サンスターの防災セミナーから
最新情報をレポート!
最近、各地で大きめの地震が多いですね…。6月頭には台風の影響による大雨もあり、防災意識が高まっている方も多いのではないでしょうか。
そんな中、サンスターが先日「防災についてのメディア向けセミナー」を開催。防災の専門家から、防災対策のトレンド、最新備蓄リストなどを教えていただきました。
「改めて備えを見直したい」「何から対策すればいいか分からない」という方、ぜひ参考にしてみてください!
避難所生活は、想像以上に過酷。
防災の専門家が語るリアル
セミナーには、危機管理教育研究所 代表の国崎信江先生が登壇。
大地震や豪雨被害の際、被災地の災害対策本部にいち早く入り、自治体職員の支援やマネジメントを行っている防災の専門家です。
はじめに「いざという時『避難所に行けば何とかなる』と考えている人が多いけれど、その生活の実態を知ってほしい」ということで、現場をよく知る先生ならではのリアルなお話がありました。
まず、何をするにも大行列。朝起きてトイレに30分待ち、朝食をもらうのに40分待ち、歯磨きのための洗面所は20分待ち、洗濯は1時間待ち、お風呂が15時に開いて2時間待ち…こんな生活が毎日。
ご飯はおにぎりやパン、お弁当で、おかずは食中毒防止のため生野菜は一切なく、揚げ物や味の濃いものばかり。みんな心の余裕がないため、1枚の毛布をめぐっての喧嘩はもちろん、「朝起きたらカバンがない」などの窃盗、ひいては性犯罪や感染症拡大の危険も…。
仕切りのない場所での共同生活によるストレスは想像していましたが、それ以上に過酷な状況であること、単に「いろいろもらえるから良いよね」という場所ではないということが、ひしと伝わってくる内容でした。ましてや子どもも一緒だったら、耐えられない…。
そこで国崎先生が強くおすすめするのが、自宅で過ごす「在宅避難」。
「わが家の防災強化」のために今すぐできることを、詳しく教えていただきました。
飲み物は水だけではNG?!
キーワードは「幸せ備蓄」
意識したいのは、最近耳にする機会の多い「フェーズフリー防災」。
フェーズフリーとは、日常と非常という2つのフェーズの境をなくし、普段の生活で活用できるものを非常時にも役立てようという考え。食材のローリングストックもこの1つです。
先生によると「在宅避難のメリットの1つは、自宅にある食材を活用して栄養バランスのいい食事が摂れること。日頃から1週間~10日分程度の食料をストックしておくのがおすすめです」とのこと。先生宅では1ヶ月分の食料を置いているそうです。
この時ポイントとなるのが、例えば水分なら、“水だけをストックする” という固定概念に捉われないこと。
「飲み物は水だけあっても幸せじゃないんです。家族それぞれが好きな飲み物を買っておきましょう。わが家の場合、私は野菜ジュース、夫はジンジャーエール、子どもにはパックジュースを箱買い。好物なら普段も飲みますし、たくさん置いて場所を取っていても割とハッピーなんです。この『幸せ備蓄』を意識して、各家庭で無理のない、オリジナルの備蓄を考えてみてください」とのお話でした。
実際、サンスターが2023年5月に行った意識調査では、防災備蓄をしている&避難経験のある人に「避難時に準備していなくて欲しかったもの」を聞くと、「いつも食べているお菓子」がなんと2位。「炭酸水・ジュース」「野菜ジュース」もランクインしていました。こういった嗜好品の有無が、非常時の日々に心の余裕を生んでくれるのでしょう。
また、ガス・水道・電気を一定時間止め、被災生活を疑似体験する「おうちキャンプ」を遊び感覚でやってみることや、卓上カセットコンロとフライパンで、普段も災害時も簡単に作れるレシピを実践してみることなどもおすすめ。
どれも楽しみながらできそうなので、暮らしに取り入れやすいのが嬉しいですね。
災害時のオーラルケアは命にも関わる
子ども向けのポイントも紹介
続いて、サンスターグループ広報部 草野彰吾さんから、災害時におけるオーラルケアの重要性についてのお話がありました。
