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わが子の「思春期」がこわい

【子どもの思春期】親の対応、正解は?してはいけないこと、幼少期の今からできることを専門家が解説! 

2022.07.24

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今、こんなにかわいいこの子が「うるせー」とか言う日がくるの!?
わからないからこそ、これからの不安や心配も多い子どもの「思春期」。複雑な思春期をこじらせて長引かせたり、周囲との関係が悪くなったりしないために、親ができること・逆にしてはいけないこととは?
知っておくだけで指針になる「親の心がまえ」を専門家にうかがいました!

教育カウンセラー&精神科医に聞く!
子どもの「思春期」どう受け止めるべき? してはいけない対応は?

教えてくれたのは・・・
教育学博士・教育カウンセラー 諸富祥彦さん

教育学博士・教育カウンセラー 諸富祥彦さん

明治大学文学部教授。上級教育カウンセラー、スクールカウンセラーとして長年にわたり子育ての悩みをかかえる親の相談に乗る。著書に『思春期の子の育て方』(WAVE出版)など。
公式サイト:https://morotomi.net/

教えてくれたのは・・・
精神科医・臨床心理士 鍋田恭孝さん

精神科医・臨床心理士 鍋田恭孝さん

青山渋谷メディカルクリニック名誉院長。専門分野は心身医学、臨床心理学、児童・青年期精神医学など。思春期・若者論に詳しく、引きこもり、不登校、うつ病の臨床に携わる。
公式サイト:https://dr-nabeta.com/index.html

子どもが親離れする時期であると同時に、親が子離れをしていくべき時期でもある

「思春期の子は繊細で傷つきやすく、悩みも多い。心配のあまりそれに引っ張られて親もオロオロ、『どうしたの?』と問い詰めたりすれば、疎ましがられ、その後、口をきいてくれなくなることも。わが子が揺らいでいても、親はどーんとかまえていれば、子どもは安定してきます。
親が立派に対応しなければ、と力みすぎもよくありません。完璧な親であるほど思春期の子は『親はわかってくれない』となるので、たまには親も弱みを見せるくらいでOK。
子どもは日々成長し、自立していくもの。『この子はこういう性格だから』と幼い頃の思い込みのまま接することはせず、今の子どもを尊重して、上手に子離れできるといいですね」(教育学博士・教育カウンセラー 諸富祥彦さん)

わが子のペースや主体性を尊重する声かけを。思春期以前の学童期の親子関係も重要です

「思春期の子を持つ親として何より大切なのは“その子をよく見る"こと。子どものペースを尊重した声かけを心がけて。
親側の不安が先行して、きちんと導こうとしがちですが、親の言うことをなんでも聞く"素直ないい子"は、度が過ぎると自己主張に欠け、悩みや挫折を自分で乗り越えられず、不登校や引きこもり、摂食障害などにつながる可能性も。学童期までの親のかかわり方も、思春期をこじらせる大きな原因になるので、小さいうちから主体性を尊重した子育てを心がけたいですね。
『子どもが思春期で言うことを聞かなくなった』というのはまったくもって健全な姿。親が自分を愛していることが伝わっていれば大丈夫です」(精神科医・臨床心理士 鍋田恭孝さん)



思春期の親子関係NG
これはしてはダメ!【NGな親の対応】

これはNG! 頭ごなしに叱る、命令する

頭ごなしに叱る、命令する

勉強をしない、片付けをしない……そんな子どもにイライラ、声を荒げてもかえって反発心が高まる一方で、子どもの心には届きません。言うことをきかせるのではなく、「どのタイミングならできる?」と意見を求めて。

これはNG! 本人を全否定する、レッテルをはる

本人を全否定する、レッテルをはる

子どもの失敗を親が「本当にダメだね」「いつもそうだね」など全否定するような言い方をすると、子どもの心はシャットダウン。注意するべきことがあれば、本人を否定するのではなく、そのことだけに焦点を当てた言い方で。

これはNG! 質問攻め、詮索する、過干渉

質問攻め、詮索する、過干渉

話さなくなった子どもに対して「悩みがあるなら言ってほしい」と思っても、質問攻めや詮索は〝煩わしい〞と心を閉ざされるだけ。子ども自身だって「なんでかわからない」「説明できない」のが思春期の心模様なのです。

