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LIFE

金子恵美さんがOGとして「自民党女性局のフランス研修旅行」について補足説明しておきたいこと

  • LEE編集部

2023.08.31

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金子恵美さん

今回のゲストは、元衆議院議員の金子恵美さんです。金子さんは2007年に新潟の市議会議員に初当選、県議会議員を経て、2012年から衆議院議員になり、総務大臣政務官に就任。夫の不倫騒動もあって都合10年間の議員生活を終え、現在はテレビ番組でのコメンテーターや講演活動で忙しい日々を送っています。金子さんの元政治家ならではの鋭い視点と分かりやすい解説、女性や子育て世代の声を伝える等身大のコメントは、ネットニュースにもよく取り上げられています。私生活では小学生の子を育てる母親として、2022年にベストマザー賞を受賞しました。

前半では、女性と政治、ジェンダー・ギャップの問題、最新著書『もしも日本から政治家がいなくなったら』(内外出版社)を出版した理由について話を聞きます。また、夫である宮崎謙介さんとの家事と仕事のルール、実は金子さんの衣装をすべて宮崎さんが選んでいるという事実も明かしてくれました。

議員時代を「とにかく忙しかった」と振り返る金子さん。現在、テレビのレギュラー番組は7本。毎週、名古屋に大阪、静岡を行き来する生活ですが、「議員当時に比べれば全然楽です。当時は新潟と東京を、多い時は1日に2往復したことも。そこで鍛えられたおかげで忙しい今も元気に過ごせています」。取材が始まってすぐ、その時話題になっていた自民党女性局のフランス視察旅行の話から始まりました。(この記事は全2回の1回目です)

議員時代悩まされていた突発性頭位めまい症が、辞めてぱったり収まった

「フランスは少子化対策、女性活躍にも成功した国なので、視察には意味があったと思いますが、パリでの様子はとても残念でしたね。女性局に悪いイメージがついたかもしれませんが、実はとても良い取り組みも行っています。児童相談所虐待対応ダイヤル189の設立に尽力したのが女性局です。あと、女性の健康のための法律を作ろうと準備を進めています」

金子恵美さん

女性が社会のさまざまな場面で能力を発揮するためには、健康であることが大前提。しかし、忙しいことで健康管理はおざなりになり、体調が悪くても病院に通う余裕がない。活躍すればするほど、健康を害してしまうことにもつながります。

「例えば、生理痛がひどくてクリニックに通う時間がなく、市販薬で済ませてしまうと、飲む量がどんどん増えてしまう。痛みを薬で我慢し続けた結果、病気に気付くのが遅くなる場合もあります。そうならないように、女性の健康を包括的に支援する法律を約8年前から提案しています。まだ成立はできていませんが、女性の健康と活躍は両輪、それは忘れてはいけません」

金子恵美さん

金子さんも、実は議員時代に突発性頭位めまい症(良性発作性頭位めまい症)に悩まされていたことを明かします。

「めまいと吐き気の症状がひどく、夜寝られないほどでした。体を起こすと、頭がぐるぐるして吐き気も止まらない。長時間にわたり症状が続くので、耐え難い辛さでした。一度、国際会議で渡航する直前に症状が出た時は、本当に辛かったです。政治家は病気だと分かると致命的になるので表には一切出せませんでしたが。議員を辞めてからは、その症状がぱったりと出なくなりました。それだけ責任感と緊張による過度のストレスがあったんだと思います」

女性の政治進出を阻む「男性との体力差や年収差」「ジェンダーギャップ」

性別による体力差、ライフステージによっては出産、子育てがある中で、男性と同じように活動することが難しい部分もあります。「政治家自身はもちろん、国民の皆さんにも理解していただく必要があります」と金子さん。政治の場面で、女性進出を推進する取り組みも始まっています。

金子恵美さん

「自民党では、政治に関わる女性を増やすための政治塾『女性未来塾』を行ったり、元デジタル大臣の牧島かれんさんをはじめ女性局が提案してきた、女性の新人議員候補に対して活動費として100万円の支援金を給付する『女性候補者支援金制度』などを行っています。選挙に出るのって、実はとてもお金がかかります。衆議院の小選挙区に立候補するのにかかる供託金は300万円。比例区の重複立候補なら、プラス300万円で合計600万円。男女の年収差を考えても女性の方が少ないわけですから、その不利な部分を支援したい思いから始まったものです」

もう一つが、ジェンダーギャップの問題。毎年発表されるジェンダー・ギャップ指数(世界経済フォーラムが発表、男女格差を数値化した指数)において、日本は146カ国中125位。その差が特に大きいのが政治の分野。日本における女性議員の比率は、現在の衆議院議員で約1割、世界190カ国中165位。フランスは4割近く、と大きく差があります。

