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LIFE

佐々木はる菜

親はのんびり、子はキャンプ!徳島シモノロ・パーマネントで大自然満喫の家族旅行レポ【連休・夏休みにも】

  • 佐々木はる菜

2022.04.23

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都会からわざわざ訪れる人も多い人気の理由とは

キャンプの様子

子どもには自然の中で様々な体験をさせたい!…と思いつつも、夫は海外赴任中で車もない我が家。人気のキャンプなどに興味はありつつも、準備・移動・片付けを始め私ひとりで子ども達ふたりを連れて行く姿を具体的に考えるほど実行に移せず、大自然を満喫するような機会を作れていないことを残念に思っていました。

そんな私が願っていた体験を全て経験させてくれるだけでなく、親も心身共にリフレッシュできる素敵な場所に出会い、長期休みのたび訪れるようになりました。

それが今回取材してきた、徳島の大自然の中にある「シモノロ・パーマネント」と併設する自然教育機関「花咲み(ハナエミ)」です。

親子で大自然を満喫!森のようちえんスタイルの教育機関も併設

「シモノロ・パーマネント」は「自然豊かな場所で子育てをしたい」と8年前に東京から移住した女性が地域と連携しながら立ち上げ、運営しています。

廃校をリノベーションして造られた複合施設でカフェや宿泊もできるフリースペース、そしてTVや雑誌でも取り上げられたフィンランド式の薬草スチームサウナ「谷のサウナ」などがあり、山も川も文字通り「すぐそこ」!
朝は本当に鳥のさえずりや川のせせらぎの音で目を覚ますほどで、⼦どもから⼤⼈まで様々な形で⼤⾃然と触れ合えるスポットとして人気を集めています。

学校

さらに特徴的なのが、敷地内に「花咲み(ハナエミ)」という自由な学校と幼稚園が併設されていること。デンマーク発祥で日本でも多くの支持を集める「森のようちえん」スタイルの保育施設・フリースクールで、学童や週末キャンプなども行っています。

川遊び、山歩き、キャンプやたき火…プロのもとで自然体験を満喫

私が最初に家族で訪れた際にとても心に残ったのが、同じ敷地内で気が向けばお互い様子を見に行けるような「親子の絶妙な距離感」の中で、大人と子どもそれぞれが楽しく貴重な体験ができることでした。

子ども達は、保育士でもあり野外活動指導者やキャンプインストラクターなどの資格も持つスタッフの元、同世代のお友達と共に山歩き、川遊び、キャンプなどの自然体験や学びの時間を過ごし、その間に親たちは大人だけでサウナやアクティビティなど「シモノロ・パーマネント」ならではの体験を楽しみながら、ゆっくりリフレッシュすることができます。

自然と動物

敷地内にはヤギなど動物も!我が家の子ども達曰く、川から上がった後に入ったドラム缶風呂にびっくり!初めて見たこともあり、とても楽しかったそう。

たとえ大自然の中に遊びに来たとしても、不慣れな私だけでは子ども達の行動を制限してしまうと思いますが、ここには安心してお任せできる方々がいるからこそ、子どもたちは思う存分、川に入り山を歩き回ることができます。

伴走する大人たちが見守る中で自分の頭で考え、様々な年齢のお友達と協力しながら過ごし、時に喧嘩など子ども同士ならではのトラブルも乗り越え、毎回数日で目に見えてたくましく成長します。

キャンプのテント

焚火

テントの張り方、焚火の起こし方、のこぎりなどの使い方…気づくと様々なことを自然に覚え、子ども達の吸収力に感心する日々。

薬草スチームサウナ&冷水浴は川で!メディアでも注目の「谷のサウナ」

そして私たち大人にとっては「大自然の中で何もせず過ごす」こと自体が何よりの贅沢!徳島の自然を味わうためにも是非オススメしたい体験が「谷のサウナ」です。

サウナ

職人さんの手作りで本場フィンランドさながらの本物感を味わえると評判を集め、サウナブームも追い風となってテレビや雑誌などで取り上げられたこともあり遠くから訪れる”サウナ―”も多いそうですが、実はこれまであまりサウナに入ったことのないという女性たちからの人気も高いのだとか。

私も一般的なサウナは苦手なのですが、ここはスチームサウナで入れば入るほど肌が潤うような感覚があり、一緒に焚いている天然ハーブの香りも心地良く、次々と玉のような汗が吹き出てきます。

そして冷水浴は、すぐ隣の川!
フィンランドでは湖に入るといいますが、まさに全身で自然を感じられる貴重な体験でした。

川

透き通った川の水と、見上げると生い茂る山の緑と木漏れ日が本当に美しく、大人になってから頭まで全身川に入った記憶がないせいか子どもの頃に戻ったような感覚もあり、頭がからっぽになって心も体もデトックスされるような、とても気持ちの良い時間でした。
寒い時期などは、サウナの横にあるカウチに寝転び周りの風景を眺めるだけでも充分癒されます。



