生理痛や過多月経改善に効果的「ミレーナ」はPMSにも効くの？副作用で太るの？【宋美玄さんの聴く婦人科診察室#103】

宋美玄

2023.06.19

音声

産婦人科医の宋美玄さんのポッドキャスト番組「聴く婦人科診察室」は、宋さんとLEEweb編集長・畑江が婦人科系疾患、生理、セックスレス、更年期、女性を取り巻く社会問題などなど、女性の心身の健康について時に赤裸々に、時に為になるトークを繰り広げます。毎週月曜日18時更新です。今月は祝・100回突破記念として、リスナーの皆様から寄せられた婦人科系のお悩みに宋さんがお答えします！　今週はミレーナ（黄体ホルモンを子宮の中に持続的に放出する子宮内システム［IUS: Intrauterine System］）についてのご質問やお悩みを取り上げます。

宋美玄さんの「聴く婦人科診察室」#103
今週のよりぬき

①「番組大ファンの男子38歳です！　妻38歳、生理前になるとPMSで悩んでいます。イライラ、涙が出る、目眩、腰痛など。無知な私は『気の持ちようやろ』と泣かせてしまったことも。反省し本番組バックナンバーを全部聞き直しミレーナを知り妻に勧めました。が、レディースクリニックを受診すると『子宮筋腫が7センチと多くミレーナが飛び出してしまう恐れがある』とのことでジエノゲストと漢方処方に。子宮筋腫があるとミレーナは入れられれないのでしょうか？　ジエノゲストとピルの違いは？　費用面などで考慮するとミレーナを導入したいです」とお便り
「PMSの治療のためにミレーナ導入しても、半分くらいは効かないことあります。ミレーナを入れても半分くらいの人は排卵止まらない。私のように入れてから何年かすると排卵が無くなる人も。というわけでPMS治療の第一選択肢ではないですね」と宋さん
ミレーナは子宮筋腫と生理痛があるなら保険適用になる。PMS治療のためのみでは保険適用外
「子宮筋腫が7センチは小さくはないけど、出来た位置によってはミレーナ入れられます。子宮内膜に向かって突出するタイプの腫瘍だと、ミレーナ入れても脱出する可能性が高いです。1万円以上かけて入れたのに出てきちゃったら悲しいですしね。保険で1度は入れ直せますが」と宋さん
「実際に診察された医師が『ミレーナが出てきそう』と判断したのであれば、飲み薬が無難かと。PMSが一番の悩みなら、私のクリニックにいらしてもジエノゲストをオススメします」と宋さん
「費用面はたしかにミレーナのほうがコスパは良いですね、通院頻度も少ないし。ジエノゲストの場合、飲むと全身に効きます、女性ホルモンが低め安定に。まれにむくんだりしますが副作用はあまりないです」と宋さん
「ジエノゲストは黄体ホルモンのみが、ピルはエストロゲンと黄体ホルモンの両方が入っています。ピルは血栓症のリスクがありますが奥様の年齢的にはどちらを選んでもOK、でも筋腫あるならジエノゲストのほうがオススメです。現在の治療方針で良いかと思います」と宋さん
②「ミレーナを入れて3ヵ月、過多月経や腰痛・頭痛が改善し快適です。でも3キロ太ってしまい、人生最大体重更新中です……黄体ホルモンでむくんだり食用増進することはあるのでしょうか？　このまま太り続けるのであればピルに変えることも検討しています、宋先生のご意見お伺いしたいです」とのVoicyコメント
「ミレーナはあんまり太らないですね……体調が良くなってごはんが進んでいらっしゃるのかも？　たしかに黄体ホルモンはむくむ副作用があるけど、全身むくむほどではないんです。昔の中容量ピルは太りましたが、今の低用量ピルはそうでもない。そして仕組み的にはミレーナよりピルのほうが太りやすいです。たぶんミレーナを入れたことと婦立ったことの因果関係ないかも？」と宋さん