30代40代にも増加中「子宮体がん」を宋美玄さんが解説。更年期以降の不正出血は放置NG！【聴く婦人科診察室＃86】

宋美玄

2023.02.20

音声

産婦人科医の宋美玄さんのポッドキャスト番組「聴く婦人科診察室」。宋さんとLEEweb編集長・畑江が婦人科系疾患、生理、セックスレス、更年期、女性を取り巻く社会問題などなど、女性の心身の健康について時に赤裸々に、時に為になるトークを繰り広げます。毎週月曜日18時更新です。先月の「子宮頸がん」に引き続き、今回は「子宮体がん」について取り上げます。子宮頸がんと子宮体がんの違いって？　罹患を疑ったほうがいい身体のサインとは？　宋さんが解説します。

宋美玄さんの「聴く婦人科診察室」#86
今週のよりぬき

「宋さんのTwitterアカウント名には『子宮体がん検診は実は不要です』とありますが、なぜ検診が不要なのですか？」と畑江
「法定検診は胃がん、子宮がん、肺がん、乳がん、大腸がんの検診ですが、子宮体がん検診にはエビデンスがないんです。受診しないといけないと思っている方多いようなので、啓発のためアカウントでも触れています」と宋さん
「なぜエビデンスがないかと言うと、子宮体がんは検診で見つかりにくいから。クスコ腹腔鏡で患部を診られる子宮頸がんと違い、子宮体がんはブラインドで細胞を採取。でもがん細胞が取れない場合も少なくなく、見落とされることも多い。子宮に採取用の棒を挿入するので痛いですし、細菌に感染することもあります」と宋さん
「更年期で不正出血が多いな、というときにはちゃんと受診して、まずは超音波検査を受けましょう。それでちょっとでも所見があったら、子宮体がんの内膜診を行いますので」と宋さん
子宮体がんは正式には「子宮内膜がん」。エストロゲンに関連するがんで、妊娠する人数が減ったり、欧米型の生活で初潮が早くなったりすることで、生理の回数が増えることによって罹患者数が増加中
ん
基本的に痛みはない。主な症状は不正出血。閉経後に不正出血がある10人に一人が子宮体がんに罹患している
もちろん不正出血でも特に所見なし、ホルモンバランス異常のケースも少なくない。ので、まずは婦人科で受診を
「年齢的にはアラフィフぐらいから罹患者数が増加します。年齢的に『『生理不順だと思ってました』『生理が復活した』という方がすごくすごくすごく！多く、その常識をぶっ壊したいです」と宋さん
子宮の超音波検査は色々な情報を得られるので、年1で検査を受けることがお勧め。子宮体がんだけでなく、子宮内膜症等が見つかるケースも多い
子宮体がんの治療法は、子宮摘出の他に、初期の場合は流産のように患部を掻き出す、ホルモン療法のみの場合もある。術後に化学療法を行うことも
「50代60代の閉経後の方が多いけど、LEE世代の子宮体がんも増えています。
生理の回数ふえること＆食生活の欧米化肥満でもエストロゲン増えてるの原因。妊娠出産経験のない方・初潮が早い方といった生理回数多い方、肥満の方がなりやすいです」と宋さん
子宮頸がんはヒトパピロマーウイルスが原因で、ワクチンで予防できる。子宮体がんはワクチンでは予防できない。ピルやISU等のホルモン療法で予防する
「不正出血は放っておかないで、早めに婦人科の受診を！」と宋さん