薬膳茶、地酒やお菓子作り…徳島ならではのアクティビティも豊富

サウナの他に、この地域ならではのアクティビティを楽しむこともできます。
何度か訪れる間に、近隣で代々続くお茶農家の方から美味しい淹れ方のコツなどを学ぶワークショップや、地元の酒造見学、専門家に相談しながらオリジナルの薬膳茶を作る体験教室、プロに習うお菓子作りなどに参加しました。

ワークショップ

もちろん、大自然の中でただゆっくりするだけでも充分なのですが、普段はなかなかできない「大人の学び」の時間を通して、自分自身のエネルギーをチャージできたような感覚があり、地元の方々との関わりも素敵な思い出となっています。

「元気な日本をつくるにはまず教育」

私たち家族も含め、都会から長期的・定期的に通う親子も多い理由のひとつにはやはり、子ども達を温かく見守り、学びと成長を促してくれる「花咲み」の存在があると感じます。
どんな想いでこの場所を立ち上げられたのか、皆に「かっしー」と慕われる代表の柏木博和さんにお伺いしました。

柏木博和さん

かっしー(柏木博和さん)「花咲み」代表。保育士、野外活動指導者(NEAL)、キャンプインストラクター、木育インストラクター。プラント建設会社でのエンジニア&プロジェクトマネージャー&経営スタッフを経て、森のようちえん、フリースクールを開設するため保育士資格を取得。

「前職ではプラント建設会社で技術部門の統括をしており、社内や取引先など多くの方と関わる中で、学歴ばかりを求める社会に大きな疑問を感じていました。
そんな時に起こったのが東日本大震災でした。
災害ボランティア活動などを通じて価値観が大きく転換し、今後元気な日本をつくるために何ができるか真剣に向き合った際に改めて強く感じたのが、子ども達の教育環境の重要性で、そこからこの分野を学びました。
この変化の激しい時代に求められるのは、子ども達が自ら考え行動できる『生きる力』だと感じます。そんな子ども自身の力や、誰もが持っている『学びたい気持ち』を育める場所を作りたいと考え立ち上げたのが『花咲み』です」

自然を通した多様な学びの機会

自然遊びを通じて強い身体を育んでもらうと共に、日々変化する自然の中で見つける興味・関心を探求し、子どもたち同士はもちろん、スタッフをはじめ関わり合う大人たちも互いに認め尊重し合う、主体的な人間の育ちを目指しているという「花咲み」。

普段から、例えば遠足の行先、プロジェクトのテーマ、ルール作りなど様々な決定に子どもたちが関わる中で、他者の意見をしっかりと聴くこと、自分の意見を表明すること、それぞれの意見のメリット・デメリットを論理的に考えること、などを学んでいるそうです。

自然遊びの他にも、自家菜園での農体験、味噌づくりやしめ縄づくりなど文化に触れる体験や、食育、木育にも力を入れており、それらの多様な経験を通して親子共に様々な変化と気づきがある場だと感じます。

学校の授業

時期によっては英語イマ―ジョン教育も行っており、その際は活動のすべてを英語と日本語併用で行います。我が家が訪れた時はフィリピン人の女性が一緒に活動してくださっていました。

「『何したらいいの?』と聞いてばかりだった子が『〇〇をしたいから手伝って!』と周りにはたらきかけるようになったり、失敗を恐れ誰かのせいにしがちだった子が、人の力ではどうにもならない自然を相手にする中で『次はこうしてみよう!』と自分で試行錯誤できるようになったり…様々な遊びを通じて、子ども達はより主体的な学び手となっていきます

我が家は短期的な参加ですが、例えば小2の娘は、初回は毎晩私のもとに来ていましたが、次に訪れた際はお友達と一緒にテントで眠れるようになり、年下の子のお風呂を手伝い、火を起こしたりナイフを上手に使ってお箸を作ったりなど、私にはできないようなことまで成し遂げていました。

小4の長男に関しても私だけでは気づけなかった発見が多く、中でもお友達との関わりを通して「リーダーシップがある」と言っていただき、遠くから見守る中で私もそれを実感できたことが印象的。

それぞれの子が、その子らしく過ごせる時間を通して様々な変化があり、温かく見守ってくださる皆さんと一緒にその成長を味わい喜びあえることも、家族にとって大きな想い出となっています。

走る子ども達

大声を出し、走り回り、泥だらけになるなど都会では制限されるシーンも多いことを思う存分できることが、楽しくてたまらない様子。今では到着した瞬間から我が家のようにリラックスし、自宅以上にのびのび過ごしています。

