BEAUTY

最新白髪事情2023 ②研究ニュース編

「白髪を黒髪に戻す」研究最前線を伊熊奈美さんがレポート【ネイチャーラボ、ミルボン、ホーユー】

  • 伊熊奈美

2023.12.21

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こんにちは。美容エディターの伊熊奈美です。

今回は、こんな質問にお答えします!

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「白髪を染めて隠すのではなくて、もとの黒い髪に戻したい! 育毛剤で白髪は黒くなりませんか?」(やすこ・44歳)

こちらの質問をいただき、前回は、育毛剤で白髪が黒くなるか、ということにお答えする前に、育毛剤のキホンについてお話しました。今回は今注目されている、白髪を黒く戻す研究について、最新のニュースをお届けします。

白髪を黒く…研究の進歩は止められない!

前回お話した通り、法律によって育毛剤や育毛料には「白髪を黒くする」という定義が存在しません。するとメーカー側としてはお金と時間をかけて白髪を黒くする成分を研究しても、「白髪が黒くなる」ことを伝えることができません。

「白髪改善」のための育毛剤はニーズがあるのに、なかなか世の中には見つからない……という状況になっています。でも、科学の進歩そのものを止めることはできません! 実は、各メーカーでエビデンスのある研究は、すでに20年以上も前から続けられています。

皮膚科学を頭皮に応用する「スキニフィケーション」の時代

白髪研究のトップをひた走ってきたのが資生堂の研究チームです。今から20年近く前の2004年、キリンビールとの共同研究で、ビールの原料である「ホップ」から抽出した「ホップエキス」に色素細胞(メラノサイト)を活性し、遺伝子を制御する効果があることを世界で初めて発表しました。その後、サンショウエキスと組み合わせると、効果がさらに高まるとして研究を進化させています。

それから約20年、頭皮や毛髪に関する研究は今、「スキニフィケーション」といわれ、皮膚科学等からの応用によって、グローバルでは大いに盛り上がっている研究分野。薄毛や白髪で悩むのは日本人だけではなく、世界共通だからです。ここ最近、日本の有名メーカーでも続々と白髪に関する研究が進み、白髪に有効と考えられる成分や処方が発表されています! 



美白研究現場の偶然の産物を応用利用【ネイチャーラボ】

ネイチャーラボ研究画像 伊熊さん髪悩み相談室
頭皮全体の抗酸化・抗糖化・抗酸化を促し、頭皮の状態を整える「ブラックリバース処方」のイメージ。環境が整うことで、グレーバースの機能をより高めていく(資料提供:ネイチャーラボ)

美白成分と、白髪になりやすい方の遺伝子研究から偶然発見され、開発されたメラニン活性化ペプチド(アミノ酸の集合体)がグレーバースです。メラノサイト(色素細胞)にメラニンを作らせ、毛母細胞に受け渡す機能をもつとして、カナダのルーカスマイヤー社が発表しました。

その後、2019年に日本のメーカーであるネイチャーラボが、そのグレーバースをさらに効果的に働かせるため、頭皮環境を整えて相乗効果を狙う、オリジナル処方「ブラックリバース」を開発し、発表しています。

植物の連合チームで初期白髪に働きかける【ミルボン】

ミルボン提供画像 伊熊さん髪悩み相談室
毛髪自体は白髪だが、最深部にはメラニンが存在する「不完全な白髪」(資料提供:ミルボン)

20〜70代まで3451人の女性たちの白髪調査を行っていたミルボン。その中で毛根の最深部にはメラニンが存在するのに、その先の毛髪自体が白髪になっている「不完全な白髪」を発見しました。


これは白髪の初期症状で、メラノサイトは働いてメラニンを作っているのに、できたメラニンを毛母細胞へとうまく移送できていない状態だと判明。
そこではメラニン色素の輸送に関わる遺伝子「メラノフィリン」の発現量が低下していることを確認しました。そこでメラノフィリンを活性化する物質を探したところ、カッコンエキス、カモミラエキス、タイムエキスの3つの植物成分を見出しました。

アメリカ先住民が伝承するハーブの思いがけぬ力【ホーユー】

ホーユー提供画像 伊熊さん髪悩み相談室
アメリカの高地に生息するヤーバサンタ(資料提供:ホーユー)

2006年から白髪研究を始めたホーユー。ヤーバサンタとは、アメリカ先住民の間で伝承されてきたハーブで、ホーユーは、そこからステルビンというフラボノイドの一種に、白髪改善効果が見込めることを見出しました。

毛母細胞が「メラニンを作れ」という指令を出すことで、メラノサイトはメラニンを作り出します。その指令は4種類あり、これらがうまく伝わらないことでメラニンが作られず、その結果白髪になります。ヤーバサンタのステルビンは、この指令のすべてを活性化する役割をします。

さらにヤーバサンタは、色素幹細胞を活性化する作用もあり、白髪が抜けた次の毛周期には黒髪を生み出せるようにサポート。色素細胞と色素幹細胞の両方に働きかけられる成分はとても希少です。

白髪研究のこれからにさらに期待!

ホーユー白髪研究資料画像 伊熊さん髪悩み相談室
試験で改善した毛髪の一例。30代前半女性・塗布開始から3週間後。※色素細胞・色素幹細胞が枯渇した白髪には改善効果は期待できません。(資料提供:ホーユー)

数年でここまで進化してきた白髪改善のための研究。しかもここに挙げた研究はほんの一部です。

今後の発展が楽しみな分野ですね! 次回も白髪対策についてお届けします。

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大人女性の髪悩みの救世主、伊熊さんへの質問大募集中です!  お答えできるものを少しずつピックアップしてになりますが、ぜひ質問を送ってください!

伊熊奈美 Nami Ikuma

毛髪診断士・美容エディター

毛髪診断士の資格を持つ美容エディター。雑誌や書籍の編集・執筆のほか、セミナー講師やヘアケア製品開発にも携わる。大人女性のヘア情報サイト『HAIRISTA』を監修。1男の母。

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