エシカルを体感する、胸アツ京都の旅
先日4月8〜10日の3日間、京都でエシカルをテーマにしたイベント『How to be Ethical vol.2』が開催されました。
エシカルな暮らしが、自然と日常に溶け込む地域へ をコンセプトに、昨年に続き2回目の開催。
イベント内に幾つかの催しがあり、私はその中の一つ
「トップアスリートが選ぶ史上最高の自分になる食事法」と言うタイトルで、ベジンジャーズメンバー(※)と共に食を大事にするアスリートが選んだ食事法と、食事は1日3回できる環境アクションということについてお話しさせていただきました。
※べジンジャーズ(Vegengers)とは、「かぎりなく強く、優しい世界を創る」をテーマに、プラントベースな生活を実践しながら、競技の垣根を超えて集まった2020年結成のプラントベースアスリート集団。メンバーには、五輪で活躍している選手も。選手自ら菜食ライフを紹介しているInstagramアカウントもあります。
「エシカルってそもそも何?」
エシカル(Ethical)とは「倫理的な」とか「道徳上の」などと訳されますが
例え法律で決まっていなくても、一般的に倫理的に良いとされていることを示します。
近年は エシカル=環境保全・社会貢献の意味合いも強くなっています。
消費者庁も、エシカル消費/倫理的消費という言葉を使い
「消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと」と記しています。
フード、ファッション、コスメ、エネルギー関連、住居、など、私たちのライフスタイル全てに関わっていると言っても過言ではないもの。
エシカルなコトやモノを選択することで、
*貧困
*人権問題
*自然破壊
などの未来を変え、SDGsの目標達成にも繋がると消費者庁は発信しています。
例えば、農薬や肥料の基準を守って育てられた綿の衣類を選ぶことで産地の生態系や生産者の健康を守ったり、地元のものを買う地産地消も、輸送に掛かるCo2排出削減に繋がったりするエシカル消費の一つです。
消費だけでなく、リサイクルやゴミを出さないこともエシカルな行為です。
私がこちらで連載させていただいているプラントベースの食生活も、その一環です。
環境に与える負荷はゼロではないけれど、工業型畜産に比べると、多くの点でその負荷は少なくなります。
その一例として、家畜に与える穀物は人間が食べている量よりもはるかに多く、穀物と動物を育てる場所のために違法な森林伐採が日々行われています。
また、世界では8億1千万人以上が飢餓で苦しんでいて、SDGsは2030年までに「飢餓をゼロに」することを目標に掲げましたが、今のままだと達成できない見込みだと発表しています。
しかしながら、家畜に食べさせている穀物相当量を人間に回せば、穀物が年間300kg以上(一人当たり)行き渡る計算になり、今すぐ飢餓を解決できると言われています。
アスリートがなぜプラントベースを選ぶのか
講演は、満員御礼。オンライン同時配信も行いました。
内容を少しシェアさせていただくと、トップアスリートが菜食を選ぶ理由は
*競技上、パフォーマンスの向上や体型管理、体調管理にメリットしかなかったから
*環境負荷を減らしたい(地球の健康が自分たちにも繋がっているから)
*生き物間での種差別をなくしたいから
*美味しいから ……etc
逆に「デメリットは?」という問いには、全員が「何も思いつかない」という答えでした。
菜食にして体がいい方向に変わって、パフォーマンスも上がったということを、客観的な検査結果なども踏まえて実体験をお話しさせていただきました。
(一ノ瀬メイさんのYouTubeでも、こちらの模様がレポートされています)
とことん、エシカルな企画や工夫が満載!画期的企画ベスト3
イベント期間中は、屋内外でマルシェも開催されました。
画期的だと感じたことが、3つありました。
その1
Plant-Based Food Marketの開催。
マーケットで販売されていたフードが全て、プラントベースであったこと。
普段動物性食材を使用しているお店にも、プラントベースメニューのみでお願いしたとのことでした。
プラントベースやヴィーガンを主体としたフェスではないのに、ALL植物性食材メニューというのは珍しい試みなのではないでしょうか。
カレー、ベーグル、お惣菜、焼き菓子、マフィン、スコーン、おかずパンなどなど。ヴィーガン専門の人気パン屋さんも出店し、あっという間に完売していました。
その2
“ゼロ・ウエイスト(ゴミを出さない)”というコンセプト。
利用者は容器や食器を持ち込むのが基本でした。公園内には、普段からゴミ箱も設置されていません。
持っていない人は、交通公園で貸し出している食器類がデポジット式で借りることができました。
1点100円で、使用後は自分で洗って返却すると全額戻ってくるというシステム。
「美しい地球を持続できるためのアクションとして、ぜひご利用いただけると嬉しいです」と主催者。
その3
交換するフリーマーケット「スワップ ブティック」の開催。
使わなくなったものを持ち込んで、必要としている人に譲る。会場にある、自分が欲しいものを持ち帰る。
金銭をやり取りしない、物々交換システムのフリマが開かれていました。
私の友人も使わなくなったぬいぐるみや服を持ち込んだり、別の友人はヤカンとシャツを持ち帰ったり。
地球にも人にも優しい素敵なやりとりを垣間見ました。
トークイベント後に、たくさんのご感想をいただきました。
その中でも特に印象的だったのが
「自分には何ができるか。まず、考えてみることから始めてみます」という一言。
自分には、何ができるか。
いつだって完璧はないからこそ、考え続けることの大切さを感じました。
今回は、色々な方との出会いもあり
そこからもエシカルや人生について吸収させてもらうことがありました。
(直接接していなくても、ただそこにいるだけで人にパワーをもたらすような方達!)
身も心も、シンプルに生きること。
人間も動物の一種だということを思い出して、自然に寄り添うこと。
豊かさ、ってなんだっけ。
ないものを数えていたら、永遠に終わりはこない。
私たちは もうすでに、ぜんぶ持っている 。
あるものを、磨いていくかっこよさ。
受け継がれている伝統や歴史と新しいものが混在する京の街だからこその、発見がありました。
京都のヴィーガン専門パン屋さんも胸アツなので……後編に続きます!
イベント後は「GOOD NATURE STASION」のヴィーガンメニューがあるレストランへ
トークイベントを聞きにきてくれた友人と、終了後にヴィーガンメニューがあるレストランへ。
二人は、人生初めてのヴィーガンチーズ料理を体験。
「めちゃくちゃ美味しい」の言葉に、なぜか私まで誇らしかったです。
この日を境に、様々なヴィーガン料理やスイーツを作ったり、
ヴィーガンレストランガイドブックを購入したりされているのを、SNSで見かけています。
「前から興味はあったのだけれど、何から始めたら良いか分からなかった」とのこと。
今回のトークイベントが少しでもきっかけになったのだったら、とても嬉しいです。
池田清子 Sayako IKEDA
アスリートフード研究家
ビオトープ株式会社代表。夫は7年連続日本代表マウンテンバイクプロライダー、池田祐樹。菜食・プラントベースを主とした「細胞から健康的に強く美しくなる」食事の研究と発信を行う。2014年より自身もサイクリング・ランニング・筋トレを中心とした運動をスタートし、国内外での大会出場経験も多数。著書に『EAT GOOD for LIFE』至上最高の私をつくる「食」×「ながらトレーニング」』『野菜のおいしい食べ方』https://biotope-inc.co.jp https://biotope-inc.co.jp