災害時には、水不足などで歯が磨けず口腔環境が悪化すること、栄養不足やストレスで口腔機能や抵抗力も低下することなどから「誤嚥(ごえん)性肺炎」が起こりやすいそう。
口内の細菌が食べ物や唾液とともに喉の奥へ入り、誤って食道ではなく気管へ流れ込んだ場合に、細菌が肺の中で増殖し炎症を起こす病気で、最悪の場合は死に至ることも。
特に誤嚥をしやすい高齢者に限らず、40歳前後から増える歯周病患者もかかりやすくなります。
普段から歯科での検診・治療をしておくことはもちろん、断水時でも歯を磨けるよう、備蓄の中に液体ハミガキ・歯ブラシ・ティッシュといったオーラルケア用品を備えておくことが大切です。
ちなみに、災害時の液体ハミガキの使い方は以下の通り。
・ひと口分ほどの少量(10ml、キャップに1cm程度)の液体ハミガキを口に含み、全体によく行きわたらせる
・歯ブラシで歯を磨き、吐き出す。口をすすぐ必要はなし(むしろ成分を口内に残す方が良い)
・歯ブラシの汚れをティッシュで拭き取る
また、子どものオーラルケアについても伺ったところ
・うがいができる子であれば、上記の液体ハミガキを使ったケアでOK
・まだできない場合は、ガーゼ(ティッシュやハンカチでもOK)を水で湿らせて歯を拭く、または歯磨きシートを使うのがおすすめ
ということでした。
乳歯でも虫歯になると、永久歯の歯並びや色が悪くなることがあるそうなので、大切に守ってあげたいですね。
保存版「最新防災備蓄リスト」&
大雨災害に備える「キキクル」とは?
最後に、国崎先生監修の「サンスター防災備蓄リスト2023年版」を公開。避難用、在宅避難用、普段の外出用の3つに分かれているので、ぜひ参考にしてみてください。
また、私が今回セミナーで初めて知ったのが、気象庁のサイト内にある大雨災害の危険度分布「キキクル」。
「洪水キキクル」「浸水キキクル」「土砂キキクル」の3つがあり、地図上で川の危険度が色分けされているので、自宅近くが今どんな状況なのか、危険がどこで・どのレベルで迫っているのか、スマホなどですぐ確認できます。
国崎先生いわく、キキクルの賢い見方は「自宅周辺だけでなく、より上流の色までチェックすること」。
多くの川は数県にまたがって流れているため、自分の住むエリアはまだ大丈夫でも、上流部分の警戒レベルが高ければ、今後下流でも危険となる可能性が高いのです。
私も先日の大雨の際に早速利用してみたところ、色分けが一目瞭然で、警戒の判断にも、安心材料にもなる便利なツールだなと感じました。スマホに登録しておいて損はないのではないかと思います。
「大人がしっかり備えて、子どもたちにも防災の大切さを伝えて」
国崎先生からは「大災害が起こるたび、みんな焦って備蓄品を買って売り切れる…といった、流行に乗るような備え方はもうやめましょう。日本は地震が多く、春や秋には大雨が降り、111もの活火山があり、国土の半分は豪雪地帯という災害大国。備えをして当然なんです。大人がしっかり備えて、子どもたちにも防災の大切さを伝えていきましょう」との呼びかけが。
私自身も、食材のローリングストックなど心がけてはいたものの、まだまだ不十分であることを痛感。子ども用の備えも成長に合わせて変わってきますし、定期的に見直さなければいけませんね。
まずは水だけでなく、好きなお菓子や野菜ジュースといった「幸せ備蓄」を追加することと、家族に合わせたオーラルケア用品をしっかり準備すること、実践したいと思います。
思い立ったが吉日。皆さまもこれを機に「わが家の防災強化」、ぜひ意識していただけたら幸いです!
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福島綾香 Ayaka Fukushima
ライター
宮城県仙台市出身。夫、息子(2018年9月生まれ)、娘(2023年11月生まれ)と4人暮らし。これまでフリーペーパー、旅行情報誌などの編集を経験。趣味は食べること、旅行、読書、Jリーグ観戦。