投資を始めてみたくなったという未経験の方、必見。投資歴約20年、昨年「億り人」になった水瀬さんに“誰でもできる”投資術をレクチャーしていただきました。
教えてくれたのは
投資ブロガー 水瀬ケンイチさん
IT企業の会社員。2005年から始めた投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」が人気に。著書『お金は寝かせて増やしなさい』(フォレスト出版)は、投資本の新たなスタンダードというべき充実の内容!
Twitter:minasek
「インデックス投資」
「インデックスファンド」って?
A「市場の平均」に連動する成績を目指す投資法です
インデックスファンドとは、「投資信託(詳しくはこちら)」という金融商品の一種で、日経平均株価やアメリカのS&P500など、「市場の平均」に連動した運用成果を目指すもので、持っている間ずっとかかる信託報酬(手数料)が安いのが特徴。それに投資するのがインデックス投資。短期間で大きな利益は出せませんが、長期で保有することで、複利効果が生まれます。複利効果とは、運用で得た利益を再び投資することで、利益がさらに利益を生んで膨らんでいくこと。20年以上保有すると効果が顕著に。
\ 米国の株価チャートを長期で見ると右肩上がり! /
世界の株価の中でも大きな割合を占めるアメリカの代表的な株価指数S&P500を見ると、過去90年間、右肩上がりで成長を続けています。10年単位では横ばいの時期もありますが、今後も長期的には世界経済は成長していくということに期待し、その波に乗るというのがインデックス投資の考え方です。
\“億り人”になった水瀬さんのHistoryをチェック!/
2000年頃 | 医療に従事する友人に老人ホームの費用を聞き、老後資金に漠然と不安を覚える。 |
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2002年頃 | 投資を始めるが、中でも個別株などにのめり込み、本業に集中できず。ほったらかしておいても資産運用ができるインデックス投資へシフト。 |
2006年 | ライブドアショックがあった年も、全世界への分散投資をしていたおかげでダメージは少なかった。 |
2008年 | 世界的な経済危機となったリーマンショックで、資産は約半分に。それでも毎月の積立投資は継続。 |
2009年 | 新興国の経済成長のおかげで、V字回復をする。 |
2012年 | アベノミクス経済効果で、元本を回復。 |
2020年 | コロナショックなども特に痛手とならず、順調に資産が成長。 |
2021年 | 資産が1億円に到達し、「億り人」に! |
STEP1
生活防衛資金を確保する。生活費2年分がおすすめ
生活防衛資金とは、失業や災害などで急に収入がなくなってもしばらくは今までどおりの生活を送るためのお金のこと。
「いざとなったら投資用のお金を使うという考えもありますが、そのときに株価が暴落していたら大損失に。日本は震災大国でもありますし、最低で1年、できれば2年分の生活費を準備しておけると安心ですね」(水瀬ケンイチさん)
疑問
生活防衛資金が貯まるまで投資を始めないほうがいい?
A | 貯金と投資は同時進行で。少額からでも投資は早く始めたほうがいい |
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「毎月2万円貯金をしている場合、1万5000円を貯金に、残りの5000円を投資に回すなどどちらもやるのがおすすめ。インデックス投資は早く始めることが大事なので、並行してやりましょう」(水瀬ケンイチさん)
STEP2
何%の損失まで耐えられるか、リスク許容度を考える
投資用語としてのリスクとは、一般的な意味とは異なり、「価格の振れ幅」のこと。投資したお金がどれくらい(何%)変動しても耐えられるかを示すのが「リスク許容度」。収入や資産額、年齢、家族構成などで判断します。
「リスクが10%とすると、その倍、20%程度は資産額がマイナスになる可能性があると想定して、自分の許容度を判断しましょう」(水瀬ケンイチさん)
疑問
リスク許容度って、どうやって決めたらいいの?
A | 無料診断ができるツールを活用し、資産の変動を予想してみましょう |
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「『ファンドの海』というウェブサイト内にある、投資の期待リターンやリスクを計算できる無料ツールは便利です。大きいリターンを求めて投資資産の中で株式の割合を大きくするとリスクも高くなり、債券の割合を増やすとリスクが低くなります」(水瀬ケンイチさん)
STEP3
証券口座を開き、手数料の安いインデックスファンドに自動積立の設定をする
「証券口座の開設は、手軽で手数料の安いネット証券がおすすめ。今はスマホからでも簡単に手続きができます。私は楽天証券を利用していますが、ほかにSBI証券なども人気。開設後は、世界中の株や債券に分散投資できる投資信託で、手数料(信託報酬)が年0.1%程度の安いものを選び、毎月の積立額を設定すれば完了です」(水瀬ケンイチさん)
疑問
実際、水瀬さんはどんな設定にしているの?
A | 全世界の株式に投資できる投資信託と国内債券を積み立てています |
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「全世界の株式に分散投資できる『eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)』を積立。リスクを許容度内にするため『個人向け国債 変動10年』にも投資していますが、シンプルに、投資信託の『eMAXIS Slim 国内債券インデックス』でもよいと思います」(水瀬ケンイチさん)
STEP4
年に1回リバランスをする。できればこれを20年は続けたい
「株価が順調なのはいいことなのですが、株の比率が大きくなるとリスクも上がることに。その逆で株が下がることも起こります。リバランスとは、そうやって崩れた投資資金の配分を見直し、初めに決めたリスク許容度に合った割合に戻すこと。増えすぎたほうを売り、減ったほうを買って調整します。
私の場合、若い頃は株8:債券2にしていましたが、年齢も上がってきたので今は7:3に。毎年お正月にこの割合に戻るよう調整しています。普段はほったらかしでOKなので、1年に1回だけ資産を振り返る習慣を」(水瀬ケンイチさん)
疑問
途中で暴落しちゃったらどうすればいいの?
A | 下がったときも通常運転。でも、心の支えも用意しておきたい |
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「長期投資においては暴落はチャンス。そこで買えばいずれ株価が戻ったときに大きな利益になるので、積立を続けましょう。とはいえ精神的にきついのも事実。そんなときのために、上記のような長期チャートを何度も見返すなど、心の支えがあるといいですね」(水瀬ケンイチさん)
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イラストレーション/ナカオテッペイ 取材・原文/田中理恵
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