「膣ケア」ブームに待った！自浄作用がある膣、なるべく触らないで【宋美玄さんの聴く婦人科診察室＃88】

宋美玄

2023.03.06　更新日：2023.09.05

音声

産婦人科医の宋美玄さんのポッドキャスト番組「聴く婦人科診察室」。宋さんとLEEweb編集長・畑江が婦人科系疾患、生理、セックスレス、更年期、女性を取り巻く社会問題などなど、女性の心身の健康について時に赤裸々に、時に為になるトークを繰り広げます。毎週月曜日18時更新です。今回のお題は「膣ケア」。フェムテック元年といわれた2020年から3年が経ち、最近では世の中にフェムケアアイテムがあふれていますが……。

宋美玄さんの「聴く婦人科診察室」#88
今週のよりぬき

「『フェムテック』という言葉が出る前にも『布ナプ信仰』とかありましたけど……布ナプキン自体は肌が弱い人にが使用する分には問題ないですけど、それを『布ナプをすると身体が温まる』『紙ナプキンは身体に悪いから布ナプを！』といった間違った言説が拡がるとグレーゾーンになる」と宋さん
「膣や骨盤底筋って未知のゾーンなので、多少スピっぽくなっちゃう。デリケートゾーン周りのちょっと怪しい言説やビジネスは以前からありましたよね」と宋さん
「最近は『膣ケア』と、より直接的な表現になってますが。そもそも、女性器に必要なケアって？」と畑江
女性器はできるだけ触らないこと。マスターベーションやセックスで触るのは良いが、膣内には常在菌がいるのでオイルやローションの使用はお勧めしない
唯一膣をマッサージしてもＯＫなのは、出産時の会陰マッサージのみ
「『気持ち良いからマッサージする』なら良いけど、高いオイル等を買わせるためのマッサージはちょっとどうなんでしょう……」と宋さん
「女性ホルモンの減少でデリケートゾーンが乾燥する世代の方は、粘膜よりも外の外陰部、下着に触れる部分は普通に保湿して大丈夫」と宋さん
膣内が乾いてトラブルになった際は、エストリオールという膣錠（女性ホルモンのタブレット）を入れると解消する。処方箋が必要だが安価
「セックスの際に潤滑剤を使うのはＯＫ。オイルは使わないで。皮膚科の先生も言っていたけど、皮膚に油を直接塗るのはあまり良いことではない。近頃うちのクリニックでも、お腹にブツブツが出来た妊婦さんが多く、オイルを塗っているケース多い。乾ききった皮膚にオイルを塗るのは良くない、せめて皮膚が濡れた状態で塗って乳化させてほしい」と宋さん
宋さんのお勧めのデリケートゾーンケアは①専用のウォッシュで洗う②VIO脱毛③綿製のおりものシート（刺激が少ない、下着が傷みにくくなる）
「外陰部はエストロゲン入りの軟膏やクリームを勧めることはあるが、オイルを勧める場面はないです。とにかく触り過ぎないこと！「膣ケアビジネス」に乗らず、病院を受診するか、膣の自浄作用そこなわないでセルフケアを」と宋さん