LIFE

揺れる40代、小さくて大きな“種まき”ストーリー

目標を決めすぎずに継続を!

【堀井美香さんインタビュー】40代を振り返って…当時の積み重ねが、今の自分の核に

2024.04.28

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子育て、仕事、体の変化…
次なるフェーズのために

揺れる40代、
小さくて大きな“種まき”ストーリー

結婚して家事、育児、仕事にがむしゃらだった30代を経て、行き詰まり感や新たな悩みが出てくる40代。よりよい50~60代を迎えるために、前向きな“種まき”をしておきたい! 先輩の声から、今できることを考えませんか?

憧れの先輩たちに40代を振り返ってもらいました

\50代以上の先輩が/
40代でやっておいてよかったこと

年を重ねてますます自分らしく生きている先輩は40代特有のモヤモヤとどう付き合ってきたの? 堀井さんの経験談には重みと学びが!

子育てが落ち着き、仕事に邁進していた40代。当時の積み重ねが、今の自分の核になっています

堀井美香さん

フリーアナウンサー

堀井美香さん

フリーアナウンサー 堀井美香さん

ほりい・みか●1972年、秋田県生まれ。’95年TBSにアナウンサーとして入社し、2022年に退社してフリーに。現在は数々の人気番組のナレーションのほか、ジェーン・スーさんとのPodcast番組『OVER THE SUN』が人気を集める。著書に『一旦、 退社。〜50歳からの独立日記』(大和書房)など。7月20日(土)には東京文化会館で4回目となる自身の朗読会が開催される。

Instagram:horiimika2022
X:horiimikaTBS
公式サイト:https://www.yomibasho.com/



管理職になり忙しい中でも、“朗読”と向き合う時間は確保

TBSのアナウンサーとして活躍していた40代は「あまりの忙しさに記憶が曖昧なほど(笑)」だと話す堀井さん。

「私は20代で出産したので同僚よりも早めに育休を取っていて。子どもが中高生になって育児が落ち着き時間などの制限がなくなって、どんどん働きたいと思ったのが40代でした。ちょうど管理職にもなり、アナウンサーとしての番組出演やナレーション以外に、チームの後輩たちをどう売り出すかやスケジュールの管理などまで私の仕事に。番組のプロデューサーともたくさんやりとりしました。採用担当や新人研修も担当して、毎日ごはんを食べる時間もないほど! さらに、後輩アナウンサーが活躍できる場を作りたいと思い、ゼロから朗読会の立ち上げも。

自分は出演せず、場所を取ったりスポンサーを探したり、題目を考えて演出家と相談したりと、裏方の仕事に徹していました。きた仕事を必死に打ち返していましたが、感情の揺れが大きく、落ち込むこともしばしば。当時の私は未熟で、管理職としてのうまい振る舞い方も要領よく立ち回ることもできていなかったし、新しいことを進めるときに上司たちとの齟齬(そご)があったりと、壁にぶつかることが多くて。家でシクシク泣いたり、先輩や同僚に愚痴を聞いてもらいながら涙することもありました」

ハードな毎日でも、あえて作っていたというのが“朗読”と向き合う時間だと言います。

「自分の時間がほぼない中で、何か自分を支えてくれるものが欲しいと思ったときに、選んだのが“朗読”だったんです。仕事が終わった夜中に、どういう読み方だとどんな印象に聞こえるかといった朗読の解析をしたり、朗読教室に通っていた時期も。そうして朗読のことを考えざるを得ない時間を、わざわざ作るようにしていましたね。

もとはそんなに朗読が好きなわけではなかったし、当時はこれで芽が出るなんて思ってもいなかった。でも、『自分の核になるものが欲しい』と思っていたので、周りの反応を見て、いいと褒めてもらえるのはこれぐらいかなと、すごく頼りない可能性から入ったんです。不安だから続けるうちに、それがだんだんと自信になってきて。フリーになった今では、定期的に自分で主催する朗読会を開いていて、忙しい時期も続けていたからこそ、きちんと強みになったなと思いますね」

仕事に邁進した40代。すべてが今役立っています

堀井美香さん

40代は“種まき”の期間。目標を決めすぎずに継続を

50歳で退社を決めたときは、ほとんど悩まなかったのだそう。

「あるときふと『1回会社を出てみようかな』と思い、1〜2日ですぐに決意しました。いろいろときっかけはあったと思うのですが、親しくしている先輩方が50歳ぐらいで好きなことを始める様子を見たり、子どもたちが大人になって家を出て自立したり……40代を駆け抜けて、会社員生活をやりきった感覚もあったのかもしれません。

不安は全然なくて、50歳を過ぎてドラッグストアで働き始めたママ友や、実は配送のアルバイトをしている仕事仲間なども知っていたので、私ももしアナウンサーとしての仕事がなくなっても、アルバイトをしても楽しそうだなと。当時、変わろうとする覚悟がすごくあって、新しいことを細々とやっていくことも、ネガティブにならず自然に想像できていましたね」

40代で積み重ねたことが、充実した今につながっているとも。

「夢中で動く中でもらった縁や人とのかかわり、コツコツ続けていたことがきちんと“私を作る層”になってくれたんだなと。朗読もですが、目標を決めずにまずは続けることで、何事もスモールスタートをして方向転換していけばいい、というやり方を身につけた気がします。40代になって焦るという声も聞きますが、何かをするのに40代で遅いなんてことは全然なくて、大体のことは花開くまでに5年、10年と時間がかかりますから。“種まき”の期間だと思って、先を考えすぎずに、今できることを継続してみると、50〜60代での生活がより楽しいものになるんじゃないかなと。

私も、最近になってピアノを習い始めたんです。子どもの頃、ピアニストになりたくてずっと憧れがあり、子育てが終わったときに、またやりたいと思ったのがピアノで。1年かけて覚えた曲をすぐに忘れてしまう悲しさはあるのですが(笑)、おばあちゃんになった頃に何かしら好きな曲が弾けていたらいいなと、かなり長い目で見てやっています」

先輩はこう振り返る!

40代で続けていた朗読が今では自分の強みに

変わろうとする覚悟を持つと前向きな想像ができる

花開くまでには時間がかかる。40代で先につながる“種まき”を

Staff Credit

撮影/田上浩一 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2024年LEE5月号(4/6発売)「揺れる40代、小さくて大きな“種まき”ストーリー」に掲載の記事です。

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