こんにちは。美容エディターの伊熊奈美です。

今回は、こんな質問にお答えします！

やすこさんの気持ち、よくわかります。

でも、育毛剤が直接白髪に効くか、という問いに対するお答えは、「白髪は対象外」ということになってしまいます。（その理由は今回の記事で解説！）　

それでも、健やかな頭皮を目指すことは、白髪予防にもつながります。白髪を黒くしたい願望に少しでも寄り添えればと、これから３回にわたり、2023年現在の白髪研究事情について解説していきます！

意外に知らない「育毛剤」のキホン

まずは「育毛剤」とは何かを知っておきましょう。

頭皮につけるものって、育毛剤、発毛剤、頭皮用美容液、頭皮用ローション…いろいろな言い方がありますね。どれも同じように聞こえますが、単に言い方が違うだけではありません！

目的に合わせ、法律（一般に「薬機法」と呼ばれる、医薬品等の製造販売に関する法律）によって分類されているんですよ。

商品を選ぶ際は、外箱に書かれている内容をよく読んでください！

新しい髪を発毛させるのは「医薬品」分類の「発毛剤」

まずは「発毛剤」。一般用医薬品で、現在のところ唯一発毛有効成分として認められているミノキシジルという成分が配合されていることから、医薬品に分類されます。

男性用の「リアップ」は商品によりミノキシジル１％と５％配合、女性用の「リアップリジェンヌ」は１％の配合です。第１類医薬品に指定されていて、薬剤師と既往歴などを相談して購入します。使用してはいけない場合もあるので、必ず事前にチェックをしてください。

目的は育毛！ それなら「医薬部外品」の「育毛剤」

２つめは化粧品と医薬品の中間的な存在である「医薬部外品」。「育毛剤」のほとんどはこれに分類されます。

厚労省に「医薬部外品」として製造・販売を申請し、承認を得ていることが最大の特徴。脱毛防止、育毛を目的とした成分が配合されていて、今ある髪を育てて、抜けにくくするから「育毛剤」と呼ばれます。

また、「薬用」と表記されているものは、化粧品としての機能も併せもっている医薬部外品のことです。

頭皮環境を整えてアプローチするなら、「化粧品」

３つ目は「化粧品」。その定義は、頭皮（皮膚）や髪を健やかに保つことを目的とし、作用が穏やかなものです。育毛剤とはいわず「育毛料」「養毛料」などといわれます。頭皮と毛髪にうるおいを与え、フケやかゆみを防ぐことができます。また、仮に育毛剤に近い効果が確認されていても、諸事情からあえて医薬部外品としての申請をせずに、化粧品として製造販売されているものもかなりあるので、化粧品だから育毛の期待はできない、ということはありません。

育毛剤の効果効能には「白髪は『対象外』」

お気づきかもしれませんが、この３種類の目的はどれも「白髪」をターゲットとしてはいません。

だから育毛剤が直接白髪に効くか、という問いに対するお答えは「白髪は対象外」ということになってしまいます。

でもがっかりしないで！　現代の白髪研究は日進月歩。

白髪を黒く戻す成分や処方の開発はメーカーレベルでエビデンスを取りながら続々と進んでいて、その研究成果がコスメに反映されているものもあります。

また、健やかな頭皮環境を維持することは、白髪の予防につながります。頭皮ケアは薄毛や白髪を予防するのなら、いずれにしても不可欠なのです。まだ自分には関係ない、と目をそらさずに、まずは頭皮用エッセンスなどから、頭皮をいたわる習慣をスタートしてみましょう。

次回は、化粧品の科学の世界で世界的に注目が集まっている、白髪に効く成分研究の今をお話します！

大人女性の髪悩みの救世主、伊熊さんへの質問大募集中です！ 少しずつピックアップしてになりますが、お答えしていきますので、ぜひ質問を送ってくださいね！