『学校に行かない君が教えてくれたこと』の中から一部を紹介
長男の「学校に行きたくない」が突然やってきた!今 じんこさんが語る行き渋り体験談
2023.09.22
『学校に行かない君が教えてくれたこと』著者・今じんこさんのリアル体験
子どもの“行き渋り”
こんなふうに始まって、親もとことん苦しみました!
長男が学校に行ったり休んだりを、1年以上繰り返していた今じんこさん。葛藤、迷いなど親の本音を語ってくれました。
発売から約5カ月で重版を重ね大反響!
『学校に行かない君が教えてくれたこと』の中から一部を紹介します!
入学して早々、長男・もっちんが「明日学校行かない」と突然の宣言! たくさん悩みながら親子の答えにたどり着くまでを描いた、実録コミックエッセイ。¥1210(オーバーラップ)
“寄り添い”という圧で、息子を無理に学校に行かせてしまった。当時の自分にグーパンチしたいです
突然、「学校に行かない」と言い出して、ポカンとしてしまった
現在小学5年生の息子さんが、1年生になってすぐ行き渋りが始まったという、今じんこさん。あまりに突然の出来事に、驚くばかりだったそう。
「5月にある運動会の練習がイヤだから、学校に行きたくないと言い出しました。今思えばいろいろと理由があって、息子の中では積み重なっていたのだと思いますが……。それまでは学校が楽しそうだったし前ぶれもなかったので、困るとかどうしようと思うより、ポカンとしてしまって。ただ、保育園時代はずっと穏やかで落ち着いた性格だった息子が、泣いて叫んで『学校に行きたくない』と訴えていたので、親に伝わらないから、そういう言動に出るしかなかったのかなと今は思います」
そんな息子さんの本心はわからず「とりあえず頑張ろう」「慣れれば大丈夫」と、学校に行くように促したと言います。
「学校が合わなくて行かない子どもがいることは知っていたし、そこに偏見はない“つもり”でした。でも、いざわが子のこととなると、受け入れるのがどれだけ難しいか。学校に行けるように寄り添ってあげようと、なんのためらいも悪意もなく思い込んでいたんです。親である私自身が、子どもの行き渋りや不登校を全力で拒否していたのに、そんな自覚もありませんでした。当時は、子どもに寄り添いたいけれど本心では学校に行かせたい親である私と、行きたくなくてつらい息子、善意で『頑張って学校に来よう』と言ってくれる先生。全員が違う方向を向いていて、バラバラでかみ合わないことが本当にしんどかったですね」
[ 息子の行き渋りが始まった頃 ]
「担任の先生に『学校では楽しそうにしている』と聞いたこともあり、とにかく行かせようと必死でした。今なら息子が学校で無理をしていたとわかるのですが……。休むと楽しそうなのでイライラしたのですが、ストレスから離れて元気になるのは当たり前で。そんなことも見えなくなっていました」
本当の気持ちを言えずに、無理を続けた息子。付き添いや別室登校も
1年生の間は、嫌がりながら学校に行くこともあり、週1〜2日は休む、行き渋り状態が継続。2年生になって息子さんに変化が訪れますが、ここからさらに深い沼に入ってしまうことに……。
「2年生になり、息子が『学校に行けるように頑張りたい』と学校に対して前向きな発言をするように。そんな息子を、私も先生も『すごい!』『頑張ってるね』とたくさん褒めた。これは要するに『学校に行かない子は頑張っていない』というマイナスのメッセージを息子に送ってしまっていたんです。学校に行けてうれしそうに見えたのですが、それは、“自分が学校に行けば親を困らせずに済むから”だったんですね。
このあたりから、息子は、学校に行きたくないという本心を親にも言えず、無理をし続けることになりました。私はそんなことにはまったく気づかず、むしろよくなっていると喜んでいて……。息子が行き渋りを始めてから、私は数々の失敗をしてきましたが、戻れるならこの時期に戻ってやり直したい。自分にグーパンチしたい気持ちです」
“付き添い登校”や、親子で空き教室で過ごす“別室登校”も経験。
「言葉を聞くだけでフラッシュバックで倒れそうになるほど、本当に大変でした。朝から息子に付き添って登校し、時には午後に学校が終わるまで、親子で自分のクラスではない空き教室で過ごしました。親の体と時間が拘束されるので、私自身の仕事を引き受ける余裕もなくなり、どんどん疲弊してしまって。今思えばなぜあんなに頑張っていたのかと思うのですが、どうすればいい方向に向かうのか正解がわからなかったし、息子が頑張って学校に行きたいと言うんだから私が寄り添わなければと思い込んで、実は圧をかけていた。息子はいつまでもつらそうで、むしろ状態が急激に悪くなっていきました。さらに親子の気持ちがちぐはぐになってしまいました」
[ 深みにはまって辛かった時期 ]
「当時は、いい方向へ向かっている、スモールステップで徐々に学校へ行けるようになっていると思い込んでいました。本人が行きたくない道にいくら進んでも、根本から解決するはずはないのに……。自分の不安にばかり気持ちが向いていたからか、当時の息子の表情をあまり思い出せないんです」
渦中の親には声が届きにくい。実情を知っておくと、判断を間違えにくいはず
その後、親の今さんが体調を崩し、うつ病との診断が。息子さんを学校へ通わせ続けることに、限界を感じたそうです。
「私のうつ病をきっかけに私から『学校を頑張るのをやめて、もう休もう』と話しました。親子で休んでからは、家族や支えてくれる仲間たちの声に触れる中で、少しずつ『学校に行かなくては』という私の凝り固まった価値観が変わっていきました。見学に行ったフリースクールで出会ったり、当時からSNSで同じ悩みを持つママの話を聞く機会が多くて、それが癒し効果絶大でした。
例えば、学校に行っていなくても宿題や壁に飾る習字の課題だけでもやらないかと先生に言われて、それが私の大きな重圧だったのですが、知り合った不登校児のママさんがきっぱり断っていると聞いて。私の気持ちも救われたりしました。今は息子は学校以外の居場所を見つけて、楽しく過ごしています。
振り返って思うのは、渦中にいると客観的に考えられなくなり、周りの声が届かなくなることが多いんです。私も、当時の自分には怖くて声がかけられないなと思ってしまうほど。だからこそ、子どもが行き渋りをする前に、こういった体験談などで実情を知っておくと、いざというときに慌てたり、子どもや自分を傷つけずに済むと思います。また当事者以外が知ることで、行き渋りや不登校の子どもたちを見る周りの目がやさしくなるといいなとも感じますね」
まとめ
子どもの行き渋りを体験した
今さんが痛感したこと
- 無理に学校へ行かせると子どもの状態はどんどん悪く
- 「学校に行きたくない」と言えなくなったときが本当に危ない
- 経験者の声は貴重! 知っておくと慌てずに済む
Staff Credit
イラストレーション/今 じんこ 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2023年LEE10月号(9/7発売)「突然、子どもの“行き渋り”がやってきた!」に掲載の記事です。
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