保育園や幼稚園への送迎、買い物、お出かけと、小さな子どもがいる家庭では必需品とも言える子乗せ自転車。でも交通ルールやマナーを守って乗らないと、事故を招く危険性も大。自分自身、そして大切なわが子を守るためにも、安全で正しい利用法をあらためて確認しておきましょう!
自分と子どもの命と生活を守るためルールとマナーを守った乗り方を徹底しましょう!
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教えてくれたのは
自転車ジャーナリスト 遠藤まさ子さん
自転車の安全利用促進委員会。安全安心な自転車利用の情報を発信。自転車雑誌編集と3児の母としての経験から、子乗せ自転車の知識も豊富。 |
育児には欠かせない自転車も車同様のリスクがあると意識を
コロナ禍や健康志向などの影響で年々増えている自転車利用。一方で「交通事故全体に占める自転車関連の事故の割合も増えています」と自転車ジャーナリストの遠藤まさ子さんは警鐘を鳴らします。
「都会だと保育園や幼稚園も車での送迎がしづらいですし、子どもを乗せて移動するために、“ベビーカーの次は子乗せ自転車!”と、育児用品の一つのような感覚で購入される方も多いですよね。でも、自転車はれっきとした軽車両。自動車の仲間なんです」
つい見過ごしがちですが、自転車もバイクや自動車と同じように交通ルールを守る必要があります。また、ルール違反には当たらなくても使い方を誤ると、事故やケガの危険性が高いのも車同様。
「自分や子どもの身体を守ることが第一ですが、自分が加害者にならないためにもルールを知っておくのはとても大切。また、乗っている自転車そのものの安全点検も欠かせません! ほぼ毎日乗るなら週に一度はタイヤの空気を確認し、最低でも年に1回はお店でメンテナンスを受けてくださいね」
みんなやってるからOK? いえいえ! 知らない間にルール違反していませんか?
もしも転倒した際に、子どもが道路に投げ出されるのを防ぐのがシートベルトの役割。ヘルメットも万が一の落下、転倒時に頭を守ってくれます。
4歳未満の子はおんぶならOKだけど、前抱っこはNG。転倒時などに抜け落ちる危険性も。なお、前後に2人の子を乗せ、さらにおんぶ乗車すると人数オーバーになるので注意。
自転車は車道の左側を走るのが原則。安全上やむを得ない場合は歩道を通ることができますが、歩道では徐行で、歩行者優先がルール。爆走で走り抜けるのはもってのほか!
後ろのチャイルドシートに乗せられるのは体重21〜22㎏未満(車種による)の未就学児まで。どんなに小柄でも小学校に入学する年の4月1日からは乗せられません。体重制限にも気をつけて。
モーターやチェーン部分からガシャンガシャンなどと異音がする場合は、すぐに自転車店などで点検と修理を。ひどいときには命にかかわる事故につながることもあります。
ほかにもこんな乗り方はNG
●子どもを乗せたまま、その場を離れて放置
停車中に子どもごと転倒して重大なケガを負う事故も少なくありません。ちょっと買い物する間だから……など、短時間でも油断は禁物!
●裾がタイヤに巻き込まれやすい服、足が踏ん張れない靴で運転
ワイドパンツやスカートがタイヤやチェーンに絡んで立ち往生というケースは頻発。すべりやすい靴など事故につながりやすい服装は避けて。
今さら聞けない&意外と知らない、安全な利用のためのポイントを要チェック!
子どものヘルメット着用は努力義務。
大人も今後、同様に
今後は従来の子ども同様に、大人もヘルメット着用が努力義務に。努力義務とはいえ、事故のとき身を守るためにはマスト。特に子どもは、頭のサイズに合ったものを選びましょう。
前乗せ・後ろ乗せそれぞれ年齢や体格の基準を守って
商品によって異なりますが、上記が目安。転落しやすくなったり重量オーバーになるので、この基準は順守を。年齢が基準内でも、体が小さく不安定だったり、窮屈な場合は無理に乗せないで。
シートベルトは点検して、しっかり装着。
ヘッドガード付きなら安心
頭を守ってくれるヘッドガード付きの座席なら、万が一の転倒の際も安心。シートベルトにゆるみがあると飛び出しの危険があるので、長さは体の大きさに合わせて調節しましょう。
服は裾がタイヤに巻き込まれにくいように。
靴は踏ん張れないヒールや滑るソールはNG
広がったボトムの裾が巻き込まれて制御不能になる自転車事故も増えているそう。ワイドパンツには裾バンドなどをつけて。足元は、ふらついたときにも踏ん張りがきく、すべりにくいフラット靴に。
2人乗せるときは、後ろ→前の順に。
降ろすときは、前→後ろの順が安定
前と後ろに子どもを乗せるときは順番にもポイントが。前乗せしたハンドル側は不安定になるので、乗せるときも降ろすときも、比較的安定する後席の子どもが長く乗っているように。ハンドルストッパーの作動も確認を。
自転車が走るべきは「車道」わき。
歩道では降りて押しましょう
歩道を通るのが習慣になっているかもしれませんが、自転車が走るのは原則として「車道の左側」。子乗せ自転車で徐行すると安定しないので、降りて押し歩いたほうがベター。
常に“安全な自転車”に乗るために
「BAAマーク」と
お店でのメンテナンスも重要!
約90項目もの検査に合格した証明である「BAAマーク」。安全・安心な自転車の目印です。また、子どもを2人乗せる場合は「幼児2人同乗基準適合車」マークのついた自転車であることが条件。購入や点検、メンテナンスの相談は専門知識を持つ「BAAアドバイザー」のいる店がおすすめです。
●お問い合わせ=一般社団法人 自転車協会
https://jitensha-kyokai.jp
撮影/藤澤由加 モデル/山口友香(LEEキャラクター) イラストレーション/福田玲子 取材・文/古川はる香
こちらは2023年LEE1・2月合併号(12/7発売)「「子乗せ自転車」で交通ルール違反&事故のリスクをおかしていませんか?/一般社団法人 自転車協会」に掲載の記事です。