その時親はどうしたらいい?
いま不登校の子どもの数が増えている?!専門家が「行き渋り」の現状について語ります
2023.10.01
「学校に行きたくない」と言われたら、どうする?
突然子どもの“行き渋り”がやってきた!
夏休みも終わり、急にわが子が「学校に行きたくない」と言い出したら、一体どうすれば? 不登校の子どもの数が年々増えている昨今。学校に合わない子がいるのは理解できても、仕事を休めないといった現実的な問題もあり、焦ってしまうはず。専門家の声から、親ができることを考えます。
interview 1
教えてくれたのは…
認定NPO法人カタリバ 今村久美さん
代表理事
’01年に認定NPO法人カタリバを設立。経済的に課題を抱える家庭の支援、メタバースを活用した不登校支援など、社会の変化に応じて多様な活動に取り組む。
不登校支援に力を入れてきた認定NPO法人カタリバが作った、親子のためのガイドブック。『NPOカタリバがみんなと作った 不登校—親子のための教科書』(ダイヤモンド社)
“隠れ不登校”とも呼ばれる行き渋りの子どもは多い
公的な不登校支援施設の運営を委託されて、不登校の子どもたちと触れ合う機会が多い今村さんと池田さん。行き渋りも増えていると言います。
「年間30日以上の欠席でないと不登校にはならないのですが、日数は満たなくても、教室ではなく保健室で過ごしたり、給食だけを食べに行ったりするケースも。行き渋りと言える状態ながら、無理に学校に行っている子どもも一定数います。“不登校傾向”や“隠れ不登校”と呼ばれることもあります」(今村さん)
運営する施設で、行き渋りの相談を受けることもあるそう。
「行き渋りが強く休ませたほうがいいと判断したら、思いきって1週間ほど休むのも手。子どもは明日学校に行くかどうかという緊張から解放されるし、親も学校への連絡が1回で済む。もちろん個人差はありますが、この判断で回復して、また学校に行くようになる子どももいます」(池田さん)
interview 2
教えてくれたのは…
石井志昂さん
不登校新聞代表理事・編集長
自身も不登校経験者で、中学2年生から不登校に。19歳で全国不登校新聞社に就職。’06~’22年編集長、’20年から代表理事。これまでに不登校の子どもやその親など約400人を取材。
学校へ行きたくないと言う子どもにどう対応するべきか、子育てのノウハウなど具体的なアドバイスが満載。『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ社)
コロナ禍のストレスもあり小学生の不登校が増加
不登校にまつわる情報発信を行う、不登校新聞編集長の石井さん。最近は、小学生の行き渋り、不登校が増加しているそう。
「以前は小学生の不登校は学年に1人ぐらいだったのに、今はクラスに1〜2人の割合に。不登校の原因になるいじめは低年齢化して小2がピーク。コロナ禍のストレスでもいじめが頻発しています。コロナ禍が落ち着いても、子どもはつらいと我慢しがちなので、数年かけて感情が噴出することも。かつて東日本大震災の数年後から被災地域で不登校が増えたというデータがあり、これから行き渋りが始まる子どももいるかもしれません」(石井さん)
行き渋りをしたら、早めに休ませるほうが傷は浅く済むとか。
「一番そばで子どもを見ている親の勘は大体当たるので、普段と様子が違うぞと感じたら学校を休ませてみて。『忙しいから学校に行ってほしい』『将来のために学校で勉強して』などと、親の打算が先にくると子どもを無理させることに。難しいと思いますが、冷静さを忘れないでほしいですね」(石井さん)
Staff Credit
取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2023年LEE10月号(9/7発売)「突然、子どもの“行き渋り”がやってきた!」に掲載の記事です。
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