料理家 本多理恵子さん・フードライター 白央篤司さん
料理のプロに聞いた!“料理がしんどい日”の乗り越え方&メニュー
2023.09.13
料理を仕事にしているおふたりに聞きました
“料理がしんどい”をどうやって乗り越えていますか?
「しんどい原因」を取り除いたメニューにします
近著の『ごはん作りの絶望に寄り添うレシピ』(エムディエヌコーポレーション)も好評。
「もう今日は、何も作りたくない」。本多さん自身、過去に何度も陥ったその状況。「今、何が一番イヤなのか?」を考えてみることで、その危機を乗り越えてきたそう。
「私、そして料理教室の生徒さんで多かった3大イヤなことは、『手間がかかる』『家に大した食材がない』『何種類もおかずを作る“献立”が負担』。読者の方々とまさに同じです。まずは“自分が何をしんどいと感じているか”を理解することが第一歩。解決のヒントは、まさにそこに隠れている。自分のやる気を失わせる要素を、徹底的に省いた料理を考えればいいわけですから」(本多理恵子さん)
今回教えていただいたレシピすべてに共通するのは、なくてもいい工程の徹底的な省略、洗い物は最小限、そして調理時間の短縮。
「あと、皆さんにお伝えしたいのは、『実はほかの人だって、大したものは食べていないんですよ』ということ。けっこうみんな、似たり寄ったりで料理に息切れしてるんです。作るのが面倒なら、買ってきたものを食べたっていいし、栄養バランスだってそんなに神経質にならなくてもいい。簡単料理をぐるぐる回すだけでも立派なものなんですから、もっと自信を持ってください。『ごはん、どうしよう』と思うこと自体、私たちが十分頑張っている証拠だと思いますよ」(本多理恵子さん)
何品も作りたくない日の
「90秒蒸すだけカレーチャーハン」
一品で満足できる料理を作って、やり過ごします
お話を伺ったのは
白央篤司さん
フードライター
フードライター、コラムニスト。郷土の食、栄養、暮らしと食を主なテーマに、書籍、ネットメディア等で執筆。忙しい現代人のために、現実的で手軽な食生活の整え方を呼びかける。家では炊事全般と土日の洗濯、猫の世話を担当。
近著に『台所をひらく』(大和書房)。
「何がしんどいって、延々と続いていくのが自分でわかっているってことですよね」と白央さん。
「たとえ今日、外食でしのいでも、明日からはまた何かしら作らなくてはならない。まじめな人ほど、悩んでしまう。でも、その“しんどい気持ち”に抗わなくてもいいと思う。食べることは毎日続くから、料理もずっと続いていく。例えるなら、泳ぎ続けるようなもの。だから、『毎日泳がなくてもいいのだ』と自分のルールを少しゆるめる。しんどいときは、溺れない程度に浮かぶだけでいい。浮かび上がるために必要な“ブイ”的存在を、自分が納得できる形でいくつ持てるかが、料理におけるしんどさをやり過ごせるかどうかのポイントではないでしょうか」(白央篤司さん)
溺れずにやり過ごすテクニックのひとつとして、おすすめするのは、ひと皿で完結できる料理。
「そこで力を発揮するのが、頼れる常備食材です。加えて、『今日はしんどいから作れない』と率直に言える家族との関係性が大切かと。料理は、どうかひとりで抱え込まないでほしい。一緒に食べる相手にもっと気楽に委ねていきませんか。『家族のため』と思う気持ちと同様に大切なのは、自分が無理なくできるかどうか。力の抜き方もどんどん考えていきましょうよ」(白央篤司さん)
副菜いらず、一品完結の
「きのこたっぷりうどんすき」
Staff Credit
撮影/メグミ スタイリスト/朴 玲愛(本多さん分) 取材・原文/福山雅美
こちらは2023年LEE10月号(9/7発売)『「料理がしんどい日」の晩ごはん、どうしてますか?』に掲載の記事です。
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