「この差の理由は、クオータ制(女性の割合が一定になるようにする制度)を導入していること。ドイツもフランスも義務化されています。日本はまだ努力義務なので、少しずつ増えてはいるものの、欧米とここまで差が出るのは義務化されておらず法的拘束力がないからともいえます。フランスでは、働く女性が子どもを諦めない、子どものいる女性が労働市場から排除されない国を作ろうという動きがあり、国民の意識改革が行われました。同時に子育て支援を充実させ、フランスは少子化にも歯止めをかけました」

「政治って、決して悪いものではない」と伝えたい

「政治家=悪」のイメージが強いのが今の日本。「政治って、決して遠いものではない」「政治家がいることで私たちの生活を良くしてくれる」、そんな一面を伝えたいと思って出した本が、『もしも日本から政治家がいなくなったら』(内外出版社)です。

もしも日本から政治家がいなくなったら

――“国会議員がいなくなったら年間2041億円が浮く”
――“しかし政治家がいなくなると官僚たちが暴走し始める”
――“国民の声が届かず、官僚が好き勝手作った法律になる”
――“パンデミックが起きても対応ができなくなる”

「もともと政治は生活そのもので、政治家は暮らしや社会を良くしてくれる人だったはず。それがスキャンダルや不祥事ばかりがクローズアップされ、政治への不信感は高まるばかり。そんな思いから、“もし政治家がいなくなったら、どうなる?”と仮説を立てて、改めて政治家の必要性や改善点を再確認してもらえたらと思います。これまであまり政治に興味がなかった方や触れてこなかった方に、あとは政治家ってどんな仕事をしているのかをお子さんにも読んで知ってもらえたら嬉しいです」

金子恵美さん

なかなか知ることのない政治家のお財布事情から議員と官僚の違い、政治家がいなくなると私たちの生活がどう変わるのかを、イラストを交えながら分かりやすく紹介しています。この本は夫の宮崎謙介さんが監修を担当、夫婦の共著とも言える一冊です。



夫・宮崎謙介さんとは仕事も家庭もバランス良く分担

金子さんと宮崎さんは、仕事も家庭も夫婦でバランスよく分担しています。実は、金子さんの衣装は全て私物で、宮崎さんがセレクトしたもの。出演する番組の視聴者層やターゲットに合わせて、洋服からアクセサリー、靴まで一式を選んでいる、いわば専属のスタイリスト。家庭での食事作りは宮崎さん、掃除・洗濯を金子さんが担当しています。

「そもそもファッションに疎いのもあり、議員時代には宮崎から“なんでそんなスーツを着てるの?”と突っ込まれたことも(笑)。出演用の衣装は、自分では選ばないような服を選んでくれるので嬉しいです。宮崎は流行り物、トレンドが好きだし、流行りの服を来ている女の子の観察も得意(笑)。とはいえ、番組で共演しているナジャ・グランディーバさんから“今日、謙介(が選んだ服)おかしくない?”と突っ込まれることもありますが(笑)」

金子恵美さん

ちなみに「もしLEE読者が、政治家を目指すなら何からやるべき?」と聞いてみると「政治家にまず会ってみてください」と金子さん。

「政治家とふだんから接点がある人って、あまりいないと思います。まずは、一番身近な地元の市区町村議会議員の方の事務所を訪れてみてください。住所が分からなくても、検索すればすぐ出てきます。“どんな仕事をしているんですか”と聞いてもいいし、“政治に興味があります”と伝えてみるのもいい。その時の対応で、どんな議員か分かります。議員になるには、“この人に相談したい”と思わせるような人でないといけません。それを意識して会いに行ってみると、どんな人が政治家に向いているかも分かると思います」

(インタビュー後編につづく)

金子恵美さんの年表

1978年 新潟県月潟村で生まれる
18歳 新潟県立三条高校を卒業、早稲田大学第一文学部に入学
22歳 新潟放送に就職、顎関節症の手術のため1年ほどで退社
24歳 新潟の着物コンテストに参加し、「新潟県きものの女王」に
25歳 ミス日本の関東代表に選出
29歳 新潟市議会議員選挙南区選挙区から立候補、トップ当選を果たす
32歳 新潟県議会議員に
34歳 新潟県議会議員を辞職し、第46回衆議院議員選挙に立候補し、当選
37歳 衆議院議員の宮崎謙介さんと結婚
38歳 長男を出産。同時期に夫の宮崎さんの不倫騒動により宮崎さんは議員を辞職。同年、総務大臣政務官に任命される
39歳 第48回衆議院議員選挙に立候補し、落選。引退
41歳 『許すチカラ』(集英社)を出版
44歳 第14回ベストマザー賞2022を受賞
2023年
(45歳)
『もしも日本から政治家がいなくなったら』(内外出版社)を出版

 

金子恵美さん


撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子

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LEE編集部 LEE Editors

1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
そんな存在でありたいと思っています。
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