チャンバラごっこ

この時はチャンバラごっこが大流行!東京では、棒を持っていたら周りの目を気にして絶対注意してしまいますが、スタッフの方々と一緒に安心してこういう遊びをさせてあげられることも、良かったことのひとつ。みんな自分の剣を手離さず、子どもって今も昔もチャンバラ好きなんだなぁと実感しました(笑)

「子どもたちが本来持っている『生きる力』の育ちをサポートする学びの場所として、当たり前の選択肢のひとつとして認めてもらえるように、より良い場を作り続けたい」と話す柏木さん。

親自身もひとりの大人として自分の時間を楽しみ、自分と向き合う機会をいただきつつ、子どもたちは自然体験を含め多様な学びがある場で貴重な経験ができること。
それが、私たちが何度もこの地に足を運びたくなる大きな理由です。

東京で子育て中だった女性が移住して立ち上げた「シモノロ・パーマネント」

そしてこの場所に惹かれるもうひとつの大きな理由が「シモノロ・パーマネント」を作った植本修子さんの存在です。

植本修子さん

ハレとケデザイン舎 代表取締役 植本修子さん

移住前は都心に住み、広告業界でクリエイティブディレクターとしてブランディングやデザイン・制作など幅広く活躍されていた植本さん。

当時、企業の社会活動に関わる仕事を任され様々な地域を視察する中で「地方」への興味が高まっており、そんな時に知ったのが徳島県三好市の「廃校活用」プロジェクトでした。

「この土地に惹かれたことはもちろんですが、移住の決め手となったのは2歳だった息子の存在です。こんな気持ちの良い大自然がある中で子育てをできたらというワクワクした感覚に加え、視察の際に連れて来た息子の喘息の症状が一気に治まったことにも背中を押されました。実際に住んでみて水や空気の違いは実感していますし、地域の皆さんが移住を本当に喜び歓迎してくださったことで、自分の経験をこの土地のために活かしたいという気持ちがさらに強くなりました」

三好市は四国のほぼ中央にあり、徳島県のなかでも最も山深い地域で高齢者の割合は40%。人手も限られる中で廃校などを活用しきれていなかった一方、地域活性化に積極的に取り組んでおり、都市からの若者の移住促進など「住んでみたい」と感じるまちづくりに力を入れているそう。そんな地域の方々と連携しながら、「シモノロ・パーマネント」今の形にしていったといいます。

また東京でのデザイン仕事も引き続き行いながら、地元の製品のパッケージや印刷物などにも携わるなど地域のビジネスにも大きな影響を与えている他、「シモノロ・パーマネント」へ訪れた方をアクティビティという形で地域観光に繋げるなど、良い循環ができています。

「大自然」に新たな価値を生み出したい

今は新たに女性専用のプライベートサウナ付き施設を作っているほか、移住して最初に携わったもうひとつの廃校活用プロジェクトでのカフェ事業を始め様々な計画を着実に進めている植本さんですが、その地域ならではの魅力を活かしながら次々とアイデアを形にしていく原動力はどこにあるのでしょうか。

「決してアクセスが良い場所ではないのですが、ありがたいことに都会からわざわざ来てくださるお客様も増えており、その方々は『この土地でしかできないこと』に価値を感じてくださっています。
例えば『谷のサウナ』で使っている薪やハーブは、人手不足で管理まで手が回っていなかった近くの山を手入れさせてもらい間伐した、この土地で採れた新鮮なものだし、冷水浴ですぐにきれいな川へ入れるのも自然豊かなこの環境ならではの魅力です。
そんな経験を通して、それまではただそこにあった『大自然』に、この土地だからこそできる体験を掛け合わせ新たな価値を作りだすことが、地域のために私ができることなのではないかと確信するようになりました。そして地元の皆さんや家族の協力のおかげで、真剣に向き合いながらも日々楽しく充実していることにも、力をいただいています」

シモノロ・パーマネントの建物

もともとは地域の方が通い大切に思っていた「学校」の懐かしい表情も大切に残しつつ、植本さんのセンスが散りばめられた「シモノロ・パーマネント」。ご自身も子育て中でママや女性に寄り添う視点が随所に散りばめられている点も魅力で、それが女性からの支持に繋がっているとも感じます。

何かと閉塞感の多い現代だからこそ、大自然の中で大人も子どもも心身共に自由になりリフレッシュできる場所は貴重で、連休や夏休みの家族旅行の選択肢としてもオススメしたい場所!

情報に溢れ日々慌ただしい毎日を生きるからこそ、自分自身と向き合い整える時間を持つために、私もまた是非訪れたいと思っています。

「シモノロ・パーマネント」の詳しい情報はこちら! 花咲み(ハナエミ)についてはこちらも!

 

佐々木はる菜 Halna Sasaki

ライター

1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。

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