太陽光パネル設置義務化で住宅が値上げ?
ウクライナ情勢の影響もあり、エネルギー価格の高騰が続いています。
私たちの暮らしにも、電気代やガス代の値上げという形で大きな影響を及ぼしているのです。
夏の冷房シーズンを迎え、使用量自体が増えるところに値上げが重なり、家計にはダブルパンチ。石油や液化天然ガスを輸入に頼っている日本にとって、出来ることには限界があります。
再生可能エネルギーの割合を高めていくことも、対策の一つでしょう。
そんな中、東京都の「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)」が注目を集めています。
温暖化とエネルギー危機問題への対応策として、「住宅等の一定の中小新築建物への太陽光発電設備の設置等を義務付ける新たな制度」、つまり新築住宅への太陽光パネル設置の義務化が検討されているのです。
なお、これは個人に対しての義務化ではなく、対象はハウスメーカーなどの事業者向け。
都の資料によれば、都内大手住宅メーカー約50社が対象となり、実現すれば都内の年間着工数の約半数が相当するだろうとのこと。
これに対し、発電設備相当の価格が上乗せされることで、もっと住宅価格が上がり、都民が家を買えなくなるのでは…という懸念の声が上がっているのです。
再生可能エネルギーは必要だけど、課題もまだまだ
エネルギーの高騰だけでなく、深刻な電力不足がささやかれる中、再生可能エネルギーの確保が必要なことは確かです。
とはいえ、まだまだ設備は高額で、しかもパネルには寿命があり、一度設置したら終わりというわけでもありません。
発電した電力を貯めておく蓄電池も必要になりますが、これも気軽に導入できる金額ではないのが実態です。
もちろん環境のためには協力したいところですが、難しい選択ですね。
なお、個人宅の太陽光パネルの設置に対しては自治体などが補助金を出しているので、新築の際は前もって確認しましょう。
東京都では都が定めた「東京ゼロエミ住宅基準」を満たす場合に最大210万円を補助する制度があります。
また、太陽光発電設備には上限36万円、蓄電池には上限80万円の上乗せ補助も(それぞれ条件あり)。
これら助成金の元となっているのは、その自治体に住む住民の皆さんですから、必ず申請してくださいね。
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松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。
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