これはNG! 子どもと同じ土俵で、ムキになってやり合う

子どもと同じ土俵で、ムキになってやり合う

子どもの言い訳や暴言に、同じように言葉をかぶせるとますますヒートアップ。受け流せないほど子どもの言動にカッとなったら、深呼吸をしたり、親のほうからいったんその場を離れるのが正解です。

思春期の親子関係、正解は?
親の心構えも大切【GOODな親の対応】

GOODな親の対応

これはGOOD! 楽観的に考える

子どもの生意気な言動にカッとなったとき、悩む姿が心配になったときは「大丈夫」「なんとかなる」の姿勢で。子どもに「もっと心配してよ」と言われるくらいがちょうどいい。

これはGOOD! 見守る

子どもが抱えている問題は子ども自身のもの。親は口や手を出したくなるのはグッと我慢し、遠くから見守って。子どもが話をしたくなる雰囲気をつくるのはOK。

これはGOOD! 寄り添う

友達トラブル、勉強や部活など、子どもの悩みには「いやだったね」「悔しかったんだね」と共感を。寄り添ってもらえたと感じると、前向きなエネルギーが湧きます。

幼少期の今から、思春期のためにできる3つのこと


子どもが幼少期の内から、思春期のためにできることもあるそう。それは?

1. 自己肯定感を育むことが大前提

親に尊重されることは自己肯定感を育み、悩み多き思春期にも「自分は大丈夫」と思える心の土台になります。

2. 問題解決能力を身につけさせる

工作、スポーツ、ペットの飼育など、自主的な活動を通して解決する力を育んでおくと、壁を乗り越える力に。

3. 親子の会話を習慣に

趣味など家族で共通の話題を持っておくのがおすすめ。それが思春期の難しい時期に、話の糸口になることも。

先輩ママ読者に聞く!
「わが子の思春期」振り返り体験談

先輩ママ読者の思春期振り返り体験談

ひたすら信じて見守ったら、自分から思春期卒業宣言

長男が小学生高学年のときは「社会の矛盾に腹が立って仕方ない」という感じで気持ちが荒ぶっていて、自分自身で折り合いをつけられるまで大変でした。友達ともケンカばかりで、先生からも手に負えないと連絡がきたりも。
でも私は叱るとか、どうしたいとか聞くことはせず、ひたすら信じて見守り普通に言葉かけをしていたら、中学に上がるときに「もう大丈夫になったから」って自分から思春期卒業宣言してくれました(笑)。(えいふうさん/長男32歳、次男29歳)

自分から話してきたときだけ聞く。夫のフォローも支えに

長女の思春期は小学5~6年生の頃。当時は娘の気持ちが理解できず、娘も「私の気持ちなんてわかってくれない!」とよく私に怒っていました。
それをフォローしてくれたのは夫でした。ごはんを食べ終わるとすぐに自室にこもり、友達との関係でイライラしていることが多かったのですが、「しつこく聞き出さず、自分から話をしてきたら聞く」という姿勢が重要だなと思いました。(友蔵さん/長女14歳、長男11歳)

あなたの幸せを全力でサポートするよと伝え続けた

長女は今、思春期の山は越えたなと感じます。一番ひどかった時期は、「要求を断ると、駄々をこねて怒鳴るから娘のことがこわい」と思ってしまったり、自分の育て方を反省しまくったり、「小さな頃はかわいかったのに」と思い返してメソメソしたりも。でも寝顔は赤ちゃんの頃と同じで、寝起きに「大好きだよ」と言うと「私もだよ」と答えてくれるし、やっぱりかわいくて……。
受験生になったのをきっかけに、「幸せに暮らすために、どうすることがあなたにとって一番よいと思う?そのためのサポートは絶対惜しまない」という姿勢をくずさずに話し合ったら、イラついていた心がだいぶほぐれた気がします。(あんこさん/長女15歳、次女8歳、長男4歳)

夫と息子の仲たがい。息子の味方をしてあげればよかった

夫と息子の関係が悪くなった時期がありました。私は中立の立場をとっていましたが、今思えば、もっと子どもの気持ちを考え、寄り添ってあげればよかったと思います。
大人になった今はだいぶ緩和しましたが、かわいそうなことをしてしまったと悔やんでいます。(ななさん/長男29歳、次男27歳)

 


イラストレーション/室木おすし 取材・原文/遊佐信子

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