的ですよね。
地震に限らず、いつどこでどんな災害が起こるか分からない昨今。LEEweb内でもさまざまな防災関連記事が公開されているので、そちらも参考に、これからも備えをアップデートしていきましょう!
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福島綾香 Ayaka Fukushima
ライター
宮城県仙台市出身。夫、息子(2018年9月生まれ)、娘(2023年11月生まれ)と4人暮らし。これまでフリーペーパー、旅行情報誌などの編集を経験。趣味は食べること、旅行、読書、Jリーグ観戦。
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