夫婦でこれからの長い人生を考える準備期間
【夫婦の更年期症状との向き合い方】イライラや体の不調…コミュニケーションのコツを専門家が解説
2024.09.01
もしも自分や夫に更年期症状が出たら…
イライラや不調と、二人でどう向き合う?
いざ夫婦で更年期の不調を感じたら、どうすれば? コミュニケーションのコツを専門家に教えてもらいました。
教えてくれたのは
中村名律子さん
NATSUKO NAKAMURA
千葉大学医学部附属病院 産科・婦人科
周産期、女性ヘルスケアの2つの専門医資格を持ち、大学病院にて研究と診療を行う。更年期症状にも詳しく、相談を受けることも多い。
教えてくれたのは
佐々木春明さん
HARUAKI SASAKI
昭和大学藤が丘病院 泌尿器科教授
男性更年期症状に詳しく、数多くの男性の診療を担当。世界男性更年期障害学会ほか、国際学会にも多数参加。監修に『マンガでわかる!男女で知っておきたい更年期』(主婦の友社)。メディア出演や講演活動も多数。
夫婦コミュニケーションのポイント3
Point
1
お互いのつらい状況を理解して、きつい声かけはしない
更年期は男女どちらにとってもセンシティブで、気持ちが落ち込みがちな時期。本当のつらさは本人にしかわからないと理解したうえで、たとえ寝ていて家事ができなくても、無神経な言葉などをかけないこと。とても難しいのですが、お互いのありのままを受け止めることが大切です。(中村名律子さん)
Point
2
几帳面な男性ほど症状が出やすい。夫婦で上手にストレス解消を
ストレスが要因である男性更年期の症状は、几帳面な男性ほど出やすいという傾向があります。まじめな人ほど手を抜くのが苦手で、不満をため込んでしまうことが多いからです。一人ではなかなか発散ができないので、夫婦で楽しめる趣味などを見つけて一緒にストレス解消を。(佐々木春明さん)
Point
3
夫婦でこれからの長い人生を考える準備期間ととらえる
人生100年時代で、更年期以降の人生がまだまだ長い人が大半。更年期はこれまでの生活スタイル、睡眠、食事、運動習慣などを見直すチャンスです。更年期症状と向き合いながら、頑張ってきた心と体に今一度意識を向け、夫婦がお互いにいたわり、ケアできるように心がけてみて。(佐々木春明さん)
夫婦で乗り越えるためのQ&A
いつまで夫の更年期が続くのか不安。男性は閉経がないから、どう判断すべきか…
ホルモン量が低い数値で安定すれば、終わりは来る
ホルモンが急激に減って、変化が大きいときに更年期症状を感じるので、ホルモン量が低いまま安定して、それに体が慣れれば症状はおさまります。テストステロン補充療法をすすめるのは、体内のホルモン濃度を人工的に調整して、最終的にホルモン量をソフトランディングさせるためなんです。必ず終わりは来るので、安心してください。(佐々木春明さん)
体を動かすことは更年期対策にもいいと聞きました。夫と一緒に筋トレをしてもOK?
激しすぎる運動は、テストステロン量を減らしてしまう
実は激しすぎる筋トレなどは、テストステロンの量を減らしてしまうという報告があります。不調改善のために運動することは大切ですが、ウォーキングや軽いジョギングなどがおすすめ。夫婦で一緒にウォーキングや、休日に出かけて歩きながらショッピングをするぐらいがちょうどいいと思います。(佐々木春明さん)
ここ数年、育児と仕事で忙しく夫と二人の時間がほとんどありません。会話も少ないのですが、更年期を無事に乗り越えられる?
更年期前にお互いを理解しサポートできる体制を作りたい
まずは夫婦のどちらも、いつ更年期症状で心身に不調が起きてもおかしくないと理解しておくこと。これまではすれ違いだった生活でも、家事や育児の分担など少しずつ見直し、サポートし合える体制を整えたいですね。ともに過ごす時間が増えれば、お互いの更年期症状に気づいたり、声かけが受診のきっかけになったりと、早期の改善にもつながります。(佐々木春明さん)
子どもの受験や反抗期と更年期が重なりそうで心配です
家族中心ではなく、できるだけ自分に目を向けて
女性が更年期を迎える40〜50代は、タイミング的に子どもの思春期や夫の昇進など、家族の変化も大きい時期。家族の言動に影響を受けたり、振り回されたりしがちですが、更年期になったら今まで以上に“自分軸”を意識してみて。可能な限り、自分の体調や気持ちを優先して行動すると、イライラや落ち込みを少しは感じにくくなるかもしれません。(中村名律子さん)
Staff Credit
イラストレーション/SAKIPON 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2024年LEE8・9月合併号(7/5発売)「二人で考えませんか?「夫婦の更年期」」に掲載の記事です。
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